1つひとつのライブをクリアしていきたい
──ここからはいぎなり東北産の近況について話を聞いていきたいのですが、その前に、昨年12月29日にパシフィコ横浜 国立大ホールで行われたワンマンライブ「いぎなり東北産 2023年大一番ライブ ~いぎなり伝説への幕開け~」について振り返らせてください(参照:いぎなり東北産のパシフィコ横浜“大一番”公演、9人の戦士が生み出す伝説が幕開け)。
パシフィコ横浜公演は、剣を集めるというストーリーに沿ってライブが進んでいったんです。ブチ上げるよりも“魅せる”タイプの曲が多かったりといつもとは違ったライブで、ステージングの面で悩んだりもしたんですけど、みんなでたくさん話し合っていいライブを作ることができたと思います。セリフを合わせたり、1回のステージのためにメンバーみんなで練習を重ねていくのも楽しかったですし。それと、私は剣を使った演出が夢だったんですよ。
──なぜ剣の演出が夢だったんですか?
東北産ってなんだか戦隊モノっぽいし、昔から勇者をイメージした演出をライブでするのが夢だったんです。もし自分でライブを作れるとしたら、みんなが勇者っぽい格好で「天下一品~みちのく革命~」を歌いながら登場する演出をやりたくて。今回、「天下一品」が流れる中、みんなでステージに降りてポーズを決めるシーンがあって、それすごくカッコよかったです。夢が叶いました(笑)。
──おめでとうございます(笑)。
うれしかったです(笑)。メンバーもみんなも楽しそうでした。スタッフさんに「剣、持って帰っていいよ」と言われたので、みんなもらって帰りました(笑)。ただ、パシフィコ横浜はすごく大きい会場で、大勢の皆産が来てくださったんですけど満員まではいかなくて。東北産がこれからも前に進んでいくために1つひとつのライブを全部ちゃんとクリアしていきたいと思ってるので、今年の12月29日にもう一度パシフィコでワンマンライブをやって、リベンジすることにしました。
根性でぶつかりたい
──東北産は今年に入ってからも積極的にライブ活動を行っています。3月に始まったライブツアー「2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO」で感じたことを聞かせてください(参照:いぎなり東北産「TOHOKU-SAN EXPO」初ユニット曲も交えて提示された多彩な魅力)。
メンバーがそれぞれのパフォーマンスの見せ方を発見して、各自の色を出すようになってきたんですよ。それが昔と違うところかなと思います。昔はただがむしゃらに歌って踊っていたのが、今はみんな頭で考えながらパフォーマンスにメリハリを付けるようになってきました。だからグループ全体として強くなっているし、どのメンバーを見ても輝いてると思います。前は団体芸だけで勝負していたけど、個人のスキルが磨かれて、それがどんどん強化されてるなと感じていてます。
──メンバーそれぞれ自信が付いてきたということかもしれないですね。
そうかもしれないです。あと、振り返ると、私的にはしんじゅの加入(2018年11月)が大きかったかなと思います。
──吉瀬さんはほかの事務所でアイドルの基礎を学んだ人ですし、彼女がいい刺激をメンバーに与えてくれた?
はい。しんじゅはパフォーマンスの見せ方がすごい上手なので、みんなそれを見て「こんな表現があるんだ」って気付いて、どんどん自分の得意な部分を掘り下げていった感じがします。もちろん自分の得意な分野を確立するうえで悩んだりもするんですけど、東北産らしさを残しつつ、これからも個人個人で表現力を上げていけたらいいなと思います。
──その中で、橘さんはどういう表現、ステージングをしていきたいと思ってるんですか?
私はですね、全力でやることしか知らないんですよ(笑)。普通の子なので、たぶん手を抜いたらみんなのレベルに届かない。だからとにかく全部に対して全力でぶつかって、何か伝わればという気持ちでやっています。あと、最近はうまく歌うことよりも、気持ちを届けたいという意識でステージに立っています。魂ですね。根性でぶつかりたいです。
──初期から変わらぬ全力感はずっと持っていると。
はい。ちょっと迷走していたときもあったんですけどね。でも、そこは変えずでいいのかなと思っています。
──迷走期はいつ頃だったんですか?
