音楽ナタリー PowerPush -こゑだ

ソロとして届ける「はじめまして」

手術を経て“人生で初めて”のライブへ

──ソロだとsupercellと違って、よりいろんな活動ができると思いますが、これからどういうことをやってみたいでしょうか。

こゑだ

CDを出すこともすごくうれしいんですけど、やはり録音だといくらでも編集できてしまいますよね。だからライブで自分の歌を披露したいと常に思っていて、皆さんの前で歌う機会はたくさん作っていきたいなと思っています。もともとデビューしたときから常に、人前で歌を披露したいという気持ちがあったんです。でもsupercellでは顔も出さずにやっていたわけですから、ちょっと謎の存在みたいになってしまって。そうなった今、表に出ていったらどう思われるんだろう?という心配はありますけど。

──顔を出さないイメージがなんとなくついてしまったけれど、本来は人前で歌ってみたかったということでしょうかね。

ただ、あまりこういう場で言ったことはなかったんですけど、私はいずれは表に出たいと思っていたので、ダイエットしたりもしたんです(笑)。でも、おなかだけがどうしても引っこまなくて。それで私は痩せない体質なのかなとあきらめてた部分もあったんですけど、去年の10月頃に横腹がすごく痛くなって、病院に行ったんです。エコー検査したら胸下からおなかくらいまでが真っ黒になっていて、お医者さんも「これはなんなのかわかんないよ」って言っていて。その後大きな病院に行ってみたら、巨大卵巣嚢腫っていう病気で……卵巣に腫瘍ができて、しかも私はそれを5年間も放置してたみたいなんですよ。それで9カ月の胎児くらいの大きさの水風船みたいなものがおなかに入っていると言われて。

──9カ月って、もう生まれる寸前みたいなものですから、妊婦さんくらいのおなかになっていたということですよね。それは大変だ。

大した病気ではないんですけど、このサイズになると手術でしか除去できないと言われました。ちょうどアルバムの制作もやっている時期だったので、いろいろ不安もあったんですけど、早いうちに手術しないと今後に差し支えると思って緊急で2週間ほど入院して手術を受けたんです。そしたら今まで見たことがないくらい、一気におなかがへこんだんです。9カ月の胎児くらいの腫瘍が一気におなかから取れたので。だからけっこう痩せたんですよ(笑)。

──いやあ、笑い事じゃないですけど、でもまあ、よかったというか……。

こゑだ

ある意味、このタイミングでよかったのかなと思ってます。退院してから1カ月くらい体調不良が続いたので、ミニアルバムを発売してから手術してたらライブもできなかったでしょうし。完治したからこそ、これからの活動も続けていくことができるようになったんです。

──今回のミニアルバム制作では、いろんな意味で成長もあったし、乗り越えたものもあったということですね。じゃあ満を持して6月28日には東京・TSUTAYA O-WESTでリリースパーティをやりますけど、これはもう意気込み十分ですね。

さっき、あまり音楽を聴かないって言いましたけど、もともとお母さんにVOCALOIDのCDを1枚買ってもらったことがあるだけで、あとはCDを買ったこともなかったんですよ。だから人間が歌ってるCDだと、初めて手にしたのは自分の歌っているsupercellの作品だったんです。それと同じように、実は誰かのライブに行ったこともないんです。

──ええーっ! それは新世代って感じがするなあ。でも、それなのに自分がソロでアルバムを出し、ライブをやるというのもカッコいいですね。

私としては皆さんの前で自分を表現するというのは好きだし、自分としてはうまくやれるイメージがあるんですよね。だったら19年間ライブというものを観たことがない私が初めて行くのが、自分自身のライブだというのもカッコいいかなとちょっと思えますよね。だからもう、こうなったらリリースパーティまではほかの人のライブは一切観ずに、誰の真似でもない、こゑだのオリジナルなライブを披露したいと思っています!

「Nice to meet you.」リリースパーティ

2015年6月28日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST

こゑだ 1st Mini Album「Nice to meet you.」発売記念イベント サイン&握手会

2015年6月6日(土)福岡県 アニメイト福岡天神
[1回目]OPEN 12:30 / START 13:00
[2回目]OPEN 15:00 / START 15:30

2015年6月7日(日)東京都 SHIBUYA TSUTAYA
START 13:00

こゑだ

福岡県出身の女性シンガーソングライター。2011年に開催されたsupercellのボーカリストオーディションで、当時15歳にして約2000人の応募者から選出され、2013年11月にリリースされたsupercellのアルバム「ZIGAEXPERIENTIA」でボーカルを担当した。2015年6月にミニアルバム「Nice to meet you.」でソロデビュー。ソロ作品では作詞作曲も自身で行っている。