lyrical school|男女混合8人組、バラバラだからこそ表現できる“青春”群像 (2/3)

ライブを重ねてブラッシュアップ、メンバー作詞作曲の「to be continued」

──2曲目の「to be continued」は一転、本作の中でも特にオールドスクール感の強いトラックのヒップホップで、リリックのみならず作曲にもKO-neyさんと並んで「tmrw, sayo, mana, malik」と4人の名前がクレジットされています。

mana まずはKO-neyさんにベースとなるビートを作っていただいて。それが届いたときに「歌詞書いてみたい人いる?」と言われて手を挙げた4人です。「Beat / Music」でクレジットされてますけど、うちらが書き進めるヴァースに合わせてアレンジを変えてもらったり、こういう流れにしたいと意見を出させてもらったくらいです。歌詞は完全に4人だけで書きました。

「to be continued」の制作に携わったmana、malik、sayo、tmrw(左から)。

「to be continued」の制作に携わったmana、malik、sayo、tmrw(左から)。

──ビートを元に、どのように考えていったんですか?

mana 歌詞を書くにあたって、まずはテーマを考えようと。それで……最初はなんだっけ?

sayo 不死身?

mana 不死身だ。そこから1人ひとり、好きな映画やアニメのキャラクターを決めて、それぞれそのキャラについて書いていきました。それぞれのヴァースが、あるキャラクターのことを言ってるという。

minan そうだったんだ。

mana そうなの。KO-neyさんは「とにかくライブが盛り上がるように」とビートを作ってくださって。うちらもフックの部分は「どうやれば盛り上がるか」と4人全員で考えました。ちゃんと考えて、作った曲です!(笑)

minan ふふふ。

malik この曲は一度レコーディングしたあと何回かライブでやって、もう1回レコーディングするという録り方をしたんですよ。ライブでやる間にも何回かビートが変わっていて。レコーディング当日にも新しいビートが届いた(笑)。自分たちのラップはもちろん、楽曲自体がどんどん進化して、一番いい形でパッケージできたと思います。

「MOVE ON」はハウスクラシック祭り

──3曲目、G.RINAさん提供の「MOVE ON」は、1980年代後半から90年代前半にかけてのハウスをそのまま再現したようなサウンドで「いつの時代の曲だ」と思いました。リリスクとしてもかなり新しい方向性ですね。

minan 参考にした楽曲たちがリファレンスで届いたんですけど、そのリストを見てryuyaが……。

ryuya 「ハウスクラシック祭りだね」って(笑)。リファレンスがモロに投影されているので、ハウスが好きな人なら「あの時代のあれだよね」と一聴してわかるような曲になっています。ハウスっぽい要素は今までにもいくつかあったけど、ここまでどストレートなハウスは初めてですね。

──この曲を筆頭に、今作でリリスクの音楽的な幅がかなり広がりましたよね。

minan そうですね。「MOVE ON」はライブですでに何度かやってますけど、楽しいよね。楽しいんだけど、今までになかった感じなのでノリ方が最初は難しかった。manaが「ハウスはダウンだよ」って教えてくれて。

mana 体のノリ方がほかの曲とは違うんですよ。リリスクの曲はサビで一緒に手を上げたり声を出したりする曲が多いけど、この曲はまだ定まってないというか。お客さんも探り探りな感じがする。でも私的には、この曲のときはステージなんか観ずに好き勝手に踊ってほしい。私たちのことなんて無視して、こうやって(うつむいて頭を振りながら)。