最近です。ツアー中も迷走していました。
──ホントに最近ですね。なんで迷走したんでしょう?
東北産は、今年から「毎月都内近郊フリー巡業」というご新規さんに観てもらうためのフリーライブを行っているんですよ。ただ、フリーライブはお客さんとの距離が近かったり、撮影が可能だったりするので、もともとの型を崩さないようにパフォーマンスしながらも、いろいろと考えることが増えたんです。自分はウォー!っていうテンションでパフォーマンスすることしか知らないので、きれいに踊ることとかが苦手で。「これで合ってるのかな?」と悩んじゃったんです。だからツアーではその反動でめちゃ暴れて、たまに変なダンスをしちゃっていました(笑)。
──ライブでの解放感と、よりメリハリの付いた表現が橘さんをクレイジーにさせてしまうと(笑)。
そうですね。いろんな表現の仕方をしなきゃいけなくなってきたので、曲によっては抑えたりもするけど、解放したときはパワーが倍増しちゃいます(笑)。
──ツアーやフリーライブのほか、東北産主催の対バンイベント「A LIVE SENDAI」も始動しました。1月の第1弾で≒JOYと競演したのに続いて、6月29日の第2弾ではつばきファクトリーとのツーマンライブが行われます。スターダスト外のグループとの対バンを通して、相手からいろいろと吸収してやろうという意気込みを感じます。
そうですね(笑)。私たちにとって初めての主催イベントになるんですけど、東北産は負けず嫌いなので、会場ごとガッと食べる勢いで気合いが入っています。でも、初回も第2回もすごいアイドルさんがゲストなので、自分たちもびっくりしています。
──ニアジョイとのライブはどうでしたか?
ニアジョイさんは、私たちとはパフォーマンスの種類が違うのでとても刺激を受けました。本当にたくさんのキラキラを浴びましたね。かわいい見た目だけどライブがすごく熱くて、それがカッコよかったです。つばきファクトリーさんとのライブでもどんな化学反応が起きるか楽しみです。
──東北産として楽しみながら戦えるイベントだと。
はい。楽しみだし、かなり気合いの入るライブですね。負けたくない気持ちは強いですが、毎回仙台の会場なので、対バン相手のアイドルさんには純粋に東北を楽しんでいただけたらなと思います。
私がアイドルを続けている理由
──では、ここからは橘さん個人について聞いていきましょう。橘さんは昨年10月21日に20歳になりましたが、芸歴は何年になるんですか?
ありがたいことに、11年です。小学生の頃からこのお仕事をさせていただいてます。
──人生の半分以上をアイドルとして過ごしていると。20歳になって何か変わったことはありますか?
20歳になったからこそ、「ただ激しいままでいいのかな?」「もっと何かあるんじゃないかな?」ってステージでの表現について悩んだんだと思います。小学生の頃は、20歳になるまでアイドルを続けていると想像もしてなかったですし。あと、変わったこととしては、メンバーとごはんに行く機会が増えましたね。深い話をすることも多くなって。この歳になってもメンバーが昔のまま変わっていないことが一番うれしいです。
──東北産のメンバー全員が20代になるのはいつですか?
来年の3月ですね。最年少のみう、かーやがそのときに20歳を迎えるので、みんなで飲めるようになります。
──なんで飲む基準なんですか(笑)。
あははは。純粋にうれしいなって。でも、全員が20歳を超えたら何かが変わるかもしれないですね。
──もちろん年齢によって考え方が変わるとは思いますが、この先ずっと変わらない部分もあるんじゃないですか?
