音楽ナタリー Power Push - maras k

まらしぃ×kors k 今だからできる「2」ならではのコラボ

まらしぃとkors kのユニット・maras kのニューアルバム「Beat Piano Music2」が1月25日にリリースされる。

彼らがアルバムを発表するのは前作「Beat Piano Music」以来、およそ1年6カ月ぶり。今作には7月に実施されたライブイベント「まらフェス2016 in 日比谷野外音楽堂」で披露された「情熱大陸 maras k ver.」や、まらしぃ作曲の「poppin' jumpin'」、kors k作曲の「Out of Reality」の“maras k ver.”など、計11曲が収録される。音楽ナタリーではmaras kの2人に2度目のインタビューを実施。ユニット結成からの1年半を振り返ってもらったほか、今作の制作過程や初の単独ツアー「Beat Piano Music2 release Live Tour」への意気込みなどを語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 小坂茂雄 撮影協力 / カワイ表参道

有意義で楽しい、刺激的なコラボ

──maras kというユニットが誕生してから早くも1年半が経ちましたが、2人にとってこのコラボユニットはどういう存在になりましたか?

まらしぃ

まらしぃ ピアノを弾いていて、それこそ好きなことをやらせてもらってるんですけど、ピアノを弾いているだけじゃできないことをこのmaras kではやらせてもらっているというか。maras kとしての活動で勉強もさせてもらってますし、僕にとって有意義で楽しいものになっています。

kors k まらしぃくんと一緒にやるまで生の楽器とコラボする機会ってあまりなかったから、ライブやレコーディングを重ねていくごとにピアノの説得力というものをすごく感じているんですよね。ピアノだけでも成立するところにどうやって自分のカラーを乗せていくか、逆に自分の世界観の中にピアノをどう取り入れたら効果的かっていう試行錯誤をしていくのがすごく刺激的なんです。普段はパソコンに向かってひたすら曲を作ってるだけなので、彼と一緒に曲を作るのはすごくいい経験になってます。

──前作「Beat Piano Music」はそれぞれのカラーがわかりやすく出ていたというか、まらしぃさんとkors kさんのどちらが作曲したのかがすぐわかる曲が多かったんです。でも今作ではどちらが主導権を握った曲なのか一聴しただけではわからないんですよ。いい意味で2人の色が混ざり合ってる感じがして。

kors k

kors k あ、ホントですか。

まらしぃ 前回は初めてご一緒させていただいたこともあって、どこまでお任せしていいか、どこまで自分で作り込むか、みたいなところを探っていた部分もあったんですよね。例えば電話する前に伝えることを箇条書きにして、みたいなこともしてましたし(笑)。

kors k プライベートでも一緒にご飯を食べに行くこともありますし、前回の制作時に比べたらコミュニケーションを密に取っているのは確かだと思います。

まらしぃ この間は、おいしいカレー屋さんに連れて行ってもらいましたし。

kors k 僕が名古屋に行ったときはおいしいお店を紹介してもらいました。そういう関係性が作品にいい作用として出ているのはうれしいですね。

純粋に音楽を楽しんでいるファン

──maras kとしてステージに立つようになってから、kors kさんの現場に女性ファンが増えたという話を伺いました。

kors k そうみたいですね。しかもまらしぃくんのトレードマークにもなっているさるしぃ(さるのぬいぐるみ)のストラップを付けてる人がたくさんいて。

まらしぃ おー。そうなんですね。

──いろんなアーティストとコラボをする中で、まらしぃさんが感じている変化はありますか?

maras k

まらしぃ なんだろう……。いろんな方とコラボをするようになって、お客さんたちの幅が広がった感じはありますね。例えば昔だったら音ゲーの曲を演奏したときに喜んでくれてたのは、コアな音ゲーファンが多かったと思うんですけど、最近はいろんな方が先入観なく曲に触れているような感じがするんです。maras kに関してだと、ダンスミュージックを聴いたことがなかった方に「いい曲だね」って言ってもらえたりしますし。

kors k まらしぃくんのファンにとって、僕がステージ上でやってることってとても新鮮に映っていると思うんです。例えば「まらフェス」で客演したときも(参照:まらしぃ、客演多数の「まらフェス」で気が済むまでピアノを弾く)、お客さんのリアクションがすごくフレッシュで素直だったなと感じて。特にまらしぃくんのファンは純粋に音楽を楽しんでいる人たちが多い印象がありますね。

