音楽ナタリー Power Push - lyrical school

今めくられる新たなアイドルラップの1ページ

「前のほうがよかった」とは思われたくない

──シングルのカップリング「リリスクのうた」は、タイトルからしてリリスクのテーマソング的な曲なんですよね。

  • minan
  • minan

minan タイトルにグループ名が入るのは「tengal6」以来なんですよ。

hime こういう曲名だから、私も「リリスク」の名前を背負って歌うわけじゃないですか。だから「グループの一員なんだ!」って気持ちが奮い立たされます。

yumi いかにもリリスクのカップリング曲っぽいなと思いました。今までのカップリング曲はわりとカラーが一貫してるから「みんなが考えるリリスクらしいカラーはこういう感じなのかな」って改めて思いました。

mei 私はこの曲を聴いたときに、昔自分たちで作詞した「6本のマイク」の新しいバージョンみたいだなと思ったんです。結成1周年のときに自分たちがこの1年間を振り返って書いた曲なんですけど。曲調もゆったりしててけっこう似てる気がするし。

──ああー。

  • mei
  • mei

mei この曲は「I.D.O.L.R.A.P」を作っていただいたALI-KICKさん(ROMANCREW)に作詞・作曲してもらったんです。ALI-KICKさんは前に一緒にライブをしてもらったときに初めてお会いしたんですけど、そこでヒップホップアイドルがどういうものなのかをしっかり見て「I.D.O.L.R.A.P」を書いてくださったんです。今回の「リリスクのうた」も、lyrical schoolの総まとめをALI-KICKさんが表現してくれたような気がするんですよね。そういう意味でも、「6本のマイク」が進化して「リリスクのうた」になったように私には聞こえました。

ami ALI-KICKさんと私たちはまだそこまで付き合いが長いわけじゃないのに、lyrical schoolのことをよくわかってくれてるなって感じました。「道なき道を歩んでく その先は何もないと言われても」って部分とか、自分がlyrical schoolになった気分で書いてくれてるんじゃないのかなって(笑)。

  • ayaka
  • ayaka

ayaka ALI-KICKさんがすごくリリスクのことを好意的に見てくれてるんだなっていうのが伝わってきて、うれしかったですね。

──初回限定盤には映画の劇中で使われている「brand new day」と「S.T.A.G.E」の新バージョンも収録されますよね。シングル表題曲の「brand new day」はともかく、もともとカップリング曲で大きな扱いではなかった「S.T.A.G.E」を何度もリメイクしているというのは、やっぱり皆さんの中でこれは大きな意味を持つ曲なんでしょうか?

ayaka 「tengal6」とか「リリスクのうた」みたいにタイトルに名前は入ってないですけど、「S.T.A.G.E」は私たちにとってだいぶ重要な曲です。ピラミッドだったら一番上の部分ぐらい重要。

mei 「S.T.A.G.E」も「tengal6」と同じように自分たち自身を主張する曲なんです。この曲をリリースしたのはちょうどerikaが卒業するタイミングだったから、「もらった愛 倍で返したい 掴んだマイク これで思返し」っていうerikaからのメッセージが入っていたんですよ。なので、minanが入ったときにerikaのバースを作り直したんです。それがどんどん更新されて今に至るという。

ayaka なんか、一緒に成長してきた曲って感じがするね。

lyrical school

mei 「tengal6」と「S.T.A.G.E」は、新しい子がメンバーになったときに歌詞がどう変わるのかファンの方が楽しみにする曲になってる気がします。himeの「S.T.A.G.E」でのラップは、今までもずっとステージに立ってライブしてた子だからこそ歌える歌詞だなってすごく思います。

hime 私、リリスクに入るときに「ライブで一番やりたいのはどの曲?」って聞かれたて、真っ先に答えたのが「S.T.A.G.E」だったんです……。

一同 えええ!

  • hime
  • hime

hime この曲はステージに立つ人の意気込みの歌なので、聴くと背筋がしゃんとするんです。だから自分のバースがもらえたのはうれしかった。「RUN and RUN」以外の曲は私が歌うと前のメンバーのカバーになっちゃうので、比べられて「前のほうがよかった」とは思われたくないですし。私自身が今までのリリスクの大ファンだから、「前のほうがよかった」の気持ちはすごいわかるんですけどね。

mei himeは「S.T.A.G.E」の歌詞が変わることを知らなかったから、一生懸命覚えてライブで歌うのを楽しみにしてたら「いや、歌詞変えるよ」って言われて、「えっ! そうなんですか!」ってびっくりしてたよね(笑)。

hime そうなんですよ。前の歌詞も大好きだから歌いたいし、少し複雑な気持ちで(笑)。

女の子がラップをするシーンは今後もっと大きくなっていく気がする

──リリスクの結成当時はラップをするアイドルはとても珍しくて、それだけで強い個性になっていたと思います。その後リリスクに続くようにラップをするアイドルグループが増えてきて、それぞれのグループが自分たちのカラーを追求して活動しているように思いますが、アイドルラップのパイオニアであるリリスクは今後どういう部分でほかとの差をつけようと考えていますか?

