清竜人|令和元年に何を思う

世の中が求めていないものにはお金は発生しない

──今回はCDアルバムというスタイルでリリースされますが、CDのフォーマットがなくなって配信のみになったり、サブスクが広まったり、そういった今の音楽業界の動きについてどういう考えを持っていますか?

正直まとまった考えはないですね。と言うのも、アメリカ的な発信の仕方は理解しているつもりですが、やっぱり勉強不足で。なんとなくはわかるけど、裏のお金の動きとか会社の動きをある程度理解したうえじゃないと本質を見抜けない。なんとなくの雰囲気で価値観を固めたくないんです。サブスクが広まることで食えなくなるミュージシャンが増えるという人もいれば、逆だという人もいるんですけど、そういう意見の多くは勉強不足のまま発言している人が多いイメージで。あまり軽はずみに発言しないほうがいいと思っています。強いて言うならば、そもそもミュージシャンはお金をもらいすぎてたんじゃないかと思うんです。それがちょっとずつ正当な評価をされ始めているんじゃないかと。予算が少なくなって、いい音楽が作れなくなったと考える人もいますけど、そもそもお金をかけて音楽を作っていた時代のほうが異常なんじゃないかと思っていて。お金というのは対価なので、世の中が求めていないものにはお金は発生しない。それが経済の基本。同世代も下の子たちもそうですけど、そこまで音楽を求めない人が増えているのは事実だし、ファストフード的な音楽が求められている。そして、そのほうが健全という発想も大事なんじゃないかと思います。音楽でごはんを食べていきたいと思っていますけど、時代が変わればニーズも変わってくる。そこでミュージシャンが奢るんじゃなくて、自分の立場や価値を俯瞰で把握しておかないと痛い奴になるというか。そこだけは気をつけていたいなと思いますね。

──ニーズに応えていこうという考えはあるんですか?

清竜人

そこは以前と考え方が変わった部分で。今まで10年やってきて、よかったなと思ってる点でもあり、反省点でもあるんですけど、もっと続けたら浸透していたかもしれないプロジェクトをスパッとやめてしまうのがこれまでの自分のアーティストカラーだったんですよね。これからは自分のペースと世の中のペースをすり合わせていくのが大事なんじゃないかと思っていて。例えば……清 竜人25をやってから、声優さんやアイドルさんへの楽曲提供の仕事が多くて、どれも楽しくやらせてもらっているんですけど、もうちょっと幅を広げても面白いかなと思っています。過去には楽曲提供にはやる気がない時期もあって、断ることもあったんですよね。

──確かに今は声優やアイドルへのポップでキャッチーな提供曲が作家・清竜人のブランドとして定着していますけど、清さんの曲で言う「痛いよ」みたいなバラードを作ってくださいというオーダーがあっても応える?

全然大丈夫ですよ。もちろん「つらいよ♡」みたいなタイトルにはしないです(笑)。

──楽曲提供のみならず、プロデュースからまるまる手がけるようなことがあっても面白そうですよね。

ええ。なんなら自分で会社を作ってプロデュースしちゃうのもアリかなと思いますね。

堀江由衣との共演というご褒美

──5月25日には「清 竜人ハーレム♡フェスタ2019 10th ANNIVERSARY & 30th BIRTHDAY」も開催されます(参照:清竜人ハーレムフェスタに堀江由衣、上坂すみれ、あーりん、でんぱ大集合)。「ハーレム♡フェスタ」は清 竜人25時代のライブシリーズですけど、このタイミングで開催しようと思ったのはなぜですか?

清竜人

単純に10周年で、タイミングよく30歳の誕生日が来るので、いろいろとキリがいいし……かわいい子に囲まれたいなって(笑)。自分へのご褒美みたいなイベントですね。

──外部への楽曲提供のきっかけとなった堀江由衣さんともついにライブで共演を果たすことになります。堀江さんは最近ほとんどイベントに出ていなくて、本当にひさびさに出る音楽イベントが「ハーレム♡フェスタ」になるんですよね。

堀江さんが出るのは熱いですよね。一番のご褒美ですよ。快く引き受けてくださって。7月にリリースされる堀江さんのアルバムにも1曲参加させてもらっていますけど(参照:ほっちゃん4年半ぶりアルバム「文学少女の歌集」清竜人書き下ろし新曲も収録)、「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」(上坂すみれへの提供曲。参照:上坂すみれ、清竜人提供セクシーソングのMVで少年たちを誘惑)に負けじと気合いを入れて作ったので。

──これまでの伏線回収みたいな一夜になるのかなと思います。

初めての楽曲提供は2011年かな。そこから携わってきた人たちが集まってくれるので単純にうれしいですし、これからも仲良くしようねというイベントにしたいですね。

これから上京するくらいの感覚

──5月25日以降で具体的に決まっている予定はあるんですか?

7月15日にレーベルのフェスがあるくらいですね(参照:ももクロ、ヒプマイ、清竜人、特撮、ドレスコーズら集結!EVIL LINE5周年フェス開催)。この1年はどちらかと言うとテンション的には落ち着いていて、オーセンティックにしっとりと作るモードだったので、その反動がきつつあります。次に何をやるかは決まってないけど派手になりそうな予感はしてますね。沸々と「はー、踊りてえ!」みたいな(笑)。20周年を迎えたときに「清竜人って最初の10年は落ち着いてたよね」って言われるくらいになるかもしれないですね(笑)。

──30歳という年齢を迎えることについてはどういう思いがありますか?

まだピチピチの気分ですよ。精神的にはこれから上京するくらいの感覚でいます(笑)。ただ、10代の子たちにものすごく人気があるものとかトレンドに疎いという自覚があって。ハッと我に帰って危機感を覚えることがあるので、10代の若い友達をたくさん作るようにしていますね。ここからは気を抜くとすぐ老けると思うし、それは常に新しいものを提示すべきクリエイターとしては大欠陥なので、30代はちょっと気合いを入れて意識しておこうと思ってます。

──今回のアルバム制作でアップデートした大御所たちを見たから余計にそう思う部分もある?

本当にそうですね。今の自分を続けていくだけなら必要ないと思うんですけど、まだ何か新しいものを作りたい、若い子から見ても新しいものを提示したいという気持ちもあるので。精神的な振る舞いが大事になってくると思います。

ライブ情報

KIYOSHI RYUJIN ALBUM TOUR 2019
  • 2019年5月4日(土・祝)東京都 eplus LIVING ROOM CAFE&DINING
    [1st]OPEN 14:30 / START 15:30
    [2nd]OPEN 18:30 / START 19:30
  • 2019年5月6日(月・祝)大阪府 Flamingo the Arusha
    [1st]OPEN 14:00 / START 15:00
    [2nd]OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2019年5月7日(火)愛知県 名古屋ブルーノート
    [1st]OPEN 17:30 / START 18:30
    [2nd]OPEN 20:30 / START 21:15
清 竜人ハーレム♡フェスタ2019 10th ANNIVERSARY & 30th BIRTHDAY
  • 2019年5月25日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
    <出演者> 清竜人 10th ANNIVERSARY Special ver.(清竜人、黒崎レイナ、今野杏南、鎮西寿々歌、巴奎依[A応P]、and more) / 上坂すみれ / 佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)/ でんぱ組.inc / 堀江由衣