音楽ナタリー Power Push - 清木場俊介

“唄い屋”の原点回帰作「REBORN」

曲を書いているときに考えているのは、ファンの人たちのことだけ

──僕も以前ATSUSHIさんに取材させてもらったことがありますが、ATSUSHIさん、清木場さんのことが大好きですよね。清木場さんの歌に対しても、すごくリスペクトしていて。

清木場俊介

僕がグループを離れてから、さらに距離が近くなった感じもありますね。グループにいたときは、僕が周りに厳しいことを言う役目だったんですよ。僕が辞めてからはATSUSHIがその役目をやるようになったんですけど、彼は優しいですからね。そのときに「SHUN(清木場)はこんな大変なことをやってたんだ」って思ったみたいで。生きてきた道も性格も真反対だし、お互いに持っていないものを持っているとうか……まあ、37歳の男2人がニコニコしてバラードを歌ってるのは、ちょっと気持ち悪いですけど(笑)。

──ははははは(笑)。

最近もよく2人で会ってますけど、ドームのライブを振り返って「あれ以上のものを体験するのは難しいね」って話しているんですよ。2人共歌っていくし、活動は続いていくんだけど「今後、あのとき以上に感動的なことを体験できるだろうか?」って。それくらい大きな出来事だったんですよね、2人にとって。もちろん、彼は彼のやるべきことをやって、僕はこの生き方を続けていくしかないんですけどね。僕は僕で自分の表現を追求して、ファンの人たちと一緒に別の感動を作っていかないといけないので。

──その最初の一歩が今回のアルバム「REBORN」なのかもしれないですね。「友へ」ができたあと、アルバムの制作は順調だったんですか?

うん、すごくスムーズでした。歌いたいことがどんどん出てきて、そのイメージに沿って歌詞を書いて。例えば1曲目の「FREE MAN」はサラリーマンのことを歌ってるんですけど、それも今だから書けたと思うんですよ。若いときに「サラリーマンが……」って歌っても、説得力がないでしょ? 40代が近付いてきたからこそ、雇われて働いている人の大変さもわかるというか。「サラリーマンであっても、心は自由でいようぜ。自分のために生きようぜ」という歌なんですけどね。

──年齢によって歌えることも変わってくる、と。

うん、それは絶対にありますね。自分だけじゃなくて、聴いてくれてる人もそうだと思うんです。最初の頃は「俊ちゃんはこういう歌が歌いたんだな」というだけだったと思うんだけど、みんなも年齢を重ねてきて「どうしてこういう歌を歌うのか」とバックボーンまで感じ取ってくれるようになって。そうすると、こっちも歌いやすいんですよね。ライブをやっていても、よりリアルに響いてるのがわかるし。自分のことをまったく知らない人に聴かせようという発想もないですから、僕は。

──え、そうなんですか?

はい。曲を書いているときに考えているのは、ファンの人たちのことだけなので。僕を知らない人に曲を届けるのは、スタッフにがんばってもらって(笑)。不特定多数の人のことを考えても、いい曲は書けないんですよ。バランス的には今がちょうどいいと思います。自分の書きたいものを書いて、それを聴いてくれる人がいるわけだから。

誰かと一緒に歌うとすごい安心する

──「FREE MAN」のようなド直球なロックが歌えること自体、清木場さんの個性ですよね。30代の男性シンガーで、こういう歌を歌ってる人はあまりいないじゃないですか。

確かに。よく「30代の男性ソロシンガーって少ないよね」っていう話になるんですけど、「需要がないからじゃないの?」って言われることもあって。そういうときは「やかましい! 需要があることは、俺があと5年で証明する」って言ってるんですけどね。でもね、ソロはキツいんですよ(笑)。ATSUSHIと歌ったときもそうだし、AK-69にゲストで来てもらったとき(2016年12月に東京国際フォーラムで開催された「CHRISTMAS CONCERT 2016『WHITE ROCK III』」)もそうだけど、誰かと一緒に歌うとすごい安心するんです。ダンサーがいるとパフォーマンスしてるときに休めたりするけど、ソロだと全部自分でやらなくちゃいけないですからね。歌って、しゃべって、ちょっと踊って(笑)。まあ、それをやりたかったからソロになったんですけど。

