ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
20周年からさらに羽ばたく4年3カ月ぶり新作「BUTTERFLY」
yukihiro インタビュー
いいアルバムができたなと思いました
──「BUTTERFLY」のレコーディングが終わった、今の率直な感想は?
飛び飛びでやってたので「終わったぞ」っていう感覚は少ないですね。
──そうなんですか。レコーディング期間自体は長かったんですよね?
そうですね。ただ、長かったっていっても、例えばいつもだったら3カ月とかそれくらいまとまってやるんで、その間は「レコーディングをやってる」って感覚になるんですけど、今回は1曲か2曲やったらしばらく空いてまたやる、といった具合にやってたんで。だから最終日も「あ、今日で終わりなんだ」っていう感覚だったんですよね。
──日常に自然と溶け込んでいた感じですか?
いや。日常までもいかない感じ(笑)。
──となると、モチベーションを保つ難しさはありませんでしたか?
それは大丈夫でしたね。
──ちなみにレコーディングはいつから?
収録曲の中にシングルとして出していた曲が多いので、それを入れるとすごく長いんですけど、アルバム作ろうかって言って始めたのは、2010年の9月です。
──アルバムを通して聴いたイメージは?
いいアルバムができたなと思いました。何年も前に出した曲が入っていたりするので不思議な感じですね。
僕の曲はkenちゃんにいろいろやってもらってます
──今回はkenさんと作業されることが多かったと伺っています。
僕の曲はkenちゃんにいろいろやってもらってます。
──具体的にはどういったところで?
僕は自分の曲をメロディとコード進行と、こんな感じのドラムパターンっていうのしか入れていかないんですけど、それだとやっぱり曲の雰囲気が伝わりづらいんですよね。なのでkenちゃんとやりとりをして進めてもらうことが多いですね。
──うまく翻訳してくれる感じですか?
これしか入ってないんだけど本当はこういうふうにしたくて、というやり取りをして、それに対してkenちゃんがパターンをいくつか出してくれて進めていくことが多いです。
──6曲目、yukihiroさん作詞作曲の「shade of season」がまさにそうやってできあがった曲なんですね。
そうです。僕がメロディとコード進行とドラムだけで、ほかの部分はkenちゃんが考えてくれたところが多いです。シンセの音色とかは僕が家に持ち帰って作り直したりしました。
──ギターが鳴り続けている感じ、シンセの音色、音の隙間、歌詞のイメージと、どれをとってもすごく不思議な曲なんですよね。一つひとつはどこかで聴いたことがあるような気もするんですけど、それがまとまると絶対に聴いたことがないっていう。最初のイメージはどういうものだったんですか?
まずメロディとコード進行があったんですけど、とりあえずのリズムパターンしか付けてなかったので、そこからリズムパターンの構成を作って、kenちゃんにプリプロの現場でアレンジしてもらいました。
──根底にはポストロックの雰囲気がありますよね。
僕はリズムに関してはポストロックっぽいアプローチがいいかなと思ってたんですけど、kenちゃんと作業していくうちにニューウェイヴな感じも出てきて、それもよかったので。カッコいい曲になったと思います。
──歌詞の中では「記憶」という言葉がキーワードになっていると思うのですが。
なんか淡々とした歌詞がいいなと思ってましたね。
──曲調も含めてなんですが、特に歌詞から「無常観」のようなものをそこはかとなく感じます。
言葉を選んで詞を作ると、僕はそういう感じになることが多いですね。今、無常観って言われて、あ、そうかもなって思いました。自分では無常観って思ったことはなかったですけど、もしかしたら僕の言葉選びにはまってる単語かもしれないなと思いました。
「X X X」の刺激は大きかった
──改めて、今回のレコーディングを振り返っていかがですか?
最後に歌入れした曲が、最初にドラムをレコーディングした曲だったんですよ。だからなんか感慨深かったですね。
──いいストーリーですね(笑)。
はい。これは言わなければと思って(笑)。
──ちなみにどの曲ですか?
「wild flower」ですね。
──レコーディング全体を通しての刺激という意味では、今回はいかがでした?
刺激という部分では、「X X X」は大きかったですね。hydeくんのこだわりがすごくあったんで、素晴らしいなと思いましたね。
CD収録曲
- CHASE
- X X X
- Bye Bye
- GOOD LUCK MY WAY -BUTTERFLY Ver.-
- BLESS
- shade of season
- DRINK IT DOWN
- wild flower
- SHINE
- NEXUS 4
- 未来世界
完全生産限定盤 CD収録曲
- 夏の憂鬱 [SEA IN BLOOD 2007]
- 花葬 平成十七年
- HEAVEN'S DRIVE 2005
- Round and Round 2005
- Dune 2008
- I Wish 2007
- Promised land 2005
- HONEY 2007
- Feeling Fine 2007
- ROUTE 666 -2010-
- milky way 2004
- metropolis 2011
完全生産限定盤 DVD収録内容
- ベストヒットLEC
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施している。結成20周年を迎えた2011年は、味の素スタジアムでのアニバーサリーライヴや全国ツアー、さらにベストアルバム3作品やシングル3枚のリリースなど、華々しい活動を展開した。2012年2月、約4年3カ月ぶりとなるニューアルバム「BUTTERFLY」を発表する。