ナタリー PowerPush - 黒猫チェルシー
10代が鳴らす暴走ロックンロール!早熟デビューアルバム完成
山を2つ越えないとスタジオに入れない
──楽曲はどうやって作ってるんですか?
澤 一番多いのは、僕がリフとか曲の流れを作ってバンドで演奏してみて、そこに渡辺が歌を乗せるっていう形ですかね。
渡辺 スタジオはあんまり入らなくて。ライブの本番のリハで初めて全員であわせてみたりとか、そんな感じです。
──え、じゃあスタジオで練習しないんですか?
澤 いや、僕らが住んでるの田舎なんで、あの、山が。
──山?
澤 山を2つ越えたところにようやく最寄りのスタジオがある(笑)。
岡本 春からは東京に引っ越すんですけど、今は神戸の上のほうにみんな住んでて。練習スタジオが三宮まで行かないとなくて。そこまで1000円くらいかかるし、スタジオ代も払わなきゃいけないし。もったいないから(笑)。
渡辺 お金ないから歌詞とかはほとんど本番で、探り探り歌いながら。最初アドリブでいろいろ歌って「あ、今の使おう」とか。
澤 だから曲作りとかでも、スタジオで練って練ってっていうのはなくて。ライブでやってるうちに勢いでだんだんできていくみたいな形です。
──地元では周りにバンドをやっている人は多いんですか?
澤 いや、かなり狭い範囲でしか知らないですね。同世代のバンドももっとたくさんいるのかなって思うんですけど。あんまり関わりがなくて。
──じゃあ割と隔離された状態で。
澤 そうですね。だからあんまり周りのことはわかんないですね。
岡本 情報がなかったというか、自分なりに適当にやってた感じです。
要するに飽きっぽいだけなんです
──ライブハウスで他のバンドと競演することも多いと思いますが、自分たちがシーンから浮いているという自覚はありますか?
渡辺 まあ、同世代ではあんまりこういうバンドないかな、っていう感じは。
澤 でもやってる本人は別に普通に。変わったことをしたいっていうことではなくて、ただ自然にこうなっただけなんで。
岡本 うん、なんかバンドやってるっていう感じもないし。別に。
澤 当たり前にライブして、当たり前にギター弾いて、っていうだけですよ。10代にしては珍しいことやってるのかもしれないけど、自分の中では普通。
──自分たちが珍しいという自覚はあるんですね。
岡本 そうですね。まあ、でもあんまりどうでもいいですけど。
澤 それぞれみんな、やりやすいようにやってるだけですからね。
──今回の1stアルバムで黒猫チェルシーを知る人が多いと思うんですが、仕上がりはどんな感じでしょうか?
澤 うん、やりたいことやってるんですけど。でももうすでに、今の気分で、めちゃくちゃポップな曲ができたりとかそんな感じなんで。これを維持するっていうのは多分ないですね。やっぱり常に移り変わっていくから。40秒の曲もやるしスローな曲もやるし。いろんなことをやっていくと思います。
宮田 要するに飽きっぽいだけなんです。変化を求めたいとかじゃなくて。
澤 こだわってるのは、爆音でギター弾ければいいやっていうくらいで。ジャンルとか別になんでもよくて、自分の好きな音が出せたらいいです。曲がどんなのでもまあそれなりに。
──なるほど。じゃあバンドとしての目標みたいなものはありますか?
澤 なんかそれも。具体的なものがあんまりなくて漠然としてる。
岡本 自分らはこうやからこうしないとダメや、とか、そういうのに縛られたくはないですけど。
──今まったく縛られてない感じだから、大丈夫だと思います(笑)。ありがとうございました。
黒猫チェルシー(くろねこちぇるしー)
神戸出身のロックンロールバンド。渡辺大知(Vo)、澤竜次(G)、宮田岳(B)、岡本啓佑(Dr)の4名により、高校在学中の2007年3月に結成。2008年には日本テレビの深夜番組「音燃え!」に地元のライブハウスの推薦で出演し、他の学生バンドとは一線を画す格の違いを見せつけた。
2009年4月に1stミニアルバム「黒猫チェルシー」をリリース。現在は都内を中心に精力的なライブ活動を続けている。 なお、ボーカル渡辺大知は2009年夏公開の映画「色即ぜねれいしょん」の主役に抜擢。田口トモロヲ監督、みうらじゅん原作の話題の作品で、岸田繁(くるり)、峯田和伸(銀杏BOYZ)らと共演を果たしている。