ナタリー PowerPush - AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~

野望実現! 成田大致×吉田豪

プロレスの熱気を音楽で表現したい

──とりあえずやりたいことはデビューアルバムに全部ぶち込んでみたっていう感じなんですか?

大致 まあ、やれる範囲内でベストを尽くしたというか。今振り返るともっとやりたいことはいっぱいあるんですけど……普通のバンドみたいなこと言っちゃいましたね(笑)。

──普通のバンドみたいなこと言うのは反省ポイントなんですね(笑)。「夏の魔物」にもももクロを出したいみたいなことは前から言ってましたけど、そういう要素もバンドに取り込んだというか。

大致 はい。それは去年から言ってて、結局今年も叶わず。

──叶わなかったけども、アイドルはかなり強化しましたよね。でんぱ組.incに、BiSに、しず風&絆に、アリス十番に、アップアップガールズ(仮)と。

大致 そうですね、ちょいちょい布石を打ってたんですけど。今回は会場をデカくして4ステージにしちゃって、リミッター外しすぎというか。

──もともとステージ1個で絞り込んでやってたのが、ここまで増えたらなんでもできるぞっていう。

大致 プラス、やっぱこいつ(マネージャー)とずっといろいろ考えてて、夜中の悪ノリみたいなのあるじゃないですか。昔はバランス取ってたところもあるんですけど、4つもステージあったらできるじゃんとか、時代の流れ的にもやっていいんじゃないかっていうのがあって。それこそ「時は来た!」じゃないですけど、それが今年は特に強くて。

──説明すると橋本真也の名台詞ですね(笑)。要は、激しいライブやりそうなアイドルをとりあえず呼んどこうって感じで。

大致 アイドルもそうなんですけど、アイドルが好きで呼んでるっていうよりは、プロレスと一緒で熱気っていうんですかね。あれも全部プロレスと一緒だと思うんで。例えばスカパー!のPRIDEのPPVの熱気とか、生では観れなかったんですけど……。

──現場は熱かったですよ!

大致 全部PPVで観てました。なので、ああいう空気感を作りたいっていうのもフェスやってる理由ですよね。

──なるほど。PRIDEみたいな熱い空気感を作りたくて「夏の魔物」をやってる、と(笑)。

大致 そうです。観客も本気になってるっていう。新日本 vs. Uインターのときとか。

──ホントすごかったですよ、あのときの東京ドームは。

大致 俺はビデオとかでしか補完できないじゃないですか。それを音楽でやってるのが「夏の魔物」です(キッパリ)。

ゼロワン初期のカオス感

──ライブにも戦いの要素を入れたかったりするわけですか?

大致 そうですね。セットリストとか、新曲多めにやってほしくないとかは念頭にありますし。ガチの本気のぶつかり合いっていうか、予定調和でありつつも成立してるギリギリの感じっていうのが「夏の魔物」でやりたいことです。

──それをやったらThe Mirrazとの騒動に発展したわけですね。

大致 そうです(笑)。プラス、みんな他にも出演したバンドたちも若くて、予想外のことをみんなしてくるんで。1曲で終わらせたりするバンドがいたりとか。

──いろんなトラブルも面白がれるタイプなわけですよね。

大致 なんですけど、The Mirrazだけはマジに怒っちゃったんで。

──その結果、大問題に発展して。

大致 あのときはまだ未熟でした、すみません!

──「今度は、もっといいプロレスを心がけます!」。

大致 ハハハハ、そうですね(笑)。破壊なくして創造なし!

