ナタリー PowerPush - MEG

豪華アーティスト陣が集結カラフルな10曲「WEAR I AM」

「なんて幸せなんだ!」って

──今回のアルバムのコンセプトは?

これは、そうですね……宮本さんに訊きましょうか(笑)。

──以前はMEGさん自身、人一倍コンセプトについて考える人だったのに(笑)。

そうですねー(笑)。だから今回、そう言えちゃうっていうのが私自身も新鮮だし。面白いんですよね。

──今回はそこをまかせられるディレクターとスタッフに出会えて。

はい、だからまあ普通のことなんですけど「現場が楽しいって、なんて幸せなんだー!」ってよく思うんです(笑)。

撮影風景の写真

──じゃあ今回はコンセプトありきの作品ではないんですね。

ないわけではないんですけど。それよりも現場感だったり、やりながらもっと良い案が出てきたら可能な範囲内でパッと切り替えてベストを探るみたいなやり方が私は好きなんですね。最初にかっちり決めちゃうんじゃなくて、いいアイデアがあればどんどん採用していくっていう。それには柔軟さとかフットワークの軽さが重要だと思うんですけど、宮本さんがビッと決断してガッと引っ張ってくれて、チームみんなで足並みあわせてこういうアルバムができたっていうことで“良いもの作ったぞ感”があるんです(笑)。

──その言い方、ちょっと他人事っぽいですね(笑)。

うん、そうかも。みんなで作ってるから、今回は褒められても「うん、いいでしょ?」って思えるんですよね。

──これまで良くも悪くも全部自分で背負っていたのに比べると、だいぶスタンスが変わりましたね。

もちろん今までもいろんな人に曲を頼んだりはしてたんですけど、今回は自分じゃないスタッフが別々の場所で、私のことを考えていろんなアイデアを出して、動いて作ってくれたことをすごく感じてる。だからなんか「でしょ?」って。「いいでしょ?」ってすごく思うし、言えるんですよね。

──ところでこの「WEAR I AM」というタイトルはどういう意味ですか?

これは「私自身を着る」っていう意味で付けてるんですけど。「WEAR」は「WHERE」ともかかってて「どこにいても私は私」っていう意味もあって。

──面白いですね。

今回は自分で全部決めるんじゃなく、チームの中で出たアイデアを生かしつつ、自分の役割を果たすっていうコンセプトだったから。どういう曲を与えられても自分なりに精一杯歌詞でアレンジして、自分だったらこういうふうに着こなすとか、そういう気持ちでレコーディングしました。

活動休止の理由

──今良い状況にあるからこそあえて訊きますが、2010年に活動休止を決めたときには、その先の見通しはなかったわけですよね。

なかったです。全く決めてなかった。無理して絞り出して「うーん、どうだろう。これでいいのかな?」とか、そんな感じでモノをつくるのも嘘っぽいと思ったし。だったらあんまり自信ない状況で作品を作るよりは作らないほうがマシっていう。それで、休もうっていうチョイスをしたんです。

──そのまま音楽をやめてしまう可能性もあった?

そこもね、何も考えてなかったんですよねー。音楽に関しては、こうしたらっていうのが何も浮かばなくて。なんだったんだろう。多分ですけど、あのままもう1枚作ってたらルーティーンみたいなものにハマってたかもしれない。待ってくれてる人がいるのに、このままじゃまずいぞって思ったんじゃないかな。

──やりたいことが見えるまではあえて動かずにいようと。

うん、本当にやりたくなったら別にメジャーレーベルじゃなくても、自主レーベルもあるし。そうやってまた自腹切ってでも作りたくなるくらいのアイデアが浮かぶといいなっていうのは思ってましたけどね。

中田ヤスタカとの再コラボ

──アルバムは計10曲収録ですが、サウンド的には非常にバリエーションに富んだ仕上がりで。今までのMEGさんの10年間がそれぞれの曲に少しずつ見えるような気がしました。

撮影風景の写真

そうですね。いい曲がたくさん詰まってます! やっぱり単純に曲がいいとか、皆様共通して素晴らしいメロディメーカーであるっていうことがマストなキーワードになってるような気がします。

──中田ヤスタカさんが参加しているのは意外でした。アリなんですね。

アリですよ(笑)。

──もう中田さんとのコンビは解消したんだと勝手に思っていたところがあったので。

そんなつもりはないんですけどね(笑)。普段、普通に車の話とか関係ない話でメールしたりしてますし。曲が上がってきたのを聴いて「やっぱボーカルエディットはこの人にかなわないな」とか思ったし。ちょっと昔の私がそこにいて、懐かしいなって思いました。

──(笑)。

別に当時も中田くんと作るのがイヤでやめたわけじゃ全然ないですからね(笑)。もっと私の問題で、なんていうか、音を受け取った先の、歌詞やジャケットや企画についてアレンジするアイデアが浮かばないのに、その状態で締め切りに追われて作品を出すみたいなことはできないっていう、そういうのがやっぱり大きくて。今回は、だから自分のアイデアもありつつ、その何倍ものアイデアがチームから出てくるし、引っ張ってくれるからこんなにいい形で作れたんだと思うんですよね。

ニューアルバム「WEAR I AM」/ 2012年10月3日発売 / スターチャイルド

CD収録曲
  1. TRAP [作詞:MEG / 作曲:岡村靖幸 / 編曲:大沢伸一]
  2. 夏が終わる [作詞・作曲・編曲:小西康陽]
  3. HIGHTEEEN [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
  4. セブンティーン・ランデヴー [作詞:MEG / 作・編曲:NARASAKI]
  5. MISS MARTINI [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
  6. LOVE EMOTION [作詞・作曲・編曲:古川裕(ex. DOPING PANDA)]
  7. ZZZ [作詞:MEG&古川本舗 / 作・編曲:古川本舗]
  8. SOUTHPAW [作詞:MEG&前山田健一 / 作曲:前山田健一 / サウンドプロデュース ☆Taku Takahashi(m-flo)]
  9. REPLICA [作詞:MEG / 作・編曲:中田ヤスタカ(capsule)]
  10. WEAR I AM [作詞・作曲・編曲:三浦康嗣(□□□)]
MEG(めぐ)

プロフィール画像

2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍し、2012年より活動を再開。4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、10月にオリジナルアルバム「WEAR I AM」をリリースした。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。


2012年10月5日更新