──クラブでハウスを聴いているような。

mana はい。お酒を片手に踊ってくれたらいいなって。

minan リリックを書いていただいたG.RINAさんのイメージもそうなのかな。アゲな感じ。

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「ウソでしょ!?」いい具合に鬼チャラい「dance」

──4曲目の「dance」はものすごく今っぽい……なんというか、アリーナクラスの大手グループがやっていてもおかしくないスケール感で。リリスクの楽曲としては最も異色だなと感じました。

sayo EP制作が始まる前、プロデューサーの車で移動しているときに流れていた曲が気になって「これ誰の曲ですか?」って聞いたら「ウチらのだよ」って言われたんですよ。それがこの曲です。まさにアリーナとかでやっている、すごく売れてるグループさんがいくつか頭に浮かんだので「ウソでしょ!?」って言いました(笑)。リリスクとしても新しすぎるし、レコーディングして、ライブで何度か歌うまではなかなか身になじまなくて。でもだんだんとなじんできたし、お客さんもこの曲が来るのを待っているというか、ライブの新しい山場になりつつあります。

ryuya 僕も先に車の中でデモを聴かせてもらったんですけど、ファーストインプレッションは「鬼チャラい」(笑)。

minan 言ってたね(笑)。それ覚えてる。

ryuya これは悪い意味じゃなくて。こういう曲はチャラければチャラいほどいいんですよ。僕らがチャラいと思われたいわけじゃなくて、いい具合にネジを外してくれる曲になったらいいなって。クラブで音楽を楽しむように、いろんなことを忘れて没頭できる曲。そんな役割を果たしてくれる曲だと思います。

mana 思い出した。歌詞に「ピニャコラーダ」が出てくるじゃないですか。私たち、誰もピニャコラーダを飲んだことがなかったから、みんなでバーに行って飲んできたんです。その日はトゥモちゃん(tmrw)だけ行けなかったんだけど、電話して「今ピニャコラーダ飲んでるから見て」って(笑)。「確かに気分はパラダイスだわー」って思いました。

malik そこ歌ってんのトゥモちゃんなのに本人だけいない(笑)。

初めての人にも伝わりやすい新たな定番曲「4EVER YOUNG」

──5曲目の「4EVER YOUNG」はすでにライブの起爆剤として定番化していますよね。シンガロングで盛り上げていく感じをヘッズたちも掌握しているというか。

tmrw この曲はBBY NABEさんとR.I.Kさんが作ってくれたんですが、最初に聴いたときは「そのままBBY NABEさんたちの音源として出してよ」と思いました(笑)。普通にめっちゃ聴きたい。聴いてると歌いたくなるけど、いざ歌ってみるとキーは高いし、全然歌えないんですよ。でも、声がかすれても気にしないくらいでいいのかなって。きっと聴いてるお客さんも歌いたくなると思うんですよ。

──この曲が来るのを待っているような雰囲気がありますよね。イントロで歓声が沸くし、フロアも一緒にライブを作っている今のリリスクのいい感じを象徴する1曲になっているのでは。

minan アイドルさんと対バンすると、客席で観てくれていることがあるんですよ。「4EVER YOUNG」のサビを歌うときは、そんなアイドルさんに向けて歌っています。アイドルの子たちにこの言葉が届いたらいいなって。

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──リリスクが今の形に変わって、そういったアイドルとの対バンなどでも戦い方も変わってきたんじゃないかと思いますが、いかがですか?

minan 私がいなかった半年間を経てのここ最近のライブでは、むちゃくちゃ自信を持ってお届けできています。ずっとアウェイな環境でやってきましたけど、今はどれだけアウェイな場所でも自分たちの空気を作れている気がして……そんなことない?

sayo ある(笑)。

mana 「4EVER YOUNG」を歌うときはそれをすごく感じます。不思議だったんですけど、なぜか初披露のときからフロアで大合唱が起こったんですよ。「えっ? 今聴いたばっかりなのに歌えるんだ?」って。歌ってほしいという私たちの気持ちが伝わったのもうれしかったし、すぐに歌えるキャッチーさがありますよね。偶然フラッと足を運んでくれた外国人の方もサビを一緒に歌ってくれたりするし。新規向けというのか、初めての人にも伝わりやすい曲なんだなと感じています。