ナタリー PowerPush - kors k

“ビーマニの人”では終わらない異色クリエイターの正体

コナミの音楽ゲーム「beatmania」シリーズのトラックメーカーとして知られるkors k(コースケ)がニューアルバム「Let's Do It Now!!」を6月4日にリリースした。

今作には書き下ろしの新曲はもちろん「beatmania IIDX 21 SPADA」「jubeat saucer」「REFLEC BEAT colette」といった音楽ゲームへの提供曲、彼の代表曲「smooooch・∀・」の2014アップデートバージョン、盟友Ryu☆とのコラボ曲など全13曲を収録。“beatmania出身”という異色の音楽キャリアを持つkors kの魅力を凝縮した1枚に仕上がっている。

ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、彼が約14年にわたって楽曲を提供し続けてきた「beatmania」への思いや最新アルバム「Let's Do It Now!!」の聴きどころなどを聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 インタビュー撮影 / 上山陽介

beatmaniaの曲は僕のショーケース的作品

──kors kさんは2000年に稼働を開始した「beatmania IIDX 4th Style」でデビュー曲「Clione」を発表しました。当時まだ高校生だったkors kさんはなぜbeatmaniaを入り口に音楽の世界に足を踏み入れたのでしょうか?

kors k

もともと音楽を始める前はすごくゲームが好きだったんです。特に格闘ゲームが好きでゲームセンターにもよく行ってたけど、音楽を始めたら一切ゲームをやらなくなってしまった。で、ちょうど僕がクラブミュージックにハマっていた頃にbeatmaniaが登場して、そのタイミングがガッチリ合ったんです。すごいゲームが出たなって思ってて。そのときは自分の曲がどうすればゲームで流れるかなんて何もわからなかったんですけど。

──kors kさんが作曲活動を始めたのはいつ頃だったんですか?

作曲は中学校に上がってからすぐ始めて。それでbeatmaniaの公募に参加したのが16、17歳の高校2年生くらいのときかな。

──デビューから約14年が経った今でもkors kさんはbeatmaniaの曲を作り続けています。kors kさんにとってbeatmaniaはどんな存在なのでしょうか?

自分のスタート地点だっていう意識がすごく強いです。beatmaniaは新作が10カ月に1回くらい出るんですけど、そこに提供する曲は自分のショーケース的な感じに捉えていて。やっぱりこの仕事は僕の中で一番気合いが入るところなんです。

──kors kさんがbeatmaniaに提供する楽曲は、一貫してトランスの要素がベースにあるように思います。トランスのどこに惹かれるんですか?

キレイだったりアンニュイだったりするものが僕は好きで。ジャンルとしてのトランスというよりもトランスのエモーショナルな表現の仕方とか、ハーモニーとかの気持ちいい部分に惹かれるんです。ビートがなくなってしっとりと聴かせるブレイクダウンとかの演出もすごく好きですね。

──beatmaniaに楽曲を提供するトラックメーカーとして、何か意識していることはありますか?

kors k「EXIT TUNES ACADEMY -BLUE DRAGON / 青龍 RELEASE PARTY-」東京・Zepp Tokyo公演の様子。

僕は普段DJとしても活動しているんだけど、DJってみんなが知らない曲を紹介する役目があると思っていて。beatmaniaの楽曲もゲームユーザーにとって刺激になる、みんなが聴いたことのない音を届けようと思って曲を作ってますね。

──新しいジャンルや流行も意識して取り入れてるんですか?

僕自身、流行りものが大好きで。今回のアルバムもそうだけど、今のクラブミュージックの主流になっているEDMはすごく意識してます。主流なだけあっていい曲が多いので、普段からよく聴いてますね。カッコいい音を聴いてると自分でも作ってみたいなって思うので、新しい音を取り入れるっていうのは常に意識してます。

ニューアルバム「Let's Do It Now!!」/ 2014年6月4日発売 / EXIT TUNES / QWCE-00363
[CD] 2000円 / QWCE-00363
収録曲
  1. Let's Do It Now!! Intro / kors k
  2. Gimme a Big Beat(Extended) / kors k[jubeat saucer]
  3. On My Wings / kors k
  4. Wuv U(Extended) / kors k[REFLEC BEAT・beatmania IIDX 18 Resort Anthem]
  5. Insane Techniques(Extended) / kors k[beatmania IIDX 21 SPADA]
  6. Ultra Hardcore / kors k
  7. Mine / kors k feat.Timmy
  8. Because of You / kors k
  9. Shibuya Jungle / kors k
  10. Playing With Fire(Extended) / kors k[REFLEC BEAT colette]
  11. Force of mind / The 4th
  12. smooooch・∀・2014 / kors k[beatmania IIDX 16 EMPRESS]
  13. Nirvana / kors k feat.ЯIRE
kors k(コースケ)

音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。10代の頃からシンセサイザーによる楽曲制作を始め、2000年にコナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX 4th Style」に提供した「Clione」でデビュー。「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして楽曲を提供し続けながら、アニメのキャラクターソングの作曲やJ-POPのリミックス、アレンジなど幅広い制作活動を行っている。DJ Andoとのユニット・Caramel Podではa-nationへの楽曲提供や倖田來未をはじめとする日本人アーティストへのリミックス提供、イベントとのコラボのほかヒラリー・ダフやデミ・ロバートといった海外アーティストへのリミックス提供も担当。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍している。2014年6月、アルバム「Let's Do It Now!!」をリリースした。