ナタリー PowerPush - Manhattan Records The Exclusives Japanese Hip Hop Hits Vol.4

「“東京”弐拾伍時」インタビュー

DJ HAZIMEによる恒例のミックスCDシリーズ「Manhattan Records The Exclusives Japanese Hip Hop Hits」の第4弾が7月16日にリリースされた。ナタリーではこれを記念して、本作のエクスクルーシブ曲「東京弐拾伍時」に参加したDABO、SUIKEN、S-WORDとDJ HAZIMEへのインタビューを企画。「東京弐拾伍時」の話題を中心に、現在の日本のヒップホップシーンについて語ってもらった。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 小原啓樹

原点に回帰した「東京弐拾伍時」

左からDABO、SUIKEN、S-WORD、DJ HAZIME。

──「東京弐拾伍時」になぜこのメンバーをフィーチャーしようと思ったんですか?

DJ HAZIME 原点回帰みたいなとこかな。

──なぜこのタイミングで?

DJ HAZIME この「Manhattan Records "The Exclusives" Japanese Hip Hop Hits」シリーズと去年末に出した自分のソロアルバム「AIN'T NO STOPPIN' THE DJ VOL.2」で、一緒にやりたかった人との共演や、自分のやりたかったことがあらかた実現できたんですよ。それでそろそろ自分の原点であるこの人たちとやるのが面白いかな、と。あと、この4人は音楽的にも人間的にも特にフィーリングが合うんですよね。単純に楽しい。

──どんなところが?

DJ HAZIME 例えばリリックで言うと、この4人は予想だにしないサプライズが多い(笑)。

──今回はどんなサプライズがあったんですか?

DJ HAZIME

DJ HAZIME 上がってきたリリックが打ち合わせと違う(笑)。

DABO リリックを書く前にみんなでミーティングしたんですよ。そのとき、HAZIMEから“東京”とか“渋谷”っていうテーマを伝えてもらって、加えて「今回はリリックで“ニトロ”と言わない」感じでやろうって話してたんです。でもレコーディング当日にスタジオ行ったら、みんなガンガン“ニトロ”って歌ってて(笑)。

SUIKEN だって俺ら、ニトロだし。

──「東京弐拾伍時」のリリックでこだわった部分はありますか?

DABO うーん、特にないな……。

SUIKEN ないね。サラッと書いたよ。

S-WORD でもね、ほんとにうちらはみんなサラッと書くんだよ。

SUIKEN だって俺ら、ニトロだし(笑)。

“東京24時”からひと回りして一歩進んだ“東京”

──「東京弐拾伍時」というタイトルはHAZIMEさんが決めたんですか?

DJ HAZIME S-WORDですね。みんなが書いてきたリリックを読んで、彼が決めてくれて。

S-WORD 25時っていうのは、24時を越えたあとの時間じゃないですか。そこに“東京”感があるっていうか。24時で1日は終わったはずなのに、この街では25時、26時、27時の物語があるっていう。眠らない街っていうか。

──なるほど。

S-WORD

S-WORD あとMICROPHONE PAGERが十数年前に出したクラシック「東京地下道」に“東京24時”ってパンチラインがあって。今回はそこから時代的にひと回りして一歩進んだ“東京”の感じを出したくて、25時にしました。

──トラックを手がけたBACHLOGICさんには、どのようにオーダーしたんですか?

DJ HAZIME 今回は「流行りのサウンドは意識しなくていい」ということ、それとBLが思う“ニトロ感”を表現してほしいってお願いしたんですよ。でも当時のニトロそのままじゃなくて、2014年の今、ニトロをやるとしたらどんな感じか?っていう。ニトロ好きが聴いて「俺たちが聴きたいのは、こんな今っぽいのじゃないんだよ」って思うようなのは避けてほしくて。その中で最高のものを聴かせてほしいと伝えました。

──そのオーダー通りのトラックですね。

DJ HAZIME うん。求めたものが返ってきたということだよね。

S-WORD 今回はHAZIMEがプロデューサーとして“ニトロっぽい”ものを求めたから、俺らもBLくんもそれに従ったんだよ。この曲はある意味ニトロのアラカルトというか、ニトロのイメージを集約したものと言えるんじゃないかな。