──橋本のフレーズよく使いますよね(笑)。

大致 そうですね。完全に「紙のプロレス」の影響じゃないですかね。

──名前のせいか橋本大地感は感じてたんですよ。

大致 マジですか(笑)。まあ、年も近いし。

マネージャー まだ実力がないところも一緒だね。

──それでも物怖じはしないっていう。

大致 この前の「週プロ」で「仮面ライダークウガ」の話をしてる橋本大地の写真が載ってたんですけど、初めて橋本の息子っぽいなっていう顔をしてて。なんでそれを試合で出さねえのかって。どうしてこの良さが……やっぱり今のゼロワンあんまり好きじゃねえなって。

──初期は面白かったですよ。

大致 初期は最高ですよね! あのカオス感がバンドでやりたいことに近いんですよ。

──あれを最後にプロレスから離れたファンがすごく多いんですよね。ゼロワンにすごい期待してたら、ゼロワンがいろんな圧力によって、悪い意味でまとまっちゃって。その頃ちょうどモーニング娘。とかが盛り上がってたから、そっちにフラッと行っちゃったっていう。

大致 あのときがみんなでガッと盛り上がった最後ですよね。すげえ覚えてる。中学校の総合学習っていう時間に、俺はプロレスの研究をして。

──プロレスの研究!

大致 はい、デカい新聞を作って、ビデオも流して。ゼロワン旗揚げ戦の乱闘の説明をなぜかクラス全員にして。これがいかにすごいのかっていうのと、あと武藤敬司のシャイニングウィザード30連発みたいな、シャイニングウィザードの瞬間だけ何回もダビングして、ここのこれがすごいんだって……なんでやってたんだって感じですけど。

──昔からプロレス観の違いで人とギクシャクしてたんじゃないですか(笑)。

大致 ハハハハハ!(笑) かもしれないです!

──「なんでこれわかんねえんだよ、伝わんねえなあ」って。

マネージャー 小学校のときもそれでケンカしてたよね。

大致 ああ、してたね。

──それはプロレス観の違いで?

大致 いつもしてました。あと、「ファイプロ」で、こっちはプロレスしようとしても、常にガチで来ちゃう友達がいて。例えば4人で集まってバトルロイヤルやるとかなると、「なんかこいつ、全然わかってねえな」って。みんな一緒にプロレス観に行ってたのに、なんでこいつわかんねえのかなっていうのは常にあって。案の定、そいつは格闘技とか好きになって、どんどん距離ができて(笑)。

常に説明不足

──プロレスをどう音楽に取り入れていきたいですか?

大致 なんて言ったらいいですかね。今、どっちかっていうと総合格闘技的なバンドか、ドラゴンゲート的なバンドかのどっちかなのかなって思ってて。

──その概念をちゃんと説明しましょうよ(笑)。

大致 具体的に説明がつかないっすね。

マネージャー (呆れながら)さっきパッケージングの話したろ。

大致 あ、そうだ! まあ、パッケージングプロレスですね。

──アニメの要素もアイドルの要素もみんな取り入れちゃえばいいじゃないかっていう。

大致 はい。初期FMWみたいに、おもちゃ箱を引っくり返したようなものがやりたいっていうのはありますね。それをロックバンドでやったら面白いっていうか。もちろんそれはプロレスなんですけど、マジでやってるし。ほら、「キン肉マン」の裏切りの箱の友情の人形あるじゃないですか。あれがみんなこっち向いててそのまま終わったっていうのが前までのバンドだとしたら、例えば7人いたら7人でそれぞれ違う個性があるバンドでありてえなって思ったんですよ。

──またこれも伝わりづらい話ですよ!

マネージャー こうしてツッコんでくれてよかったな、おまえ。この話、ほかのインタビューでも4回ぐらいしてて、4回とも原稿で削られてるから。

インタビュー写真

──ダハハハハ! 「キン肉マン」要素が入ってるのは今年の「夏の魔物」のポスター見てもわかりますけど、まあこれも説明不足で。

大致 完全にそうですね。

マネージャー 2日連続インタビューで「説明不足」って怒られる人、初めてじゃない? 昨日は取材日だったんですけど2社連続、説明不足だって言われて、昨日も新メンバー入るからってのは前から言ってたけど、ツインベースだから。って突然言ってきて、俺に説明不足だって怒られて、今、豪さんにも言われて。

