LITE「Multiple」 PR

LITE|長年のキャリアが詰まった“完成されたアルバム”の制作背景

1月にtoe、downy、SOIL&"PIMP"SESSIONSを迎えた自主企画「LITE 15th」を成功させ、結成15周年イヤーを見事に締めくくったLITEが、約2年半ぶりのフルアルバム「Multiple」を完成させた。このアルバムではtoeの美濃隆章、JawboxのJ・ロビンス、三浦薫、メンバーの楠本構造という4人がエンジニアを担当し、バンドサウンドとエレクトロニックな要素を混在させ、音数を絞った精緻なアンサンブルを構築。15年の歩みを経た今のバンドの経験値を作品に落とし込んだ、堂々たる仕上がりとなった。音楽ナタリーではこのアルバムの発売を記念して、メンバー4人に制作過程を振り返ってもらった。

取材・文 / 金子厚武 撮影 / 西槇太一

「LITE 15th」を振り返る

──15周年イヤーの締め括りとして、1月にLIQUIDROOMで自主企画「LITE 15th」が開催されました(参照:LITE、toe、downy、SOILによる競演の宴「LITE 15th」大盛況)。まずはあの日を振り返っていただけますか?

武田信幸(G) 「LITE 15th」は節目のタイミングを飾るにふさわしいイベントになりました。構想段階から僕らが影響を受けて、今もシーンの最前線で活躍している人たちと一緒にやることで、文字通り最高のイベントになると考えていて。僕らが属している界隈というか、ジャンルをギュッと凝縮させて、LITEもその中で15年やってきたということをちゃんとアピールできたんじゃないかと思います。

楠本構造(G, Syn)

楠本構造(G, Syn) すごくいい1日でした。お客さんもLITEのみならず、全バンド楽しめたと思います。15周年じゃなかったら、あのメンツは呼べなかったと思うんです。例えば5周年だったらキャリア的にも呼べなかったでしょうし。そういう意味でも納得の1日だったんじゃないかなって。

山本晃紀(Dr) 僕は緊張しました(笑)。数年に1回あるかないか、滅多なことで緊張しないんですけど。あの日はtoeがいきなりとんでもないライブをして、downyもヤバいライブをして、SOIL&"PIMP"SESSIONSもまた違うベクトルですごいライブをして、出番直前に「これ、どんどんハードル上がってない?」と思って。でも、その緊張感がミラクルなライブを呼んだと思います。

──toeのライブ、すごかったですよね。1曲目からフルスロットルで、「後輩をつぶしに来てるな」と(笑)。

井澤惇(B) 最初からアンコールみたいでしたよね。toeはMCも印象的で、「15年間お疲れ様でした」なんて言われて、「俺ら解散するのかな?」と(笑)。周年ライブは同世代を呼んでお祭りをするイメージだったんですけど、今回は初めて先輩方にお願いして。これは15周年じゃないとできなかったと思います。普通のレコ発でやろうとしたら、売名行為になっちゃう(笑)。でも、今回は記念のイベントだったから、素直に一緒にやりたい先輩を呼べて、特別な1日になったなって。

井澤惇(B)

──各バンドからの影響も垣間見えたし、その上でLITEとして独自の楽曲を作り続けてきたことをはっきりと証明する1日になっていたと思います。

井澤 特にtoeとは特別なタイミングじゃないと対バンできない気がしてたんです。やっぱりtoeがシーンにおける先駆者で、「僕らは2番手」みたいな感覚って、自分たちもそうだし、周りのバンドにもあったと思うんです。なので、昔は「あえて対バンしない」みたいな風潮があったのかもしれないけど、「LITE 15th」での競演に関しては「15年やってきたし、もう一緒にやってもいいだろう」という感覚になりましたね。

裏テーマはエッジィでキャッチー

──15周年イヤーを経て、2年半ぶりのフルアルバム「Multiple」が完成しました。昨年11月に発表したシングルの「Blizzard」で示した方向性をさらに拡張させ、また新たな地平に到達したなと。

武田 シングルには「Blizzard」と「Zone」の2曲が収録されていて、よりタイトに、シンプルに、かつ初めてエレドラにチャレンジした「Blizzard」、爆発力があって初期衝動が詰まった「Zone」と2つの方向性があったので、それが今作に結び付いたのは間違いないですね。もっと言えば、その前の「Cubic」(2016年発表の5thアルバム)のときから「こういうのやりたいね」というイメージはあったんです。でも「Cubic」ではやり切れなかったので、その頃から続いている話かもしれません。

井澤 「Cubic」はオーガニックに、自然にバンドでやれるような構成を考えて、できたときは今までで一番売れると思ったんです(笑)。でもちょっと柔らかく聞こえちゃうかなという印象もあって。なので、次はもう少し尖っていて、エキサイトできるというか、衝動でライブができるようなバンドサウンドにしたいという考えが最初からあって、それで最初にできたのが去年出した「Zone」だったんです。正確に言うと、「Zone 1」になるんですけど(笑)。

──アルバムには「Zone 2」をすっ飛ばして、「Zone 3」が入ってますね。

井澤 「Zone 2」はライブでやっていたんです。最初にレコーディングした2分くらいの「Zone」がシングルに入っていたんですけど、もともと作り変えたいと思ってたので、その経過をライブで見せていまして。で、ちゃんとレコーディングしたものが「Zone 3」なんです。

山本晃紀(Dr)

──初期衝動という意味では、「filmlets」(2006年発表の1stアルバム)の再現ツアーを昨年開催したことも大きかったのではないでしょうか?

井澤 「filmlets」に入っている「Contemporary Disease」は今も最後にやることが多いんですけど、あれは本当ミニマルに同じフレーズを弾き続けて、でも少しずつ変わって、テンションが徐々に上がっていくみたいな曲で。ああいうのがいまだに好きだなという感覚は、今回アルバムを作ってるときもあったかもしれない。

山本 「filmlets」みたいな肉体的な部分もあるし、あとは「Cubic」の1曲目の「Else」の感じも新しいLITEのスタートとしてすごく大事だったから、あの雰囲気もちゃんと今回突き詰めることができたかなって。

楠本 裏テーマとして、前作より派手にしたかったという部分はあると思います。

武田 あとはエッジィな感じだよね。キャッチーとエッジィの同居というか、「尖ってるんだけど、キャッチーだよね」というのも、裏テーマとしてあった気がします。