そうですね。「変わらないために変わりたい」とすごく思います。何かを守るために……その何かが自分にとっては東北産なのかな。強い芯を持っている人になりたいですね。
──では、橘さんがアイドル活動をするうえでの一番のモチベーションになっているもの、今一番元気をもらえてるものはなんですか?
メンバーですね。さっき言ったように、私は悩んじゃうこともあるんですけど、メンバーみんなホントに優しいんです。夜中まで話を聞いてくれて、そのまま徹夜でライブに行ったこともあります(笑)。とにかく、東北産はどんなときでも楽しもうとするんですよ。普通はライブが終わったらそれぞれおうちに帰ると思うんですけど、みんなでごはんに行くし、ライブとライブの合間のちょっとした時間にみんなでお出かけしたりするんです。何気ない時間をキラキラさせてくれるメンバーは、私にとってかけがえのない存在ですね。このメンバーで大きな夢を叶えたいというのが、私がアイドルを続けている理由な気がします。
──橘さんにとって、東北産メンバーがキラキラした宝箱みたいだと。
ホントにそうですね。私はそれを守り抜きます!
──幼い頃からずっと一緒にいて、ぶつかったりすることはないんですか?
そういうのはないですね。メンバーみんなホントに優しいんですよ。こういうのって珍しいことなんだろうな、すごいなと思いながら活動しています。私は心を開ける友達にあまり出会ったことがなかったので、なんでも話せて一緒に全力になれる仲間がいることが生きるうえでのモチベーションになっていると思いますし、メンバーのために全力になれる覚悟は常にできています。
──メンバー間でものすごい信頼関係ができあがっているんですね。
はい。あと、私のモチベーションになっているのは皆産ですね。お客さんの存在はとても大きいです。私たちはステージに立つと最強になれると思っているんですけど、それは皆産がいてくれるからこそで。東北産の楽曲って、皆産の声が合わさったときに生まれる熱がすごいんです。魂が宿るような感じ。それに、皆産の笑顔を見ると「私はこのためにがんばってきたんだ」って力が湧きます。そう思わせてくれる皆産も私の宝物ですね。皆産含めてチーム東北産だと思っているので、ずーっとみんなでがんばりたいです。
──橘さん、熱いですね。パシフィコ横浜ワンマンのリベンジへの思いも含め、今後の東北産としても目標を聞かせてください。
「東北産はこれ!」と思えるようなものをもっと確立したいですし、より自信を持って活動できるようになりたいです。東北産のよさって、ライブの熱量やパワーだと思うんです。みんなのパワーが集結する感じ、ガチな感じがもっと出たらきっと恐ろしいだろうなと思います。たぶん、気持ちが伝わるライブって、そういう一生懸命さが表に出ているかどうかだと思うんですよね。気持ちや気迫ってパフォーマンスのスキルとかを凌駕するものだと思うので、それをもっとチームとしてグワッと出せたらなって。そうした中で、全力なだけじゃないカッコいい“魅せ方”も身に付けていけたらいいなと思います。熱量だけのライブはたくさんやってきたので、今は次のステップに行く段階だなとすごく感じていて。だけど、汗だくにならないとまだ不安になっちゃう部分もあるので(笑)、全部に対して自信を持ちたいです。
──熱量と、お客さんを魅了する力を併せ持つグループでありたいと。
今年1年はパシフィコの“リベンジイヤー”だと思っていて、フリーイベントをやっているのも、「沼れ!マイラバー」をTikTokでバズらせようとがんばっているのも、全部パシフィコにつなげるためなんです。一生懸命努力したからこそ見える景色が絶対にあると思うので、とにかく今年1年、全力で駆け抜けたいです。私たちが目標を達成すれば、きっと皆産も喜んでくれると思うので、皆産の笑顔のためにもがんばりたい。パシフィコを満員にするという課題をちゃんとクリアして、さらにその先の目標である武道館までしっかり歩いていきたいです。その一歩をちゃんと踏める、気持ちの入ったライブができるようにがんばります!
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いぎなり東北産メンバー 手書きメッセージ