音楽ナタリー Power Push - LITTLE CREATURES

シンプルの美学

LITTLE CREATURESが7月13日に、ニューアルバム「未知のアルバム」をリリースした。2010年発売の「LOVE TRIO」以来のフルアルバムである今作は、ギター、ベース、ドラムのみに絞った編成や、バンドにとって初めてのフル日本語詞の採用など、たくさんの聴きどころを備えている。

昨年デビュー25周年を迎えた3人は、どういったモードでアルバムを制作していったのか。青柳拓次(Vo, G)、鈴木正人(B, Key)、栗原務(Dr, Perc)に聞いた。

取材 / 加藤一陽、望月哲 文 / 加藤一陽 撮影 / 相澤心也

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楽器を絞ることで演奏がエモーショナルに

──2010年発売の「LOVE TRIO」ぶりの新作アルバムが完成しました。作ろうと思ったのはいつ頃ですか?

鈴木正人(B, Key) 一昨年? TONE(LITTLE CREATURESの所属事務所)の10周年イベントのときかな(参照:レジェンドたちが熱戦!「10TONES」終幕)。

栗原務(Dr, Perc) そのとき社長が「デビュー25周年だけど、そろそろ何か動かないの?」って言って。

鈴木 最近は毎回そういう感じなんですよ。人に言われて。

──とはいえ、乗り気じゃなかったら作らないわけですよね。

鈴木 そうですね。

青柳拓次(Vo, G)

青柳拓次(Vo, G) まあきっかけがあるとやりやすいですよね。声をかけてもらってのことではあるけど、それなりに主体性は持ってやってる(笑)。

──「アルバムを作りたいな」というのはあったりしたんですか?

栗原 やっぱりちょこちょことライブとかをやると思うね。でもそのライブが終わるとまたいつもの感じに戻ってしまうっていうか(笑)。

青柳 日常に戻っていく(笑)。

──今回の作品は、全編を通して3人の楽器のみというシンプルな内容で。そのシンプルさも、コンセプチュアルと言っていいほどに徹底されたものでした。

栗原 コンセプチュアルに感じられるのは、青柳の曲が多くて、歌詞の部分とかも含めて、世界観が統一されているっていうのもある。ひさびさだよね。青柳の曲主体のアルバム。

青柳 うん。初期以来。

──ほぼベース、ドラム、ギターのみで、音色、音の抜き差し、ドラムのバリエーションを軸に世界観を構築しています。

青柳 こういう形のアルバムになったのは、以前ベース、ドラム、ギターのみでライブをやったのがきっかけです。楽器を絞ることで演奏がエモーショナルになって、それが楽しかったんです。

現代性を与えるのはドラムのパターン

──かねてから皆さんは、“前のアルバムからの反動”を新作に投影することがありました。前作「LOVE TRIO」はシンセサイザーを大々的にフィーチャーした作品でしたから、今回はその反動でミニマムでストイックなバンドアンサンブルに取り組まれたのかなと。

青柳 それもあります。前の作品とは違うことをやりたいっていうのはいつもある。それで今回もだいぶ極端なことになってしまった(笑)。なるべくギター、ベース、ドラムのみで展開させるってことを決めて、オードソックスな編成の中で、現代の音というかモダンな音をやるというのは考えていきました。曲のデモはあっという間にできましたね。あと、音楽って仕組みや構造がわかると楽しいというか。「今ベースが入ってきた」とかがわかると、3、4分の中でけっこう楽しめると思うんです。でもイントロで全部の楽器が入ってきちゃうと、その先の展開がなくなってしまうので、そこは気を付けました。

鈴木 レコーディングも早かったよね? 5日とか。

青柳 うん。オケ録り=完パケみたいな内容なので、あとでパーカッションを少し足したくらいでしたね。

──以前皆さんは、「1曲のトラック数を8tr以内に収める」のように制約を持ってレコーディングに臨んだこともありました。今回は?

鈴木正人(B, Key)

鈴木 特に制約は設けなかったです。

栗原 制約はないけど、トラック数で言えばドラムにマイクはたくさん使ったかな。太鼓の数がいつもの倍以上だったんです。

──編成がシンプルな分、栗原さんのドラムのバリエーションが重要だなと思いました。

青柳 2、3人分を1人で表現するというか。そのままライブで再現したいから、レコーディングのときも1人でたたいてもらったんです。

栗原 めっちゃ大変でしたね(笑)。ハイハットとかのアクセントが自分の中にはないタイミングで入ってきたりするので。

青柳 個人的に打ち込みモノのドラムのフレーズも好きなんですけど、そういうものから着想を得たんだと思います。ロック以外の音楽からのエッセンスを生かすというか、まあロック自体そうやって進化してきた音楽ですからね。あと、今の息吹というか、楽曲に現代性を与えるのはドラムのパターンだと思っていて。だから「今どんな音楽が流行っているのかな」って気にしていましたね。アメリカのバキバキに流行している曲とかを聴いて。その影響は出ていると思う。オーソドックスな編成のロックバンドでも、Alabama Shakesとか面白いなあと思ったり。

──たしかにAlabama Shakesはオーソドックスなロックバンド編成ですけど、ミックスや音作りは非常に独特ですよね。

青柳 うん。僕はやっぱりポピュラーミュージックが好きなので、楽しんで聴いている流行りの音楽の影響が普通に入ってくるというか。「これを生演奏でやっている人はまだちょっと少ないなあ」と思ったアレンジを試してみたりしました。「打ち込みの音楽と同じくらいの強さがあるなあ」っていうのを勉強したりして。

ニューアルバム「未知のアルバム」 2016年7月13日発売 / 2700円 / TCCL-001 / CHORDIARY
「未知のアルバム」
Amazon.co.jp
収録曲
  1. 海原
  2. 未知の世界
  3. 夢ならば
  4. 絡めとられて
  5. かんちがい
  6. 声なき者
  7. 月の顔
  8. 嘘の朝
  9. 赤いスカート
  10. 隼飛ぶ
  11. わずかばかり
LITTLE CREATURES「Unknown Tour 2016」

(※決定分)

  • 2016年9月22日(木・祝)東京都 東京グローブ座
  • 2016年9月30日(金)愛知県 Tokuzo
  • 2016年10月1日(土)京都府 磔磔
  • 2016年10月2日(日)大阪府 NOON+CAFE
LITTLE CREATURES(リトルクリーチャーズ)
LITTLE CREATURES

1987年に高校在学中の青柳拓次(Vo, G)、鈴木正人(B, Key)、栗原務(Dr, Perc)が結成。1990年にシングル「THINGS TO HIDE」でデビュー。3人がそれぞれサポートミュージシャン、プロデューサーとして他のアーティストのプロジェクトに関わったり、ソロ作品を発表したりしながら、不定期的にバンド活動を続けている。2000年には自主レーベルCHORDIARYを設立。2010年にはベストアルバム「OMEGA HITS!!!」と、さまざまなアーティストたちがLITTLE CREATURESの楽曲をカバーした「Re:TTLE CREATURES」を発表。2015年はデビュー25周年イヤーと位置付け、東京や沖縄でアニバーサリーライブを実施した。2016年7月に約5年半ぶりのフルアルバム「未知のアルバム」をリリース。9月には約11年ぶりの全国ツアー「Unknown Tour 2016」をスタートさせる。