清木場俊介

──清木場さんはソロが向いていると思います、完全に。

グループに向いてないですからね。人に言うことを聞かせるのもイヤだし、自分1人でストレスを感じてるほうがいいから。

──そのほかの楽曲についても聞かせてください。まず「TO LIVE OR DIE」はオーセンティックなロックンロールナンバーです。

ストーンズ(The Rolling Stones)的なロックンロールをやりたくて。それを日本語で歌うことで、自分なりのロック魂を込めるっていう。この曲は歌詞が先なんです。それを(西広)ショータに渡して「王道のロックンロールにして」って言ったら、これが上がってきて。聴いた瞬間に「アルバムに入れよう」って決めたし、ライブでも絶対に盛り上がると思いますね。もともとロックンロールやロカビリーが大好物ですからね。ストーンズとか、マックショウとか。

──当然、キャロルも好きですよね?

めちゃくちゃ好きです。周りにも同じような趣味のヤツが集まってるんですよ。バイクや革ジャンも好きですけど、そういうこともキャロルの影響だったりするので。

ニューアルバム「REBORN」2017年3月29日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] 4104円 / VIZL-1135
通常盤 [CD] 3132円 / VICL-64763
CD収録曲
  1. FREE MAN
  2. TO LIVE OR DIE
  3. Baby I love you
  4. 風のように
  5. あの海へ
  6. お前しか愛せない
  7. 僕の傍にいた君は…君の傍にいた僕じゃない
  8. 友へ
  9. 悲しいコトがあれば
  10. Like my sense
  11. SIGN of IMPACT
  12. 手繰り寄せて
  13. 母ちゃんの幸せじゃけぇ
初回限定盤DVD収録内容
  • 友へ ~MUSIC VIDEO~
  • 六花 ~MUSIC VIDEO~
  • 友へ -making movie-
ライブBlu-ray / DVD 「WHITE ROCK III」2017年3月29日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
Blu-ray Disc 7560円 / VIXL-187
DVD 6480円 / VIBL-839
収録内容
  1. INTRODUCTION ~ハイドロップス アンド ハイタイムス
  2. 夜に消えても…。
  3. 君を探してる
  4. 空に月と貴方と私
  5. 君に出逢って
  6. ここに居る事を…
  7. 羽1/2
  8. 愛のかたち~ありがとう ~例えば…ボクが。~有り余る愛
  9. Rainy Days feat. 清木場俊介
  10. With You ~10年、20年経っても~ feat. 清木場俊介
  11. 愛 NEED YOUR LOVE
  12. あのさ~
  13. 強くならないで…
  14. 最後の夜
  15. Memory
  16. 愛してたはずなのに
  17. 12月の風
  18. 幸せな日々を君と
  19. うつろいゆく世界で
  20. JET
特典映像
  • Documentary of WHITE ROCK III
清木場俊介(キヨキバシュンスケ)
清木場俊介

1980年生まれ、山口出身の男性シンガー。地元テレビ局のボーカルオーディションに優勝し上京し、2001年9月にEXILEのボーカル・SHUNとしてデビューする。2005年1月にシングル「いつか…」でソロデビューし、翌2006年3月にソロアーティストとしての道を追求するためにEXILEを脱退する。また2008年に所属レーベルおよび事務所を離れ、新チーム・JETを設立。2009年1月にSPEEDSTAR RECORDSへの移籍を発表し、同年7月にアルバム「Rockin' the Door」をリリースした。2014年にはソロデビュー10年目の節目を迎え、初のベストアルバム「唄い屋・BEST Vol.1」、オリジナルアルバム「MY SOUNDS」、シングル「幸せな日々を君と」「ROCK★STAR」など作品を多数リリース。2017年3月に10作目のオリジナルアルバム「REBORN」を発表した。