まらしぃ 「まらフェス」でのmaras kのステージ、めちゃくちゃ気持ちよかったです!

kors k あの日は楽器を持つアーティストだらけで、僕だけがフリーハンドだったんですよ。だから「お客さんを身振り手振りで煽れるのは僕だけだな」と思って、盛り上げ役を買って出ました。僕も気持ちよかったですね。

maras k ニューアルバム「Beat Piano Music2」/ 2017年1月25日発売 / 2300円 / Subcul-rise Record / SCGA-00058
「Beat Piano Music2」
Amazon.co.jp
収録曲
  1. Piano Samurai
    [作曲:kors k]
  2. 太陽曰く燃えよカオス maras k ver.
    [作曲:田中秀和]
  3. Neon Lights
    [作曲:kors k]
  4. Out of Reality
    [作曲:kors k]
  5. Sakuramochi Battle
    [作曲:marasy]
  6. 楓神 maras k remix
    [作曲:marasy]
  7. ざざぶり大作戦
    [作曲:marasy]
  8. 情熱大陸 maras k remix
    [作曲:葉加瀬太郎]
  9. poppin' jumpin'
    [作曲:marasy]
  10. さるしぃアイランド
    [作曲:kors k]
  11. さるしぃアイランド アゲイン(piano ver.)
    [作曲:kors k]
maras k「Beat Piano Music2 release Live Tour」
  • 2017年3月4日(土)大阪府 Flamingo the Arusha
  • 2017年3月9日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年3月11日(土)東京都 新宿ReNY
まらしぃ

2008年よりニコニコ動画の“弾いてみた”カテゴリなどで活動しているピアニスト。ボカロPとしてもオリジナル曲を投稿している。2010年にDMEから1stアルバム「V.I.P(Marasy plays Vocaloid Instrumental on Piano)」をリリースした。また2012年10月には初の全編ピアノソロアルバム「V-box」を発表。2013年には事務員Gを新たに加えたアニソンカバーアルバムの続編「4D-PIANO ANIME Theater!」をリリースする一方で、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」のCMソングの演奏を担当。「チョコレイト・ディスコ」、「千本桜」のカバーバージョンはいずれも大きな話題を集めた。2015年2月にはdrm(B)、タブクリア(Dr)とともにインストトリオバンド・logical emotionによる初の全国流通盤「LOGISTIC FUNCTION~VOCALOID SONGS COMPILATION~」を発表。2015年7月には音楽ゲーム「BEMANI」シリーズのトラックメーカーとして知られるkors kとのコラボユニット・maras kとしてアルバム「Beat Piano Music」をリリースした。2016年7月には東京・日比谷野外大音楽堂にて「まらフェス2016 in 日比谷野外音楽堂」を開催し、翌8月にはアニソンカバーアルバムの最新作「Anison Piano2~marasy animation songs cover on piano~」を発表。2017年1月にはmaras kの2ndアルバム「Beat Piano Music2」をリリースする。

kors k(コースケ)

音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。10代の頃からシンセサイザーで楽曲制作を始め、2000年にコナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX 4th Style」に提供した「Clione」でデビュー。「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして楽曲を提供し続けながら、アニメ関連の楽曲やJ-POPのリミックスなどを手がけ、トータルで400曲以上におよぶ楽曲群を世に送り出している。teranoidやEagle、StripE、Ryu☆とのユニット・The 4thといった名義でも活動。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍しており、国内のみならずアメリカやアジア各国でもライブを重ねている。2014年6月に、アルバム「Let's Do It Now!!」をリリース。2015年3月に前作のリミックス音源と新曲を収めた「Let's Do It Again!!」を発表した。