音楽ナタリー Power Push - LiSA

2015年に芽吹いた花

岐阜とギフト

──ここまで優しく温かいクリスマスソングで、かつサビのド頭で「starry holy night」なんて、そんな素直な歌詞をLiSAさんが書いていたことにも驚いたんですよ。ここまで直球が投げられるのは、この1年のいい状況があったからこそなのかなあと今日の話を聞いたあとでは思いますけど。

LiSA

それはありますね。うん。すごくトゲが取れたと思います。変に「負けないぞ!」とか「あいつらに見せつけてやる!」みたいな反骨心を持ってましたけど、誤解なくちゃんと伝わってるんだなあって実感するうちに「こういうふうに見られたくない」「こうしなきゃ」みたいな自分の中の制限が少しずつなくなってきた気がします。

──ちなみに「ギフトギフト」というタイトルは、なぜ「ギフト」ではなく2回繰り返してるんですか?

カタカナの並びって、文字自体に意味がないから人によっていろんな想像ができると思っていて。「ギフトギフト」には地元の岐阜に対しての「GiFU to GiFT」の意味もありますし、いつもみんなからもらっているギフトに対して私からのお返しのギフトで2つ重ねて「ギフトギフト」という意味もあるんです。

──そうか、岐阜で開催したライブイベントのタイトルは「GiFU to GiFT」でしたね(参照:LiSA地元岐阜でcinema staff招き主催イベント、翌日にはワンマンも)。地元に対する思いも昔とは変わってきましたか?

はい。今日の冒頭から話しているように、少しずつ責任感が生まれてきて。これまで岐阜はただの故郷でしかなくて、たまに帰る場所、癒されに行く場所という認識だったんですけど、責任感が芽生えたことによって……なんだろうな、妹が生まれたときのお姉ちゃんの感覚に少し似ていて。岐阜という場所のことを考えたときに、私は岐阜にいた頃、歌手になりたいみたいな夢を持つことすらリアルじゃなかったんです。岐阜を出た私が何かを伝えられるようになった今、岐阜にいる人たちが岐阜を誇らしい街だと思ってもらえるよう努力しないとなって思うんです。

──「岐阜出身アーティスト」としての誇りを。

あと、岐阜ってよくツアーとかで外されちゃうんですよ。名古屋と三重は行くけど岐阜は行かないみたいな(笑)。全然アーティストが来なかったし、プロのライブを観る機会もあまりなかったから、夢はずっと夢だったし、自分に機会が巡ってくるなんて想像できなかったんですよ。幼い頃の私と同じ気持ちを持っているかもしれない誰かにとって、「自分の地元にはこういう音楽をやっている人がいるんだ」ってリアルに感じられる存在になれたらいいなって。今それができるのって私とcinema staffぐらいじゃない?と思って対バンを企画したんです。

同じ音楽で遊べる人がこんなにもいるってすごくない?

──「COUNTDOWN JAPAN 15/16」の前にはワンマンライブ納めとして、幕張メッセ公演「LiVE is Smile Always~メガスピーカー~」が控えています。こちらはどんなライブになるのでしょうか。

「ID」でそのまま歌っているように、特大のスピーカーで理想を鳴らそうぜっていう。1年の集大成として、自信が持てた今だからこそのライブがやりたいなって。でも、初めにこのタイトルを付けたときは「自分の好きなことを大きな声で叫ぶぜ!」というニュアンスで考えたんです。そこからいろんな出来事があって、自分の中で少し意味が変わっていて。大好きな音楽を守るというか……私が好きな音楽を楽しみにしている人が幕張を埋めるほどたくさんいて、こんな大きな会場でこんなすごいことができるんだよ? それは私1人じゃできないし、1人ならヘッドフォンでそれぞれ楽しんでればいい。こんなでっかい場所で、こんなでっかいスピーカーで、同じ音楽で遊べる人がこんなにもいるってすごくない? という意識に変わってきました。

──そうですよね。会場のキャパシティに見合った賛同者がいるからこそ、でっかいスピーカーで爆音を鳴らすことができる。かつ、時はクリスマスですけど。

LiSA

そうです。だからクリスマスソングを作ったんです(笑)。

──なるほど(笑)。

本当に充実した1年だったので、いい形で2015年を締めくくりたいです。

──では2016年はどんな1年にしたいですか?

どうしましょうかね。来年はデビュー5周年なので……お祝いごとはあまり得意じゃないし、特別はあまりたくさんないほうがいいと思ってるんですけど、特別が作れるうちに作りたい。それはさっきの「メガスピーカー」と同じで、みんながいたからこそ5周年が迎えられるんです。みんながいなかったら5年も続けられなかったわけで、ここにたどり着いた人にしかできないお祝いをしようよ!みたいな気持ちですね、今は。

LiSA「LiVE is Smile Always~メガスピーカー~」
2015年12月23日(水・祝)千葉県 幕張メッセ国際展示場
OPEN 16:30 / START 17:30
※チケット完売(後方追加立見席発売中)
LiSA(リサ)

LiSA

6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年末には「COUNTDOWN JAPAN 14/15」に、2015年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」や「氣志團万博」にも出演するなどさらに活動の幅を広げている。同年12月には初の配信シングル「ID」をリリースし、千葉・幕張メッセ国際展示場にてワンマンライブ「LiVE is Smile Always~メガスピーカー~」を行う。