音楽ナタリー Power Push - 清木場俊介
“唄い屋”の原点回帰作「REBORN」
清木場俊介が10作目のオリジナルアルバム「REBORN」を完成させた。EXILE ATSUSHIとの友情を描いた先行シングル「友へ」を含む本作は、タイトルが示す通り、清木場が歌うべきこと、歌う意味を改めて見つめ直した原点回帰的な作品となった。
「このアルバムを作ったことで、すべてがクリアになった」と明かした清木場。彼に本作の制作プロセスと“唄い屋”としての現在の心境を語ってもらった。さらに特集の後半には、Twitterで募集した質問に答えるコーナーも展開。年齢にちなんで37の質問に回答してもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人
生のバンドと生の歌で勝負できたライブハウスツアー
──まずは2016年の活動から振り返ってみたいと思うのですが、昨年は38都市41公演のライブハウスツアー「LIVE HOUSE TOUR 2016『RUSH』」を開催をしました。これだけの規模のライブハウスツアーは初めてですよね?
そうですね。一昨年も1カ月に16本のライブハウスツアーをやったんですけど、それがすごく盛り上がったんです。で、去年はそれをさらに拡大したツアーをやって。41本やるって決まったときはビックリしましたけど(笑)、めちゃくちゃ楽しかったですね。ライブハウスはお客さんとの距離も近いし、演出に頼らず、生のバンドと生の歌で勝負する感じなので。ずっと日本全国を飛び回って、山口に5カ月くらい帰れなかったし、旅が長くなるにつれてバンドメンバーの口数も少なくなったけど(笑)、それもいい思い出です。
──セットリストも場所によって変えていたそうですね。
どんどん変えていかないとマンネリになりますからね。リハーサルで「今日はこの曲をやろう」って予定外の曲を入れると、バンドもビシッとするし。昔の曲もけっこうやったんですよ。1stアルバム「清木場俊介」に入ってる「進め」とか「それっ!」もやったし、「想愛」もひさびさに歌って。年に1回くらいは、昔の曲を歌うライブもいいなって思いましたね。
──清木場さん自身、初期の曲のよさを再確認できたのでは?
そうですね。「この曲を作ったときは、こんなことを考えていたな」って思い出したり。ファンもそれぞれの思い出があるだろうし、MCでも「あの頃はこうだったよね」みたいなことを話して。いろんな裏話や濃い話もあるから、MCだけ集めたCDを出しても面白いと思いますよ。
──さだまさしさんのように(笑)。
そうそう(笑)。あとね、「子供が大きくなったから、ひさしぶりにライブに来ました」という人も多いんですよ、最近。「あの頃の曲を歌ってくれてうれしかったです。新しいアルバムも聴いて、またライブに来ます」とか。ライブハウスツアーは細かく回れるので、そういう効果もあるんですよね。例えば佐賀の人だったら「福岡まで行くのは大変だけど、近くに来てくれるんだったら行ってみよう」ということもあるだろうし。お子さんを連れてきてくれる人もいるんだけど、6歳くらいの子がめっちゃ歌を覚えてくれてたりして。うれしいですよね、ホントに。
「これでできなかったら、田舎に帰ろう」
──ツアーと並行して新曲の制作も進めていたんですか?
いや、制作に入ったのはツアーが終わったあとですね。4、5曲くらいはあったんですけど、自分の中で響かなかったというか、今の自分の気持ちとリンクしなかったんですよ。前作の「FACT」とは別の切り口で作ろう思ってたんだけど、なかなか糸口がつかみきれなくて。でも、期限はどんどん迫ってくるじゃないですか。めちゃくちゃ悩みまくった挙げ句、予定していたレコーディングをバラしてもらったんです。そのとき「これは絶対にヤバい。どうにかしないと」って思ったんですよね。その打ち合わせが終わったのが19時くらいだったんですけど、「今日の24時までガムシャラにやって、それでもいい曲ができなかったら、もう歌を辞めよう」って。
──そこまで思い詰めてたんですか?