V.A.「Manhattan Records "The Exclusives" Japanese Hip Hop Hits Vol.4」
2014年7月16日発売 / 2700円 / Manhattan Recordings / Lexington.Co., Ltd. / LEXCD-14016
収録曲 / アーティスト
  1. 東京弐拾伍時 / DABO, MACKA-CHIN, SUIKEN & S-WORD
  2. Interlude / DABO
  3. 45 Fingaz of Death(Remix) / NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
  4. Double Trouble / SUIKEN
  5. ナゼナラ / キエるマキュウ
  6. Wonder Wheel / サイプレス上野とロベルト吉野
  7. Fade Away / RIP SLYME
  8. ウワサの真相 feat. F.O.H. / RHYMESTER
  9. Relax Mathaf**ka(23区別注) / G.K. MARYAN feat. MACKA-CHIN, GORE-TEX, GAMA
  10. Interlude / S-WORD
  11. Smokin' Blaff / S-WORD
  12. 夜ジェット / 雷
  13. DA・YO・NE / EAST END×YURI
  14. Interlude / SALU
  15. Spaceboy / SALU
  16. サッカー feat. JAY'ED / AKLO
  17. 23時各駅新宿 / NORIKIYO
  18. 何ひとつうしなわず / BRON-K
  19. O-Town Swinga / DOBERMAN INC.
  20. Let's Get It Started feat. Swizz Beats / ZEEBRA
  21. 夢の痕 / 般若
  22. 病む街 / MICROPHONE PAGER
  23. 字幕 / SOUL SCREAM
  24. HIGH-NEKKEN / 四街道ネイチャー
  25. 彼方からの手紙 / スチャダラパー
  26. 雨降りの月曜 / LIBRO
  27. イッサイガッサイ / KREVA
  28. ゆれる feat. 田我流 / EVISBEATS
  29. 雪ノ革命 / GAGLE
  30. ROLLIN'045 / OZROSAURUS
  31. ミチバタ / COMA-CHI
DABO, MACKA-CHIN, SUIKEN & S-WORD 配信シングル「東京弐拾伍時 」2014年7月9日配信開始 500円
「東京弐拾伍時 」
デジタル版ミックスCD「Manhattan Records Presents "Japanese Hip Hop Hits"(Special Edition)」
「Manhattan Records Presents "Japanese Hip Hop Hits"(Special Edition)」

左からDJ HAZIME、S-WORD、DABO、SUIKEN。

プロフィール(左から)
DJ HAZIME(ディージェーハジメ)

東京・渋谷を中心に国内外で活躍するクラブDJ。「Manhattan Records "The Exclusives" JAPANESE HIP HOP HITS」をはじめ数多くのミックスCDを手がけている。またプロデューサーとしては、SHAKKAZOMBIE、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND、DABO、安室奈美恵、PUSHIM、MINMI、RYO THE SKYWALKERらに楽曲を提供。さらに2004年にはソロアルバム「AIN'T NO STOPPIN' THE DJ Vol.1」、2013年には「AIN'T NO STOPPIN' THE DJ Vol.2」をリリースした。最新作は「Manhattan Records "The Exclusives" JAPANESE HIP HOP HITS Vol.4」。

S-WORD(スウォード)

1975年生まれ、東京都出身のラッパー。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの主要メンバーとして活躍する。メジャーデビュー作品は、2002年3月発売のシングル「KROSS OVA' <斬>」。これまでに「ONE PIECE」「STAR ILL WARZ」「KING OF ZIPANG」といった作品を発表する。CD+DVD仕様の「FORTUNE」では自ら監督を務めた映像作品も収められた。また、FORCE OF NATUREがアニメ「サムライチャンプルー」のサウンドトラックに提供した楽曲「日出ズルSTYLE」にSUIKENとともに参加。

DABO(ダボ)

1975年生まれ、千葉県出身のラッパー。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの主要メンバーとして活躍する。インディーズでの活動を経て、2001年にシングル「拍手喝采」でメジャーデビュー。「THE FORCE」「HI-FIVE」など多数のアルバムを発表し、「デッパツ進行」など多数の人気曲を残した。また客演ラッパーとしてBoAやPUSHIMといったシンガーからキエるマキュウなどさまざまなアーティストと共演。ANARCHY、KREVAと共演したDJ HAZIME「I Rep」は日本のヒップホップシーンで大きな話題となった。

SUIKEN(スイケン)

1975年生まれ、東京都出身のラッパー。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの主要メンバーとして活躍する。2000年にリリースされたシングル「ALKMAN」でメジャーデビュー。「SUIKEN PRESENTS SIXTEEN STARS」「STRAIGHT FROM THE UNDERGROUND」「HOT IN POT」「DEVELOPMENT」という4枚のフルアルバムを発表した。さらにSUIKEN×S-WORD名義でアルバム「HYBRID LINK」「MASTER LINK」という2作品を残している。