V.A.「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」 PR

小林武史|アルバムのこと、現在のこと、これからのこと

小林武史のワークスアルバム「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」が4月4日にリリースされた。「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」は、絢香&三浦大知、back numberと秦基博と小林武史、佐藤千亜妃と金子ノブアキと小林武史、クリープハイプ×谷口鮪(KANA-BOON)など、スペシャルなコラボで話題を集めた東京メトロのテレビCMソングを中心に、小林がプロデュースした楽曲がまとめられたアルバム。今作のリリースを記念して音楽ナタリーでは小林にインタビューを行い、収録曲それぞれの制作について聞いた。またアルバム収録曲の話から派生し、話題は日本の音楽エンタテインメントの中での自分の存在について、日本の音楽シーンの未来についてなど多岐にわたった。

取材・文 / 加藤一陽 撮影 / 西槇太一

「my town」が指標のような形に

──東京メトロのCMソングが中心ですが、アルバムとしてまとめたんですね。

小林武史

そうなんです。何が何でもアルバムにしたかったわけではないんですけど、そういう話はスタッフから出ていました。それでアルバムにするかどうか検討する段階になって、改めて自分なりに並べ替えながら曲を聴いてみたら、ここ数年間の自分の傾向が出ていて。それでアルバムとしてまとめるのも悪くないかもって。

──曲順も素晴らしかったです。小林さんが宮城県石巻市で取り組まれているアートイベント「Reborn-Art Festival」関連の楽曲も収録されていますね。

東京という都市のための音楽と、震災後の地方の音楽。それらをまとめるのはどうなんだろうと思いましたが、自分の中で共通点を見出すことができたんです。東京メトロのCMのテーマ自体もそうなのかもしれないけれど、“都市も、それぞれの地域の営みが集積してできている”ということに着目したら、まとめることができると思って。

──小林さんのおっしゃる通り、都市のための音楽と地方のための音楽が混在しているのに、一貫性が感じられました。

“東京メトロ”から“移動する”ということをイメージしたら、さらに“移り変わっていく”ということにイメージが膨らんで。それらはイコールじゃないかもしれないけれど、風景や情景が移り変わっていくようなイメージが入り込んでいるというのが、このアルバムに共通しているかもしれませんね。

──“移り変わっていく”というイメージは、すべての楽曲で意識して?

意識したと言うより、「こだま、ことだま。」(Bank Band)や「my town」(YEN TOWN BAND feat. Kj)が早い段階でできた曲だと思うんですけど、それらがその後のガイド役になったと言うか。東京メトロのCMソングをやるうえでほかのアーティストたちが少しそれらを追従していくような形になっていったのかな。指標になっていたのかもしれませんね。

どういう出会い方をするか

──東京メトロのCMに提供された楽曲はいわゆるタイアップソングですが、小林さんはそれぞれにテーマを設けて取り組まれたのですか?

東京メトロの曲は、基本的に2人のアーティストのコラボレーションですよね。東京メトロのプロジェクトと「Reborn-Art Festival」のプロジェクトって並行して進めていて、「Reborn-Art Festival」のプロジェクトで僕は、“生きる術”とかそういうものを意識しながら進めていたところがあるんですけど、そんなことをもう一度捉え直すうえで、「出会い」ということを認識したんです。

──出会い、ですか。

被災地って震災であれだけ多くのことを失ったからこそ、逆にいろいろな出会いが起こりやすいレアな状況になったところがあると思っていて。一方で、最近の東京って、ちょっと先のことが見えるようなところがあって、出会いにくいと言うか、文化的な出会いやケミストリーが起こりにくくなっているような気がしているんです。

──そうなんですか。

そういうことが念頭にあり、東京メトロのプロジェクトは、アーティストたちのコラボも含めて、“どういう出会い方をするか”ということを意識したのかもしれません。例えばback numberと秦基博くんのコラボのように、ある種の再会だったり、友情的な出会いのことなのかもしれないし。

──back numberの皆さんも秦さんも、小林さんの音楽をガッツリと通っている世代です。

彼らと作った「reunion」では、僕もアレンジをやりながら、彼らがミスチル(Mr.Children)を聴いていた世代であることを意識しながら場を作っていったところもありますし、彼らもそういう場で歌うことを意識したところはあった思う。そういう時間軸的な意味でも、何かケミストリーが起こっていたように感じます。

V.A.「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」
2018年4月4日発売 / UNIVERSAL SIGMA
小林武史「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」

[CD] 3240円
UMCK-1595

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収録曲
  1. to U / Bank Band with Salyu
  2. ハートアップ / 絢香&三浦大知
  3. Happy Life (unreleased version) / 中島美嘉×Salyu
  4. What is Art? / Reborn-Art Session(櫻井和寿 小林武史)
  5. my town / YEN TOWN BAND feat. Kj(Dragon Ash)
  6. reunion / back numberと秦基博と小林武史
  7. 太陽に背いて / 佐藤千亜妃と金子ノブアキと小林武史
  8. 陽 / クリープハイプ×谷口鮪(KANA-BOON)
  9. こだま、ことだま。 / Bank Band
  10. 魔法(にかかって) / Salyu×小林武史
  11. 70(Live version) / novem(大木伸夫[ACIDMAN]、ホリエアツシ[ストレイテナー]、黒木渚、桐嶋ノドカ、小林武史)
小林武史(コバヤシタケシ)
小林武史
音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.ChildrenやSalyu、back numberといった数多くのアーティストのプロデュースを手がける。「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」といった映画音楽も担当し、2010年公開の映画「BANDAGE(バンデイジ)」では監督も務めた。2003年、坂本龍一、櫻井和寿(Mr.Children)と共に一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざまな活動を行っている。「Reborn-Art Festival」では、実行委員長、制作委員長を務める。2018年4月には自身のワークスアルバム「Takeshi Kobayashi meets Very Special Music Bloods」をリリースした。