その前からずっと悩んでましたからね。レコード会社のスタッフにも迷惑をかけてたし、(川根)来音と「これでできなかったら、田舎に帰ろう」って言って、すぐに曲作りを始めて。俺がアコギを弾きながらメロディを歌って、来音にコードを付けてもらって。それに歌詞を付けて、すぐにプリプロして。それを聴いたときに2人で大号泣したんですよ。「やっといい曲ができた」って。そのデモをスタッフに送って「もし響いたら、レコーディングさせてください」ってお願いして……それが「友へ」なんですよね。ATSUSHIをイメージして書いた曲なんですけど、この曲ができたことでアルバムへの糸口もつかめてきて。やっぱり、歌う理由がしっかりしてないとダメなんですよね。
──去年はATSUSHIさんとの交流も再開したし、タイミングもよかったんでしょうね。
そうですね。ATSUSHIの曲を書かせてもらって、ドームのライブにも呼んでもらって。特にドームで一緒に歌えたのは大きかったですね。あのステージによって、今まで溜め込んできたもの、自分の中で引っかかっていた部分がクリアになったというか。僕はグループ(EXILE)を突然辞めてしまったし、ファンの人たちに何も言わないでソロになったことに対して、わだかまりみたいなものがあったんです。でも、もう一度ATSUSHIと一緒に歌わせてもらったことで、肩の荷が下りたというか。ATSUSHIにとっては、すごく勇気が必要だったと思うんですよ。グループを抜けた人間を呼ぶっていうのは、なかなかできることではないので。
──友情ですよね。
そうですね。ソロになってから10何年経ちますけど、がんばってやってきてよかったなって思いました。当たり前ですけど、僕が歌い続けてなかったら、ATSUSHIと一緒に歌うこともできなかったので。すごくうれしかったし、これからはさらに純粋に清木場俊介として歩んでいけるなって。
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- ニューアルバム「REBORN」2017年3月29日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4104円 / VIZL-1135
- 通常盤 [CD] 3132円 / VICL-64763
CD収録曲
- FREE MAN
- TO LIVE OR DIE
- Baby I love you
- 風のように
- あの海へ
- お前しか愛せない
- 僕の傍にいた君は…君の傍にいた僕じゃない
- 友へ
- 悲しいコトがあれば
- Like my sense
- SIGN of IMPACT
- 手繰り寄せて
- 母ちゃんの幸せじゃけぇ
初回限定盤DVD収録内容
- 友へ ~MUSIC VIDEO~
- 六花 ~MUSIC VIDEO~
- 友へ -making movie-
- ライブBlu-ray / DVD 「WHITE ROCK III」2017年3月29日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- Blu-ray Disc 7560円 / VIXL-187
- DVD 6480円 / VIBL-839
収録内容
- INTRODUCTION ~ハイドロップス アンド ハイタイムス
- 夜に消えても…。
- 君を探してる
- 空に月と貴方と私
- 君に出逢って
- ここに居る事を…
- 羽1/2
- 愛のかたち~ありがとう ~例えば…ボクが。~有り余る愛
- Rainy Days feat. 清木場俊介
- With You ~10年、20年経っても~ feat. 清木場俊介
- 愛 NEED YOUR LOVE
- あのさ~
- 強くならないで…
- 最後の夜
- Memory
- 愛してたはずなのに
- 12月の風
- 幸せな日々を君と
- うつろいゆく世界で
- JET
特典映像
- Documentary of WHITE ROCK III
清木場俊介(キヨキバシュンスケ)
1980年生まれ、山口出身の男性シンガー。地元テレビ局のボーカルオーディションに優勝し上京し、2001年9月にEXILEのボーカル・SHUNとしてデビューする。2005年1月にシングル「いつか…」でソロデビューし、翌2006年3月にソロアーティストとしての道を追求するためにEXILEを脱退する。また2008年に所属レーベルおよび事務所を離れ、新チーム・JETを設立。2009年1月にSPEEDSTAR RECORDSへの移籍を発表し、同年7月にアルバム「Rockin' the Door」をリリースした。2014年にはソロデビュー10年目の節目を迎え、初のベストアルバム「唄い屋・BEST Vol.1」、オリジナルアルバム「MY SOUNDS」、シングル「幸せな日々を君と」「ROCK★STAR」など作品を多数リリース。2017年3月に10作目のオリジナルアルバム「REBORN」を発表した。