まらしぃとkors kのユニット・maras kのニューアルバム「Beat Piano Music3」が5月30日にリリースされる。
2015年7月に初の音源「Beat Piano Music」をリリースして以来、maras kにとって3作目のアルバムとなる今作には、kors kの代表曲「SigSig」のカバーや高橋洋子がボーカルで参加した「T.o.k.y.o」など計11曲が収録される。音楽ナタリーでは、定期的な音源リリースだけでなく、maras kとして単独ツアーを開催するなど充実した活動を展開しているまらしぃとkors kにインタビューを実施。新作の制作背景や、6月9日に東京・日比谷野外音楽堂で開催されるライブイベント「まらフェス2018 in 日比谷野外音楽堂」についての話を聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 上山陽介 ライブ写真撮影 / Daisuke Ishizaka
ソロライブでは味わえない高揚感
──前回のインタビュー(参照:maras k(まらしぃ×kors k)「Beat Piano Music2」特集)の直後にmaras kとして初の単独ツアーがあり、今年の1、2月には2度目のツアーが開催されました。maras kとしてのライブもかなり定着してきましたね。
まらしぃ 普段の僕のソロライブは会場がホールということもあって、お客さんに座って観てもらうことが多いんです。でもmaras kのライブはクラブのイベントに近いノリなので、ソロライブでは味わうことのできない高揚感があります。
kors k 僕の場合は普段DJとしてステージに立つことが多いんですけど、DJって自分だけで完結してしまうものだと感じていて。そこにまらしぃくんというプレイヤーが入ることによって、よりライブ感のあるパフォーマンスができている手応えがありますね。
まらしぃ ライブ中、けっこうがんばってピアノを弾かなきゃいけないときがあるんですけど、そういうタイミングになるとkors kさんがいい感じにフロアを煽ってくれたりして。
kors k 目線を散らす係、みたいな(笑)。
まらしぃ ホント、いろいろ助けてもらいながら一緒にステージを作ることができるのでkors kさんがいると、とかとても心強いです。
kors k まらしぃくんのファンのみんなってすごくピュアで、僕が何かしらのアクションをするとすぐにそれを受け入れてくれるんですよね。まらしぃくんのソロコンサートではタオルを回すようなことってなかったと思うんですけど、maras kのライブで「情熱大陸」をプレイするときに僕がタオルを回すように促すと皆さん素直に動きをマネしてくれるんです。maras kのライブは一体感があって、すごく楽しいですね。
悪そうな音の「Piano Shogun」
──maras kとしてのアルバム「Beat Piano Music」もついに3作目になりました。「3」はどんな作品にしようと?
kors k 前作「Beat Piano Music2」は、最初に出したアルバム「Beat Piano Music」の続編を作ろうっていう気持ちが強かったんです。でも今回はわりとフラットな状態でいきなり曲を作り始めまし。まず「Piano Shogun」って曲を作って。
──「Beat Piano Music」の「Piano Ninja」、「Beat Piano Music2」の「Piano Samurai」に続く「Piano 〇〇」シリーズの新曲ですね。
まらしぃ 今年の頭に開催したライブツアーに向けて、kors kさんと「新曲を披露したいよね」って話になって作ったのが「Piano Shogun」なんです。ちょっと“悪者”っぽいサウンドなので、けっこうタイトル付けは迷いました(笑)。
kors k 確かに悪そう。
まらしぃ 僕は最後まで、「THE AKUDAIKAN」というタイトル案を推してたんです。
──「Piano Ninja」ではまらしぃさんが作曲していて、「Piano Samurai」ではkors kさんが作曲を手がけていました。今回の「Piano Shogun」の作曲は2人の連名なんですよね。
kors k 作り方がちょっと特殊だったんですよね。まらしぃくんが作曲のものって、ピアノのメロディをもらって、僕がそこに肉付けしていくスタイルで制作した曲なんです。でも「Piano Shogun」は先にこっちでビートと簡単なメロディだけ作って「あとはよろしく!」って投げた曲で。
まらしぃ コードが1種類しかなくてちょっと難しかったんですけど、いろいろフレーズを乗せて返したら、今度はkors kさんが肉付けをしてくれたんです。
──作曲のクレジットに2人の名前が入った曲は今回が初めてですよね。
kors k そうですね。たまにはこういう形もアリかなと思って。
まらしぃ お互いに「これは僕の曲です!」って言うような性格でもないので、あんまりクレジットにこだわっているわけじゃないんですよね。ただ「Piano Shogun」は2人で作った感覚が強かったです。
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ゲームは2人の共通項
- maras k「Beat Piano Music3」
- 2018年5月30日発売 / Subcul-rise Record
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[CD]
2300円 / SCGA-00072
- 収録曲
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- 2 Player
[作曲:marasy] - cat's magic☆
[作曲:marasy] - Rainy Junction
[作曲:kors k] - SigSig maras k ver.