──自分の中ではハッキリとビジョンができてるから、それが伝わらないのがもどかしいわけですよね。

大致 そうです。それに向かって自分が投げたことに対して、想像以上のことを返してくれてるのが、例えば今回のアルバムのゲスト参加陣とかなんですけど、それをバンドメンバーともやりたいっていう。そうやって刺激を与え合いたいっていうか。

マネージャー だからメンバー募集ってことでしょ。

大致 そうだね。

──メンバーに仮面ライダー的な要素だったりとか、普通のバンドメンバー的じゃないものを求めたいわけですよね。

大致 わかりやすく言うと、どこを観てても面白いバンドとか、オケだけ聴いてても楽しいとか、それがバンドでライブでもそうなったときSILLYTHINGがやっと成立するんじゃないかなと思ってて。そうなったら武藤敬司のパッケージングプロレスじゃないけど、DDTとのやり方とかともすごく近くて、DDTはほかのものを取り入れてプロレスにしてるじゃないですか。それをバンドでやったらどうなるんだろうっていう、その好奇心ですよ。

AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~

2012年9月22日(土)
青森県 東津軽郡平内町夜越山スキー場
OPEN 6:30 / START 7:00

AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~ ポスター

<出演者>
内田裕也&トルーマン・カポーティR&R BAND / 神聖かまってちゃん / スチャダラパー / 在日ファンク / DJ BAKU / SIMI LAB / 曽我部恵一BAND / フラワーカンパニーズ / Hermann H.&The Pacemakers / ZONE / ブリーフ&トランクス / 藍坊主 / アーバンギャルド / 0.8秒と衝撃。 / avengers in sci-fi / OGRE YOU ASSHOLE / bloodthirsty butchers / KING BROTHERS / SCOOBIE DO / キノコホテル / ザ50回転ズ / LAUGHIN' NOSE / ニューロティカ / 人間椅子 / バンドTOMOVSKY / 武藤昭平 with ウエノコウジ / THE NEATBEATS / 騒音寺 / 夜のストレンジャーズ / 三上寛 / でんぱ組.inc / BiS / しず風&絆~KIZUNA~ / アリス十番 / アップアップガールズ(仮)/ ULTRA-PRISM / 石鹸屋 / 流田Project / SEBASTIAN X / パスピエ / タルトタタン / 東京カランコロン / 嘘つきバービー / 踊ってばかりの国 / 撃鉄 / 住所不定無職 / SAKANAMON / KETTLES / 忘れらんねえよ / THE★米騒動 / hotspring / ボトルズハウス / ソンソン弁当箱 / 本棚のモヨコ / TEENAGER SEX LESS / ヒロシ / 吉田豪×杉作J太郎 / あやまんJAPAN / DJ ダイノジ / DJ 掟ポルシェ / DJ 桃知みなみ / DJ 鹿野淳 / DJ サミー前田Tribute to Fuckin'Great YUYA! / DJ FREE THROW(弦先誠人、神啓文、タイラダイスケ) / DJ TOKYO BOOTLEG / MC.アントーニオ本多 / DDTプロレスリング / ほもいろクローバーZ / SILLYTHING+鈴木秋則(ex.センチメンタル・バス)+ハジメタル(ex.ミドリ)+prkr(PF AUDIO)+ケンドー・ツ・シマ(dry as dust)+大内ライダー(太平洋不知火楽団)/ PANTA(頭脳警察)with 菊池琢己 / まつきあゆむ / うみのて / 大森靖子 / THE××ズ / 加藤鷹トークショー / うしじまいい肉撮影会 / バンドマンのすべらない話 / 大内ライダー(太平洋不知火楽団)presents 特撮座談会 / うさぎのなみ平 / DJ 歴ドル 美甘子 / DJ 庄司信也 / HERE COMES A NEW CHALLENGER SUPER NATSUNO MAMONO FIGHTER ZERO

[DDT提供t試合]
飯伏幸太+KUDO+大石真翔(ex.ほもいろクローバーZ)VS. 高木三四郎+アントーニオ本多+中澤マイケル スペシャルゲスト:ヨシヒコ