僕らの頃はツッコミの時代だったけど、今はボケの時代だと思う
──メジャーデビューしたときに、レーベルのトップに「ずっと面倒を見るわけじゃないから」と言われたそうですね。
桜井 そうですね(笑)。まあ、こっちとしても「あまり力を入れられても困る」と思ってたから、WIN-WINなんですけどね。
YO-KING 自由にやらせてもらわないと、きついからね。特に俺は性格的に無理。多動症だから(笑)。
──実際、真心の音楽性は時期によってかなり変化していて、アルバム「KING OF ROCK」でミクスチャーロックやヒップホップを取り入れたあとも変化を繰り返してきましたが、「同じことはやらない」という意識もあったんですか?
桜井 いやいや、そのときにやりたいことをやってるだけですけどね。でもねえ、どっかで「要はフォーク」と思ってるんですよ。「KING OF ROCK」のときもそうだけど、YO-KING先輩からにじみ出るフォーク感はずっと変わらないんじゃないかなと。Corneliusの弾くAマイナーとYO-KINGのAマイナーは全然違いますからね。
YO-KING まあ、変わらないものがあるんでしょうね、自分ではわからないけど。僕が感じてるのは、「自分の天然さを受け入れる時代に入ってきた」ということかな。俺はどっちかというとツッコミだったんだけど、やっぱりボケなのかなという気がしてきて。
──それは真心の中の役割ということですか?
YO-KING いや、俺個人として。僕らの頃はツッコミの時代だったんですよ。常にクールで熱くならず、天然の人に対してツッコミを入れるというか。“新人類”とか“シラケ世代”って言われてたのも、そういうことでしょ? でも、その時期に自分の天然を隠していた人はけっこういたような気がして、俺もそっちだったのかなと。ツッコミのほうが頭がよく見えるし、カッコいいとされてたんだけど、今はボケの時代だと思うんですよ。突拍子もない行動を取る人に対して、みんながツッコむというのかな。でも、人もお金も、その天然の人に集まってくるっていう。だってさ、大スターって大ボケじゃん。ジョン・レノンもそうだし、レッチリもそうだし。ボブ・ディランもすごいよね。「なんだよ、『NEVER ENDING TOUR』って! いつまでやってんだよ(ボブ・ディランは1990年代から『NEVER ENDING TOUR』という名前のツアーを続けている)」って話でしょ(笑)。
桜井 そういうツッコミを世の人たちが呟いてくれる時代なんですよね。
YO-KING そうだね。あとね、天然は強いんだよ。頭を使わないで、やりたいことをやってるだけだから(笑)。
楽しく演奏することがゴールなんだから、それ以上のことを求めると苦しくなるのかも
──YO-KINGさんはステージで“機嫌よく生きることの大切さ”を話し続けていますよね。あの思想は何がきっかけで生まれたんですか?
YO-KING いつから言い出したかはわからないけど(笑)、「自分の職業は人気者」だと思ってるフシがあるんだよね。実際、幼稚園の頃からずっと人気者なんだけど。
──まさに「人気者で行こう」(1984年に発売されたサザンオールスターズのアルバムのタイトル)ですね。
YO-KING そう、あのタイトルはすごいよね。何が言いたいかというと、人気者は機嫌にムラがあっちゃダメだと思うんだよね。さっきまで機嫌よかったのに、いきなり怒ってコップ投げつけたり、急に泣き出しちゃうような人って嫌でしょ(笑)。人気者は機嫌が一定していて、常に楽しそうじゃないとさ。もともとそういう人だったのか、そうなろうとしたのかは覚えてないけど、俺はずっとそうなんだよ。機嫌悪い人も嫌いだしね。まあ、機嫌悪い人がいたら逃げればいいだけなんだけど。立ち向かう必要もないし。
──真心の現場はみんな機嫌よく過ごしてるんですか?
YO-KING だいたい機嫌いいんじゃない?