mei 去年からラップアイドルの子たちとイベントをする機会が増えたので、たくさんの方のパフォーマンスを観せてもらったんですけど、そこで思ったことは「lyrical schoolにはlyrical schoolの色があるんだな」ってことで。ほかのグループのライブを実際に観るまでは不安もあったんですけど、そのうち「私たちは私たちなんだ」って思いが強くなって、ほかの方と比べることはしなくなりましたね。「ステージではまず自分たちが楽しむことを大切に」っていう考え方は結成当時からずっと変わらないし、私たちが楽しめばそれが鏡のようにお客さんに映って、みんなで一緒に楽しい空間をどんどん大きくしていく、というのが“lyrical schoolらしいライブ”だと思うので。

  • ami
  • ami

ami 自分で言うのもなんですけど、lyrical schoolみたいなグループってもし真似しようとしてもできないんじゃないかと思ってるんです。だからこれから私たちがやらなきゃいけないことは何かって言ったら、グループとしてどうこうよりもメンバーそれぞれが個性を伸ばしていくことなのかなって思います。

yumi 今meiちゃんが言った「自分が楽しまないと、お客さんも楽しませられない」みたいなことって、メンバー同士で話し合わなくてもみんななんとなくそういう意識でいたんですよね。リリスクの持つ“ハッピー要素”だけは、私たちが「絶対守らなきゃ」って思わなくてもこの先もずっと続いていく気がしてます。

──確かにそうかもしれませんね。

  • yumi
  • yumi

yumi 最近原宿とかで若い女の子の間でヒップホップっぽい格好が流行ってきてるし、女の子がラップをするシーンは今後もっと大きくなっていく気がするんです。私たちはメジャーデビューすることでラップの楽しさを広めていって、新しく出てきた方々と一緒にアイドルラップのシーンを盛り上げていけたらと思います。

──具体的な目標は何かありますか?

ayaka 日比谷野音のステージにはみんなで一緒に立ちたいですね。

ami あと夏はフェスに出たい。

minan 一昨年初めてロックフェスに出たんだよね。

lyrical school

ayaka 去年出れなかったので今年はこの6人でフェスに出たいなって思います。

mei フェスって、いろんなジャンルの音楽好きの人に観てもらうチャンスがあるから楽しいんですよね。

──縦型MVがこれだけ話題になった状況だから「よく知らないけど、どんな人たちなのかちょっと観てみるか」くらいのモチベーションで来る人が大量にいるかもしれませんね。

yumi そうですよね。がんばらなくっちゃ!

ニューシングル「RUN and RUN」 / 2016年4月27日発売 / KING RECORDS
初回限定盤 [CD] / 1620円 / KICM-91669
通常盤 [CD] / 1080円 / KICM-1670
初回限定盤収録曲
  1. RUN and RUN
  2. リリスクのうた
  3. brand new day 2016
  4. S.T.A.G.E 2016
  5. RUN and RUN(INST)
  6. リリスクのうた(INST)
通常盤収録曲
  1. RUN and RUN
  2. リリスクのうた
  3. RUN and RUN(INST)
  4. リリスクのうた(INST)
lyrical school(リリカルスクール)
lyrical school

「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた、ami、ayaka、erika、mariko、mei、yumiという6人のメンバーにより2010年に結成。「tengal6」というユニット名で活動し、ハイクオリティな楽曲と「アイドルラップ」という特異なスタンスで大きな支持を集めた。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。2013年にはmarikoとerikaの卒業を受け、hinaとminanが加入して新体制に。2015年にアルバム「SPOT」を引っさげて初の全国ツアー「lyrical school tour 2015 "date spot"」を行い、7月にツアーファイナルとして東京・Zepp DiverCity TOKYOでのワンマンライブを敢行した。同年12月にhinaが海外留学のため卒業し、元ライムベリーのhimeが新たに加入。2016年4月にキングレコードからメジャーデビューシングル「RUN and RUN」をリリースし、5月に初主演映画「リリカルスクールの未知との遭遇」を劇場公開する。