ナタリー PowerPush - 坂本真綾

内澤崇仁(androp)との初コラボ 新たな出会いがもたらす刺激と変化

デビュー20周年の準備と気分

──今年はこうして新しい出会いが生んだ楽曲が2枚のシングルとして形になりましたけど、この先々でやろうと思っていること、決まっていることなどあったら教えてもらえますか?

私、もともとそんなに先々のことまで考えないタイプの人間なんですけど、来年はデビュー20周年なので……なんかやんなきゃなということで準備はぼちぼち進めています。

──ああ、もう来年が20周年なんですね。

記念イヤーが来ちゃうんですね、あっという間に。ついこの間15周年をお祝いしたような気がしつつ。でも、この5年間の濃密さを考えると、もう5年なのか、まだ5年なのかよくわからないというか。もっと昔のような気もするし。この5年で得たものは本当に大きくて。それまでの15年とこの5年が同じぐらいの濃さで存在するような気がするんですね。あと記念イヤーはどうしても自分のこれまでを振り返るタイミングになりますけど、15周年とそのあとの「ミツバチ」(2012年11月発売のシングルコレクションアルバム「シングルコレクション+ミツバチ」)で十分振り返ったから(笑)、20周年の気分としては、またそこで面白いチャレンジがあればいいなと思っています。

「矢野フェス」初参戦

──この5年間の充実ぶりは、思い返すと確かにものすごくて。特に変わったのはライブへの姿勢ですよね。15周年の武道館公演(2010年3月31日の東京・日本武道館公演「坂本真綾 15周年記念LIVE『Gift』」)まではあまりライブに積極的ではなかったのに、この5年はツアーも数本あり、年越しライブもあり、さらにはロックフェスにまで出演するようになるという。

いやあ、変わりましたねー。

──つい先日、2年連続の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」出演もありましたし、9月には矢野博康(ex. Cymbals)さんが主催するイベント「YANO MUSIC FESTIVAL」への参加も決まって(参照:矢野フェス今年は2DAYS!真綾、トーフ、Negicco初参加)。これすごく驚いたんですよ。

私もびっくりしましたよ。「この中に私!?」って。でも誘ってもらえてうれしいなというのと、矢野さん自身が出てほしいと思ってくださったのはすごく光栄なことで。去年「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に初めて出たときも緊張しましたけど、それ以上に緊張してますね。

──おそらくこれが坂本さんのライブ初体験になる観客が多いと思うんですよね。

せっかくなので1人でも多くの人に気に入ってもらえたらなと思っています。矢野さんとご一緒するのは今回が初めてなんですけど、意外と矢野さんと私の周りには共通している方が多くて。

──そうですね。「矢野フェスバンド」のドラムは「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で坂本さんのバックを務めた小松シゲル(Dr / NONA REEVES)さんですし、ほかの出演者も実は共通項の多い人たちが多いんですよね。実は非常に接点の多いシーンで、いつかこういう共演が実現したらなーとは思っていたのですが。一見意外な組み合わせだけど、きっと親和性はすごく高いと思うんですよ。

ええ。だからセットリストについては案外悩まずに、好きな曲だけを持っていけばきっとお客さんにも喜んでもらえるんじゃないかなって。小松さんは「矢野フェスのお客さんはみんないい人だから楽しめるよ」って励ましてくれました。

──ただ「矢野フェス」って独特のムードがあって。矢野さんによる謎のトークコーナーとか(笑)、リレー形式でつないでいくオープニングのメドレーとか、あの輪の中に坂本さんが入るのかーという余計な心配はあります(笑)。過去のメドレーでは、秦基博さんがアイドリング!!!の「モテ期のうた」を歌いながら登場するという珍場面もありましたし(参照:良質ポップスぎっしり4時間!「矢野フェス」2年目も大盛況)。

あはははは(笑)。

──坂本さんが誰の曲を歌いながら登場するのかは、ほかのライブでは観られない注目ポイントですね。

ですよね。私もお客さんだったらきっと楽しみですもん。でも自分が誰の曲を歌うのかも楽しみだけど、誰が私の曲を歌ってくれるのかもすっごい楽しみですね。何を歌ってくれるんだろ。

──これを機に坂本さんの音楽に興味を持つ人も多いでしょうし、坂本さん目当てのファンにとっても新しい刺激が多いイベントになるんじゃないかと思います。

そうですね。できるだけ多くの人に喜んでもらえるようなライブができたらと思います。

ニューシングル「レプリカ」 / 2014年8月20日発売 / FlyingDog
初回限定盤 [CD2枚組] 1944円 / VTZL-85
通常盤 [CD] 1188円 / VTCL-35190
CD収録曲
  1. レプリカ
    [作詞:坂本真綾 / 作曲・編曲:内澤崇仁 / ストリングス編曲:内澤崇仁・石塚徹]
  2. coming up
    [作詞:坂本真綾 / 作曲・編曲:原昌和]
  3. レプリカ -Instrumental-
  4. coming up -Instrumental-
初回限定盤特典 ミニライブアルバム「DUO」収録曲
  1. プラチナ
    [作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子]
  2. Be mine!
    [作詞:坂本真綾 / 作曲:the band apart]
  3. ねこといぬ
    [作詞:坂本真綾 / 作曲:菅野よう子]
  4. シンガーソングライター
    [作詞・作曲:坂本真綾]
坂本真綾(サカモトマアヤ)

1980年3月31日生まれ。幼少時より劇団で活動し、1996年にテレビアニメ「天空のエスカフローネ」のオープニングテーマ「約束はいらない」で歌手デビューを果たした。声優、女優としても活躍しながら、コンスタントにオリジナル作品を制作している。2012年11月にはシングルコレクションアルバム第3弾「シングルコレクション+ミツバチ」を発表。同年12月31日には東京・中野サンプラザにて初のカウントダウンライブを行った。2013年3月には全曲の作詞・作曲を自ら手がけた最新アルバム「シンガーソングライター」、同年7月には大貫妙子が作詞・作曲を手がけたニューシングル「はじまりの海」を発表した。2014年2月にはthe band apart、鈴木祥子とのコラボレーション楽曲を含む3曲入りシングル「SAVED. / Be mine!」をリリース。8月にはandrop内澤崇仁との初コラボとなるニューシングル「レプリカ」を発表した。