マルシィとwacci「音楽と行こう」で“対バンしない同士の対バン”が実現

6月18日と19日に大阪・Zepp Osaka Baysideにて、KDDI主催のライブイベント「音楽と行こう SUPER LIVE Presented by au」が開催される。

「音楽と行こう」は2022年、配信ライブをはじめとした映像コンテンツを通じて全国各地の魅力を発信するプロジェクトとしてスタートした。今年は「音楽とともに、おもしろいほうの未来へ。」という新たなテーマのもと、音楽の魅力を直接来場者に届ける有観客のツーマンライブとして行われる。

DAY 1にはUNISON SQUARE GARDENとPEOPLE 1、DAY 2にはマルシィとwacciが出演する。マルシィはかねてよりwacciのファン。橋口洋平(Vo, G / wacci)が出演するFMヨコハマのラジオ番組「YOKOHAMA RADIO APARTMENT『ドア開けてます!』」にゲスト出演したことをきっかけに交流を深めていった。

音楽ナタリーでは、ライブの開催を前にマルシィとwacciの橋口にインタビュー。穏やかな4人のトークから、「友達がいない」「歌詞の書き方が似ている」といったさまざまな共通点が見えてきた。

取材・文 / 蜂須賀ちなみ撮影 / 関口佳代

ライブ情報

音楽と行こう SUPER LIVE Presented by au

DAY1

2024年6月18日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
UNISON SQUARE GARDEN / PEOPLE 1
※当初出演を予定していたNEEの出演はキャンセルとなりました。

DAY2

2024年6月19日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
マルシィ / wacci

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マルシィが上京当時、聴いていたのは

──撮影中の様子を見て、仲がよさそうだなと。マルシィの3人と橋口さんの交流はどのように始まったんですか?

橋口洋平(Vo, G / wacci) 僕がFMヨコハマで毎週月曜日にレギュラーでやっているラジオ番組「YOKOHAMA RADIO APARTMENT『ドア開けてます!』」にゲストで来てくれて、お話しさせていただいたのが最初でした。

吉田右京(Vo, G / マルシィ) 3回もラジオに呼んでいただいて。僕たちも以前からwacciの楽曲を聴かせてもらっていたので、「やっと会えた」といううれしさもありつつ緊張しましたね。

──マルシィの3人はwacciの音楽に対してどんな印象を持っていますか?

フジイタクミ(B / マルシィ) メロもキャッチーだし歌詞もすごくいいし、誰もが共感できるというか。周りの人、みんな聴いてたもんね。

shuji(G / マルシィ) そうそう。僕らは福岡に住んでたんですけど、「別の人の彼女になったよ」はコンビニとかいろいろなお店でたくさん流れてましたし。それが3年くらい前ですかね。個人的にも大好きな曲で、上京してきたときにも聴いてました。

吉田 僕もshujiさんと同様に「別の人の彼女になったよ」が好きで、以前カバーしたくらいです。あの曲で描かれているような経験を実際にしたわけではないですけど、グッと心をつかまれたんですよね。そういうふうに、誰もが共感する楽曲をずっと作られている方々だと思っていて。音楽をやっている身としてリスペクトしています。

橋口 うれしい。wacciは「とにかく少しでも大きくなりたい」「夢を追いかけるんだ」と言いながらずっと活動してきて、こうして曲を聴いてくれていた人たちが、ミュージシャンになって活躍して……という状況を今見られているわけですから。「続けてきてよかったな」と思うと同時に、「僕もけっこう長く活動してきたんだな」と思いますよね。この取材も含め、マルシィと一緒に何かやれるというのは1つの節目というか、やってきてよかったなと思えるような瞬間の1つです。

橋口洋平(Vo, G / wacci)

橋口洋平(Vo, G / wacci)

ゲストと一緒に電車で帰ったのは初めて

──橋口さんはどのタイミングでマルシィを知ったんですか?

橋口 僕が知ったときにはマルシィの音楽はTikTokとかですでに広まっていて、いろいろな人が自分の恋愛に絡めて動画を投稿したりしていたんですよ。いい曲ばかりで、いい声でいい演奏をするバンドだなと思っていたので、ラジオのゲストに呼ばせていただいたんです。実際に会ってみたら自分と通ずるものを感じたし、3人のことが身近に思えて、すぐに大好きになりました。毎週いろいろなゲストが来る番組ですけど、ゲストと一緒に電車で帰ったのはあの日が初めてだったな(笑)。

フジイ なかなかないですよね(笑)。

橋口  LINEも交換したもんね? 「マルシィは友達がいない」って聞いたんですよ。

吉田 同業の友達があんまりいないから、マネージャーさんからそういうキャッチコピーを付けられて(笑)。橋口さんからは「いや、自分から行ったほうがいいよ」「いろいろなアーティストとごはんとか行ったほうがいいと思う」とアドバイスをいただきました。だけど、あれからけっこう経ったのに、まだ誰ともごはんに行けてないです……(笑)。

マルシィ

マルシィ

橋口 まあ、僕も行けてないので(笑)。そもそも僕が自分から誘えるタイプじゃなかったから、反面教師として「積極的に行ったほうがいいよ」とアドバイスしたんですよ。

歌詞の書き方が似ているかも

──先ほど橋口さんが「自分と通ずるものを感じた」と言っていましたが、例えばどういうところにシンパシーを感じましたか?

橋口 友達がいない同士というのもありますし(笑)、歌詞の書き方が似ているかもしれません。具体的に言うと、2人の関係性を示唆するシチュエーションのピックアップの仕方とか、「好きだ」という気持ちの伝え方とか。例えば「幸せの花束を」なんて、1行目からすごくないですか? 僕自身、ただ風景を見せるだけじゃなくて、登場人物の関係性や気持ち、パワーバランスが伝わる描写ができたときは「いいシーンが書けたな」とテンションが上がるんですよ。同じように、あの曲の「出かけるたびに 二人揃って写真を撮って 感じたことのないほどの幸福度 閉じ込めるように」という歌い出しはすごくいいなと思ってます。

吉田 歌詞は毎回苦しみながら、考えに考えて作っているので、そういうふうに言っていただけてめちゃめちゃうれしいです。

橋口 マルシィの曲は情景描写、心理描写、自分が伝えたいことのバランスがすごくいいですよね。「幸せの花束を」は全体的に優しくて温かい歌だけど、サビで「幸せの花束を 渡すのは僕じゃなきゃ ダメなんじゃない?」と一歩踏み込んだ男らしさが少し見えるのもいい。僕は人に嫌われたくないので、「こういう男性は嫌だ」「こういう女性は嫌だ」みたいなのをめっちゃ勉強してきたんですよ。例えば、男性目線のラブソングを書くときには「この人はちょっと女々しすぎるけど、このがんばりは評価されるだろう」というバランスを大事にしているんですけど、その目線から見ると「幸せな花束を」の主人公はいい男性だなと。優しさの中にちゃんと男らしさがある。

──吉田さん的にも「優しさの中に力強さを」という意識はあったんでしょうか?

吉田 いや、最初から主人公の像を作っていたわけじゃなくて、流れに沿って、けっこうナチュラルに作っていった感じです。歌詞はあとから変えることもけっこうあるんですけど、サビのこのフレーズに関しては、メロディと一緒に最初に出てきたものから変えていないので。