ナタリー PowerPush - 黒猫チェルシー
10代が鳴らす暴走ロックンロール!早熟デビューアルバム完成
黒猫チェルシーは神戸出身のロックンロールバンド。渡辺大知(Vo)、澤竜次(G)、宮田岳(B)、岡本啓佑(Dr)の4人は全員18歳(2009年3月現在)という若さながら、ロック、パンク、ブルース、サイケなどさまざまな要素を飲み込み独自のスタイルを構築。早すぎる才能を見せつけている。
そんな彼らが4月8日に8曲入り初音源「黒猫チェルシー」をリリース。激しさと渋さを併せ持つ楽曲や、ライブでの堂々としたステージングは、まさにロックシーンの若き突然変異。ナタリーではメンバー4人に初のインタビューを試みた。
取材・文/大山卓也 撮影/平沼久奈
小5のときにバンドを始めた
──全員18歳ということですが、まずはバンド結成の経緯から教えてもらえますか?
澤 僕とドラムとベースが幼なじみで、小5のときにバンドを始めて。そんときは僕がギター&ボーカルだったんだけど。で、高校入ってボーカルの渡辺が別のバンドで歌ってるのを観て、一緒にやろうって声をかけたんです。
──渡辺さんはそのライブのときのことは覚えてますか?
渡辺 はい。なんか高校生ばっかりが出るイベントで、周りはこう、なんていうんですかね、青春パンクみたいなバンドばっかりで。みんなこう、チャローン、みたいな格好で。
──それはどんな感じの?
渡辺 なんていうんですか、流行の髪型みたいな。ホストみたいな人もいたりとか。
──ああ、チャラい感じの?
渡辺 そう、チャラいんです。だから僕ら明らかに浮いてたんですよ。学ラン着てるし。
──そういえば渡辺さんはステージではいつも学ランですよね。
渡辺 いやあ、僕は学ランが一番落ち着くというか、制服が何も考えなくていいから。普段からどっか出かけるときも僕、学ランだったんですよ。それを黒猫でも、なんか流れで着てる。だから学ラン以外でライブしたことがほとんどない(笑)。
──澤さんのバンドに誘われたときはどう思いましたか?
渡辺 はい、もともとライブを観てすごいなって思ってたんで。だから声かけてもらって嬉しくて、すぐやりたいって。
──そのライブのときの、澤さんから見た渡辺さんの印象は?
澤 今と同じでした。そんときが渡辺にとって初めてのライブだったはずなんだけど、緊張感とか恥じらいとか一切なくて。最初から本当に今みたいな感じだったんで。
──それで自分のバンドに誘ったと。
澤 僕はそのときやってたバンドが難しいところに行きすぎて、行き詰まってたんですよね。で、ちょうどその頃にスターリンを聴き始めたりしたのもあって、単純な短い曲をやるバンドがやりたくなったんです。
──それがもう黒猫チェルシー?
澤 そうです。最初は試しにやってみようって感じだったんですけど、高2の初めくらいにライブをしたらそれが予想以上に楽しくて。これはもったいないな、と思って現在に至る、っていう。
──小5からバンドをやるというのはかなり早いですけど、最初はコピーバンドだったんですか?
澤 中学くらいまではコピーばっかりでした。ビートルズからはじまって、ツェッペリンとかディープ・パープルとか。あと僕がジミ・ヘンドリックス大好きなんでそのへんを参考にしながら。
──じゃあ今の黒猫チェルシーの音楽性はどのあたりから?
澤 最初は勢い重視のパンクっぽい曲が多くて、そこにだんだん前のバンドの70年代的な要素が重なってきた感じですね。ただ、もともと仲のいい友達と遊びで始めたバンドだし。だからなんていうか、このバンドをどんな感じにしていきたいとかっていうことはまったくなくて。爽快感のあることがしたいっていうだけだったんで。
反抗心は全然ないです
──黒猫チェルシーの音楽性はかなり雑食で、いろいろな要素が混ざっていますよね。
渡辺 やっぱいろんな音楽が好きだから。
澤 でも初期衝動みたいなのは全然なくて。例えばアルバムに入ってる「正義感ある殺しは許される」とかも、ただ思いついただけで、内面から湧き出るものとか特にないです。
渡辺 反抗とかはないです。
澤 はい、全然ないです。
──言い切りましたね(笑)。
澤 ホント、演奏するときに自分が楽しめればいいっていうだけで。パンクとかガレージとかにこだわってるわけじゃないですね。
──渡辺さんのボーカルスタイルは、独特の激しさがありますが、影響を受けたボーカリストはいるんでしょうか?
渡辺 んー、いろんなもんにちょこちょこ影響を受けてるとは思うんですけど、僕は最近の音楽シーンとかも興味ないし、昔の人もそんなに知らないから。どこからっていうのは自分でもよくわかんないですね。でもとにかくステージに立ったら、テンションが上がって楽しいっていうそういう気持ちで(笑)。
黒猫チェルシー(くろねこちぇるしー)
神戸出身のロックンロールバンド。渡辺大知(Vo)、澤竜次(G)、宮田岳(B)、岡本啓佑(Dr)の4名により、高校在学中の2007年3月に結成。2008年には日本テレビの深夜番組「音燃え!」に地元のライブハウスの推薦で出演し、他の学生バンドとは一線を画す格の違いを見せつけた。
2009年4月に1stミニアルバム「黒猫チェルシー」をリリース。現在は都内を中心に精力的なライブ活動を続けている。 なお、ボーカル渡辺大知は2009年夏公開の映画「色即ぜねれいしょん」の主役に抜擢。田口トモロヲ監督、みうらじゅん原作の話題の作品で、岸田繁(くるり)、峯田和伸(銀杏BOYZ)らと共演を果たしている。