ナタリー PowerPush - 摩天楼オペラ

合唱を経てたどり着いた“未来永劫残る栄光

次のツアーで一番楽しみなのはお客さんの合唱

──アルバムリリース後の4月24日からは全国ツアー「GLORIA TOUR -scene III-」もスタートします。昨年秋から「GLORIA TOUR」と銘打って3回に分けて行われているこのツアーですが、こんなに長期間にわたるツアーは今までやったことがありましたか?

 インディーズの頃に一度だけ、1つのコンセプトで半年くらい引っ張ったツアーをやったことがあります。今回はその経験があったからこそできてるのかなという気がしますね。実は今、一番楽しみなのはお客さんの合唱でして。「-scene I-」「-scene II-」と回を重ねるごとにお客さんの合唱がどんどんすごいことになってきてるんですよ。

──合唱に加わるお客さんの数が?

 はい。「-scene II-」は3日間しかなかったんですけど、3日間とも「-scene I-」のときよりも合唱の歌声がどんどん大きくなってるんです。今度のアルバムには合唱ポイントがめちゃめちゃ多いので、一体感ということで言えば「-scene I-」「-scene II-」よりも強まるんだろうなと思ってます。

──シングル2枚と今回のアルバムを通じて、バンド側が提示したテーマはお客さんにより広まったと思いますし、最初から合唱する気満々で来るお客さんもいそうですね。

 オープニングSEの「-overture-」からもうガンガン歌っちゃっていいんです。中にはきっと声を出すのが恥ずかしいと思ってる子もいると思うんですけど、周りを気にせずに歌ってほしい。まずはそれを伝えたいですね。1曲目が始まって僕が歌い出すと、お客さんの合唱が会場中に広がっていく……その様子がもうイメージできるんですよ。だから初めて摩天楼オペラのライブに来る子も、何も気にせずに楽しみに来てほしいです。きっと温かいライブ空間が生まれると思うので。

この先が楽しみになる圧倒的なステージを見せたい

──ツアーファイナルを迎える6月8日には、摩天楼オペラにとって過去最大キャパとなるZepp Tokyo公演が控えています。

 Zepp Tokyoで「GLORIA TOUR」のグランドフィナーレを迎えるんですけど、そこに向かうまでに気持ちを高めすぎちゃってZeppでひと区切りみたいには思ってほしくないですね。むしろこのライブを、今後の摩天楼オペラの可能性というか、さらなる栄光へ向かう姿を期待させるライブにしたいんで。未来が見えるライブをしたいですね。

──なるほど。「喝采と激情のグロリア」の物語はここで完結するのではなく、この先も続いていくと。

彩雨(Key)

彩雨 そうですね。Zepp Tokyoでのライブはきっと僕らの長い音楽人生にとっても、いい経験になると思うし、この先10年後20年後に自分の音楽人生を振り返ったときに、今回のアルバムとZeppのライブは重要なものになるはずです。摩天楼オペラはあの規模の会場で一度もワンマンをやったことがないけど、あまり気負わずに楽しんでいけたらいいなと。もちろんお客さんにも楽しんでほしいと思います。

──燿さんはいかがですか?

 今回の「-scene III-」は「-scene I-」「-scene II-」と比べても長いツアーになるんですけど、アルバムの新曲がたくさん増えたことで以前よりもバリエーションが広がると思います。ライブ1本1本、最高のステージを作っていくのはもちろんなんですけど、このツアーを続けることでバンドも確実に成長できるんじゃないかな。で、その成長の成果をZepp Tokyoで見せつつ、今のこの時代にこんなにカッコいいバンドがいるんだぞっていうことをお客さんに再確認してもらえたらなと思ってます。

Anzi 自分たちは常にスケールの大きな歌詞、スケールの大きなサウンドを意識してやってきたんですけど、昔からいろんな人たちに「摩天楼オペラはきっと大きいステージのほうが似合うんじゃないかな」って言われてきたんです。でも現実にはまだ世間的に認知されてるようなバンドではなくて、小さいライブハウスを回る規模であって。自分たちの理想にはまだまだ近付けてないんですけど、自分たちが見せたい姿の現時点で一番近いものをZeppで見せられるんじゃないかと思ってます。

──現時点でのベストをZepp Tokyoで見せると。そこからさらに成長して、もっと大きな会場でライブをすることも視野に入れつつ。

Anzi もちろんZeppよりも大きな会場でやりたいっていうのはありますけども、まずは目の前のZeppを大事にしたい。自分たちが作ってきた曲が映える会場だと思うので、堂々とステージに立って……例えば武道館とか東京ドームで摩天楼オペラの曲を聴いたらどれだけ感動するんだろうっていうことを、この先楽しみにしてもらえるような圧倒的なステージを見せたいですね。

ニューアルバム「喝采と激情のグロリア」 / 2013年3月6日発売 / KING RECORDS / KICS-1883
初回出荷分限定スリーブ仕様ジャケット
通常仕様ジャケット
収録曲
  1. overture
  2. GLORIA
  3. Plastic Lover
  4. 悪魔の翼
  5. Freesia
  6. CAMEL
  7. Merry Drinker
  8. SWORD
  9. Innovational Symphonia
  10. 永遠のブルー
  11. Midnight Fanfare
  12. 喝采と激情のグロリア
摩天楼オペラ (まてんろうおぺら)

2007年に結成されたヴィジュアル系ロックバンド。2008年に苑(Vo)、Anzi(G)、燿(B)、悠(Dr)、彩雨(Key)という現在の編成になる。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開。2010年5月に初のホールワンマンライブを渋谷公会堂(当時・渋谷C.C.Lemonホール)で実施した。同年12月にはミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。2011年7月にリリースしたメジャー1stシングル「Helios」は、オリコン週間ランキング初登場16位を記録した。同年10月にはメジャー2ndシングル「落とし穴の底はこんな世界」を発表。同月にさいたまスーパーアリーナで行われた「V-ROCK FESTIVAL '11」にも出演し、大きな注目を集めた。2012年3月、メジャー1stフルアルバム「Justice」を発売。同年後半に「喝采と激情のグロリア」というテーマのもとに、「GLORIA」「Innovational Symphonia」という合唱をテーマにしたシングルを連続リリースした。2013年3月にメジャー2ndアルバム「喝采と激情のグロリア」を発売。同年6月にはZepp Tokyoで単独ライブを行う。