女性は一度決心したら、揺るがない
──「ピリオド」は女性目線のラブソングで、ほかの曲と視点が変わることで、アルバム全体のストーリーがさらに広がっている印象を受けました。
吉田 「ピリオド」は最初の3行、「何を言われても もう無駄だよ 私たち終わったんだよ」というフレーズがパッと出てきて、そこから作り始めました。なので最初から「女性目線の曲にしよう」と決めていて。以前から女性目線で歌詞を書いてみたいなと思っていたので、ようやくそのときが来たかと(笑)。
──「私たち終わったんだよ」って、容赦ないですよね(笑)。
吉田 女性は一度決心したら、揺るがないイメージがあって。女の人が別れを切り出すときって、もう気持ちは次に向かってるというか……。まあ、僕の印象ですけど(笑)。
フジイ 「ピリオド」の歌詞、個人的にもすごく好きですね。僕自身、これまでの人生で女性にフラれたことしかないので(笑)、グッときました。
shuji ははは(笑)。女性目線の歌詞、新鮮でしたね。MVの表現にも反映されているのもいいなと。
吉田 うん。今思い出したんですけど、「ピリオド」は最初、メンバーとスタジオに入ったときに、何気なく歌ってみたんですよ。2人に「誰の曲?」と言われたから「自分で作った曲」と伝えたら、「いいね。やろうよ」と言ってくれて。
フジイ 右京が何気なく歌って、ビビッとくることがちょいちょいあって。「プラネタリウム」もそうでしたね。
shuji うん。「ピリオド」をスタジオで聴いたときも、すぐアンサンブルしたくなったし、バンドでアレンジしたらどうなるかが明確に見えた気がして。
吉田 最初はメンバーの様子を見てたんですけど、結果、すごくいい形になって。自分たちにとっても大切な曲になりました。もちろん全曲そうなんですけど。
──「最低最悪」も女性目線の歌詞ですね。
吉田 最初は男性目線で書いてたんですよ。「最低最悪」は、感情と行動が伴っていない、乖離した状態を表現したくて。それを素直に伝えるには、女性目線のほうがいいかなと思って。これも確か、2人にスタジオで聴かせて、「いいね」って言ってもらった曲ですね。
──なるほど。作った曲をメンバーに聴いてもらって、反応を見ることはよくあるんですか?
吉田 ありますね。スタジオで自分の曲やほかのアーティストの曲をよく歌ってるんですけど、その中に作ったばかりの曲をしれっと混ぜたり。「作ってきたから聴いて」ではなくて、フラットに聴いてもらいたいんですよね。2人の耳を信用しているので、これからも期待してます。
フジイ がんばります(笑)。
ツアーを通して感謝の気持ちを伝えたい
──そして「牙」はエッジの立ったロックチューンで、アルバムの中でも異彩を放っている曲ですが、このアレンジはライブ映えを意識しているんでしょうか?
吉田 作っていたときは意識してなかったんですけど、できあがってから「ライブでやるとカッコよくなりそう」と思いました。歌詞の内容としては……好きな人を失ったときに、愛情が裏返ることってあると思うんですよ。愛情が怒りや憎しみといった牙みたいな鋭い感情になってしまう。そういう曲をマルシィでやっていいのか迷ったんですけど、思い切って新しいことにチャレンジしてみようと。
フジイ ベースも思い切り弾いてますね。
吉田 物議をかもしたよね(笑)。
フジイ ミックスの段階で「ベースの音量が大きい」って指摘されたんですけど、「このままでいかせてください」と通させてもらったんですよ。
shuji ギターの音量もかなりデカいです(笑)。最初にも話しましたけど、こういうロックも自分たちのルーツなんですよ。ただ、ここまでのロックサウンドは今までなかったし、音作りはかなり慎重にやりました。歪ませ具合もそうだし、アンプも3つくらい試しましたね。
──アルバムのCDにのみ、ボーナストラックとして収められている「絵空」についても聞かせてください。ファンの皆さんの間でも高い人気を得ている曲ですが、この曲をアルバムのラストにしたのはどうしてですか?
吉田 ボーナストラックですが、自分としてはアルバムの第2の顔という感じなんです。1曲目の「ラブストーリー」と「絵空」は、“もっとこうすればよかった”という後悔を表現しているところは似てるんですが、自分が込めたメッセージは少し違っていて。聴いてくれた方がどう感じるか楽しみだし、ぜひ曲順通りに聴いてほしいです。
──7月にはアルバム「Memory」を携えた全国ツアーが開催されます(参照:マルシィ、東名阪福を回る初の全国ツアー開催)。意気込みを聞かせてもらえますか?
吉田 ツアー自体が初めてなんですよ。去年の12月に福岡、今年の3月に東京でワンマンライブをやらせてもらったんですけど、自分たちにとって本当に特別なライブだったんです。ハプニングやミスもあったけど、お客さんが優しく、温かく迎え入れてくれて。東京のワンマンでメジャーデビューを発表したときも、まるで自分のことのように心から喜んでくれて、すごく胸にくるものがあって……。7月のツアーは4本なんですけど、1カ月でワンマン4本は未知の体験だし、ものすごく楽しみです。バンドとして一皮むけたいし、「Memory」というアルバムを生の音で届けることで、より深く作品の魅力を伝えられたらなと。
shuji まずは開催できること自体に感謝ですね。これまではあまりライブをやってなかったんですけど、たくさんの方がマルシィの曲を聴いてくれるようになって。ツアーを通して、感謝の気持ちを伝えたいです。
フジイ バンドを組んだときから、ずっとツアーをやりたいと思っていたので、めちゃくちゃうれしいです。会場に来てくださる方に「いいバンドだな」と思ってほしいし、バンドとしてのマルシィを印象付けたくて。福岡のDRUM LOGOSでやれるのも楽しみです。昔から「ここでワンマンをやりたい」と思っていた会場なので。
ツアー情報
「マルシィ one man live tour 2022“Memory”」
- 2022年7月1日(金)大阪府 Music Club JANUS
- 2022年7月10日(日) 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2022年7月22日(金)福岡県 DRUM LOGOS
- 2022年7月28日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
プロフィール
マルシィ
福岡県にて結成されたスリーピースバンド。吉田右京(Vo, G)、shuji(G)、フジイタクミ(B)の3人からなる。2020年5月に「Drama / 絵空」を配信リリース。2022年6月にユニバーサルミュージックより1stアルバム「Memory」を発表し、メジャーデビューを果たした。7月には初の全国ツアー「マルシィ one man live tour 2022“Memory”」の開催が控えている。