いろんな人のいろんな音楽に触れなければ
──最後に収録されている和田たけあき(くらげP)さん編曲の「小さなモンスター」で激情的な気持ちを吐き出されて。
「小さなモンスター」はいろんなものが溜まっていって、真っ暗闇の中から自分で出られなくなってしまった子がテーマで、すごいマイナス思考なんです。でも最後には「僕はそれでも死なずに生きてるんです」っていうのを訴えかけて、また生きることができるっていう。
──黒からまた白に戻ると。それと前作はryoさんと二村さんが全曲の編曲を手がけてましたが、今回は前述の方々や田中潤(GENTOUKI)さんといったいろんな方が編曲で参加されてるのも特徴の1つですね。
それも新しいステップですね。今までは特定の人としかやってこなかったので、自分ができることの範囲を自分で狭めてしまってる気がして。でも、これからも音楽をやっていくからには、いろんな人のいろんな音楽に触れなければと思ったんです。なので楽器のレコーディングにも立ち会って、どういうふうにすればどういう音が鳴るのかとかしっかり見るようにして。それで音楽の聴き方が自然と変わっていきましたし、いろんな音が見えるようになって。そこでまたさらにたくさんのものを吸収した感じです。
──レコーディングの際に印象に残ってることは?
田中さんはボカロPとは違う世界の方なので、そこの違いがすごく面白かったですね。例えばbuzzGさんとレコーディングをしたときは、ミュージシャンの方もボカロの曲に携わってる方が多くて、会話もボカロやアニメに関する話題が多かったんです。でも、田中さんのレコーディングには千ヶ崎学さんや坂田学さんといった熟練の方に参加していただいたので、まず年齢層からして違ってたんです。話してることも楽器とか機材のわからない言葉がたくさん飛び交ってて、わからないからあまり覚えてないんですけど(笑)。でも、私みたいにDTMで曲を作る前の時代はどうやって曲を作ってたのか教えてもらったり、すごく勉強になりました。
──そういう新しい刺激を受けることで、音楽に対する意識もより強くなるでしょうしね。
それと田中さんとの「LinariaLisa」のレコーディングでは、楽器をみんなで「せーの!」で録って、そのときに私も一緒に歌わせてもらったのがすっごく楽しかったです。音源ももらったんですけど、それだけでも作品になってるし、しかも何テイクも録らなくてもすぐ終わっちゃうんですよ。本当にすごいなと思いました。
今回のスタートラインから、全力で突き進んでいこう
──そのように音楽面でも新しい挑戦をされた今回のミニアルバムですが、改めて自分にとってどんな作品になりましたか?
1stミニアルバムを出してからいろんな気持ちがあったんです。でも、その中でいろいろ勉強して、成長して、やりたいことを詰め込むことができたので、やっぱりスタートラインですね。私は15歳の頃にsupercellでスタートラインに立って、そこからソロデビューしてまたスタートラインに立って、さらに時間が空いて意識もいろいろ入れ替えてまたスタートラインに立つことができて……何回もスタートラインに立つのがうまいなって自分でも思ってるんですけど(笑)。
──3回目になるんですね(笑)。
でも、スタートラインに立つごとにやりたいことができるんですよ。ソロデビューしてからは自分の中の気持ちや物語を伝えたいという気持ちが出てきたし、私の作った物語が誰かの物語になるっていう楽しさもあるし。その中でも私はとにかくいろんな人に自分の歌を聴いてほしいという思いが一番にあるので、そのためにもライブをいっぱいやりたいですし、ラジオとかテレビにもバンバン出ていきたいですし、私のやれることであれば何でもチャレンジする!って思ってて。今回のスタートラインから、全力で突き進んでいこうと思ってます!
- こゑだ「モンシロチョウ」
- 2017年11月29日発売 / BeanZoo
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[CD]
2160円 / SNCL-00005
- 収録曲
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- モンシロチョウは死なない
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:田中潤(GENTOUKI)] - ヒースのかけら
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:二村学] - LinariaLisa
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:田中潤(GENTOUKI)] - パラノイアフォルテ
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:二村学] - tobacco
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:和田たけあき] - あそびましょ
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:ryo(supercell)&二村学] - ネリネ
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:buzzG] - 小さなモンスター
[作詞・作曲:こゑだ / 編曲:和田たけあき]
- モンシロチョウは死なない
- こゑだ
- 福岡県出身の女性シンガーソングライター。2011年に開催されたsupercellのボーカリストオーディションで、当時15歳にして約2000人の応募者から選出され、2013年11月にリリースされたsupercellのアルバム「ZIGAEXPERIENTIA」でボーカルを担当した。2015年6月にミニアルバム「Nice to meet you.」でソロデビューし、2017年11月に2ndミニアルバム「モンシロチョウ」を発表。ソロ作品では自身で作詞作曲を行っている。