音楽ナタリー PowerPush -こゑだ

ソロとして届ける「はじめまして」

supercellで学んだこと、ソロとの違い

──ボーカルについても聞かせてください。ソロになったことで自分の中で歌う意識や技術は変わりましたか?

こゑだ

デビュー当時は15歳だったので、19歳になった今聴いたら、単純に声が変わってきたかなとは思いました。あと自分の意識の違いもけっこうあるので、それも歌に出ていますね。今回は自分で書いた曲なので、やっぱりすごく感情移入できるんですよ。歌詞を読むと「いや、そうだよね。私もそう思う!」みたいな気持ちになれるんです。当たり前ですけど。

──はははは(笑)。まあ自分の書いた歌詞ですから、そりゃしっくりきますよね。今回はsupercellのryoさんがプロデュースを務めていますが、ゲストボーカルとして関わっていたときと違いはありました?

supercellで歌っていたときは作品自体のイメージもあるし、立場としてもゲストボーカルなので、ボーカルという1つの楽器みたいな意識だったんですよ。だけど今回は自分の世界を表に出していける機会だったので、これはどんどん意見を言わなきゃなと思いました。でもその半面、どこまで自分の意見を言ったらいいのかまったくつかめなくて。

──自分の作品だから、意見を言うこと自体には抵抗はないんじゃないですか?

いえ、今までもずっと周りに「よくも悪くも空気を読んでしまうね」「若いんだから、もっとズバズバ自分の意見を人に押しつけたほうがいいんじゃない」とか言われていたんですよ。皆さんといい雰囲気で制作ができるのがうれしかったので、そこを変えるのって自分としてはちょっとなと思ったりしてたんです。だけど自分の意見を強く言う大切さもあるとは思っていたので、ちょっとわがままになってみようと思って、「こういうのがやりたいんです」って言ったら、それが全部受け入れられるわけでもなくて。それで頭の中が真っ白になってしまいました。

こゑだ

──難しいですね。自分を出さなきゃいけないけど、なんでも思い通りになるわけでもないというか。

自分としても、言わなきゃいけないと思って悩んだ末に言ってみたんですけど、そこで戻ってきた答えに「なるほど、そうだな」と思わされるところもあって。でもその意見を家に持ち帰ると「いや、やっぱり私は違うと思う」というところも出てきたりするんですけど、その場で考えて答えられないというか。それに私より音楽の知識や経験のある皆さんの発言だからこそすごく説得力があって、私の考えよりも信憑性があるのかなとか思って悩んだりしていたんですけど。

──1作目らしい悩み方なのかもしれませんね。

悩んでいるときは「なんでこんなに悩まなきゃいけないんだろう」と思ったりしたんですけど、最終的にすごくいい作品ができたので、全体を振り返ってみると経験して損だったことはひとつもなかったなと思えました。今後の制作活動にも生かしていきたいです。

──ほかにソロになって気付いたことはありましたか?

自分の曲だからこそ、自分で管理しなきゃいけないんですよね。わたし、USBメモリとかも全然持ってなくて。歌詞とかも自分でデータを持ってないと「歌詞ちょうだい」って言われたときに出せないんだと気付いて。仮の曲もパラデータで欲しいと言われても、データが残ってなかったりして。常識だったりもするんでしょうけど、今までの制作と大きく違うところだったのでいろいろ学ばせていただきました。本当は自分で編曲まで全部やれたらよかったんですけどね。でもさすがに難しくて。その代わり「この音がいい」とか「ここがちょっと気になる」みたいなことはかなり言わせていただきました。

オールマイティに歌いたい

──楽曲の方向性としては、全体的にロックテイストが強いながらも、かなりバラエティ感のあるアレンジになっていると思いました。そういう点もご自身でディレクションしたのですか? 自分の好きなジャンルが反映されているとか?

こゑだ

私はデビュー前から自分で率先して音楽を聴くタイプじゃなかったんです。どのジャンルが好きとか、どのアーティストが好きというのではなくて、けっこうオールマイティに何でも聴けてしまうんですよ。ナルシスト的に聞こえちゃうかもしれないんですけど、趣味で自分で作ったものとか歌ったものはよく聴くし、supercellで歌った自分の曲もよく聴くんですけど、それ以外で常に聴いている曲というのがあまりなくて。だからこそかもしれませんけど、デビュー当時から曲調はオールマイティにやりたいという気持ちがあるんです。

──いろんなジャンルを歌いたいというのは、以前からおっしゃっていましたよね。

ただデビュー当時と今では少し意識が違いますね。やはりプロで活動していると、聴いてくださる方がいらっしゃるので、supercellの活動では、その方たちを裏切るようなことはしてはいけないなというのを学ばせていただいたと思っています。今でもオールマイティに歌いたいという気持ちは全然変わってないんですけど、supercell時代の曲からアレンジやジャンルを極端に変更しちゃうと、今まで自分のことを好きだと思ってくれていた人を裏切ってしまうと思ったんです。私の歌や世界観を好きで聴いてくださっている方を悲しませたくないんですよね。だから自分のオールマイティにやりたいという気持ちもちゃんと叶えながら、なおかつ皆さんに喜んでもらえるところに落とし込むことを意識して、そういう相談をしながら編曲していただきました。結果的に、ロックテイストでまとまりがあるんですけど、それぞれにまったく違う色が付いていて、同じようなものがない作品になったんだと思います。それは今後も崩したくない部分だと思っています。

「Nice to meet you.」リリースパーティ

2015年6月28日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST

こゑだ 1st Mini Album「Nice to meet you.」発売記念イベント サイン&握手会

2015年6月6日(土)福岡県 アニメイト福岡天神
[1回目]OPEN 12:30 / START 13:00
[2回目]OPEN 15:00 / START 15:30

2015年6月7日(日)東京都 SHIBUYA TSUTAYA
START 13:00

こゑだ

福岡県出身の女性シンガーソングライター。2011年に開催されたsupercellのボーカリストオーディションで、当時15歳にして約2000人の応募者から選出され、2013年11月にリリースされたsupercellのアルバム「ZIGAEXPERIENTIA」でボーカルを担当した。2015年6月にミニアルバム「Nice to meet you.」でソロデビュー。ソロ作品では作詞作曲も自身で行っている。