桜井 例外もあるけどね。「今日、機嫌悪いっすね、〇〇さん」ってこともあるし(笑)。それも好きなんだけど。
──(笑)。ライブに足を運んでいる真心のファンも影響を受けているというか、「機嫌よく過ごそう」と思ってる人が多い気がします。
YO-KING うん、そうだと思いますよ。ポップスターは音楽だけじゃなくて、人となりでファンに影響を与えるじゃないですか。たとえば声の調子が多少悪くても、機嫌よくライブをやって、「今日も機嫌よくやってるな」「俺も明日からがんばるか」って思ってもらえればそれでいいんですよ。声の調子をよくするのは難しいけど、機嫌よくするのはがんばればできるじゃん。できることをやってる感じですね、人気者として(笑)。
──桜井さんも「ご機嫌な雰囲気を受け取ってほしい」という意識でステージに上がってるんですか?
桜井 いや(笑)、ライブのときは自動的に楽しくなるから、まったく意識していないです。1人で弾き語りするときは「鼓舞しないと」という感じになるけど、バンドのときは全然そんなことなくて。みんながいい演奏してくれて、その上に乗っかってれば、いつもご機嫌です。
YO-KING 演奏するのは楽しいよ。リハもちょっと楽しいし、ましてやお客さんの前でやるなんて、楽しくないはずがない。
──それが音楽活動を続ける力になってる?
桜井 うん、それは大きいですね。
YO-KING それ以上のことを求めると苦しくなるのかもね。楽しく演奏することがゴールなんだから、それを維持するためにがんばればいいんだから。
──9月27日の日本青年館公演から始まるツアー「トランタン」も、機嫌よくやれそうですね。
桜井 そうですね(笑)。30周年でお客さんに感謝できる場所があるのもすごくいいし。いい調子でやってますよ。
──その後はオリジナルアルバムですか?
桜井 それもボチボチ考えてないとね。まだ何も決まってないけど。
YO-KING まったく未定です(笑)。今年は30周年の企画がいろいろありますから。それを楽しむのが今のミッションですね。
ツアー情報
- 真心ブラザーズ30周年記念ライブ・ツアー「トランタン」
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- 2019年9月27日(金)東京都 日本青年館ホール
バンド:Low Down Roulettes Z - 2019年9月28日(土)東京都 日本青年館ホール
バンド:MB's - 2019年10月20日(日)愛知県 DIAMOND HALL
バンド:Low Down Roulettes Z - 2019年11月2日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
バンド:EMOTIONAL ROCKERS - 2019年11月3日(日)香川県 高松festhalle
バンド:EMOTIONAL ROCKERS - 2019年11月13日(水)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
バンド:CRAZY BUFFALOES - 2019年11月14日(木)京都府 磔磔
バンド:CRAZY BUFFALOES
- 2019年11月20日(水)東京都 マイナビBLITZ赤坂
バンド:CRAZY BUFFALOES - 2019年11月24日(日)宮城県 Rensa
バンド:Low Down Roulettes Z - 2019年12月6日(金)北海道 Zepp Sapporo
バンド:Low Down Roulettes Z - 2019年12月8日(日)大阪府 なんばHatch
バンド:Low Down Roulettes Z - 2019年12月13日(金)福岡県 DRUM Be-1
バンド:CRAZY BUFFALOES - 2019年12月14日(土)福岡県 イムズホール
バンド:Low Down Roulettes Z
- 2019年9月27日(金)東京都 日本青年館ホール
- MB's
- 須貝直人(Dr)
上野一郎(B)
奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)(Key)
うつみようこ(Cho)
上石統(Trumpet)
西岡ヒデロー(Trumpet)
首藤晃志(Altosax)
宇田川寅蔵(Tenorsax)
- Low Down Roulettes Z
- 伊藤大地(グッドラックヘイワ、サンフジンズ)(Dr)
岡部晴彦(B)
野村卓史(グッドラックヘイワ、NATSUMEN、WUJA BIN BIN)(Key)
うつみようこ(Cho)
- CRAZY BUFFALOES
- サンコンJr.(ウルフルズ)(Dr)
グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)(B)
- EMOTIONAL ROCKERS
- 茂木欣一(フィッシュマンズ、東京スカパラダイスオーケストラ、So many tears)(Dr)
柏原譲(フィッシュマンズ、Polaris、OTOUTA、So many tears)(B)
沖祐市(東京スカパラダイスオーケストラ)(Key)
※記事初出時、本文中の曲名に誤りがありました。お詫びして訂正します。
2019年9月25日更新