[作曲:kors k] - T.o.k.y.o maras k feat. Yoko Takahashi
[作曲:marasy / 作詞:Yoko Takahashi] - Dione
[作曲:marasy] - Piano Shogun
[作曲:kors k、marasy] - Goodbye Sunday
[作曲:kors k] - TOGETHER FOREVER
[作詞・作曲:Matt Aitken、Mike Stock、Peter Alan Waterman] - GAME CLEAR
[作曲:kors k] - 2 Player Again (piano ver.)
[作曲:marasy]
- 2 Player
ライブ情報
- まらフェス2018 in 日比谷野外音楽堂
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- 2018年6月9日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:00 / START 17:00
出演者
まらしぃ / maras k / logical emotion / 小湊昭尚 / 高橋洋子
- 2018年6月9日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- まらしぃ
- 2008年よりニコニコ動画の“弾いてみた”カテゴリなどで活動しているピアニスト。ボカロPとしてもオリジナル曲を投稿している。2010年にDMEから1stアルバム「V.I.P(Marasy plays Vocaloid Instrumental on Piano)」をリリースした。また2012年10月には初の全編ピアノソロアルバム「V-box」を発表。2013年には事務員Gを新たに加えたアニソンカバーアルバムの続編「4D-PIANO ANIME Theater!」をリリースする一方で、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」のCMソングの演奏を担当。「チョコレイト・ディスコ」、「千本桜」のカバーバージョンはいずれも大きな話題を集めた。2015年2月にはdrm(B)、タブクリア(Dr)とともにインストトリオバンド・logical emotionによる初の全国流通盤「LOGISTIC FUNCTION~VOCALOID SONGS COMPILATION~」をリリース。2015年7月には音楽ゲーム「BEMANI」シリーズのトラックメーカーとして知られるkors kとのコラボユニット・maras kとしてアルバム「Beat Piano Music」を発表した。2018年5月9日にはYouTubeチャンネル登録者数が100万人を突破したことを記念してベストアルバム「marasy piano songs best collection」を配信リリース。5月30日にはmaras kとして3作目のアルバム「Beat Piano Music3」を発表する。
- kors k(コースケ)
- 音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。10代の頃からシンセサイザーで楽曲制作を始め、2000年にコナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX 4th Style」に提供した「Clione」でデビュー。「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして楽曲を提供し続けながら、アニメ関連の楽曲やJ-POPのリミックスなどを手がけ、トータルで400曲以上におよぶ楽曲群を世に送り出している。Ryu☆とのユニット・The 4thをはじめ、teranoidやEagle、StripEといった名義でも活動。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍しており、国内のみならずアメリカやアジア各国でもライブを重ねている。2014年6月にアルバム「Let's Do It Now!!」を、2015年3月に前作のリミックス音源と新曲を収めた「Let's Do It Again!!」を発表した。同年7月にはピアニストのまらしぃとのコラボユニット・maras kとしてアルバム「Beat Piano Music」をリリース。2018年5月にはmaras kとして3作目のアルバム「Beat Piano Music3」を発表する。