この曲が代表曲になったとき、
そこに吉沢が関わっているという事実を作りたかった
──そうして、MVには岸さんの親友である吉沢さんが出演されているという、これまた大きなトピックがあります。この「ごめんね」で吉沢さんに声をかけた理由を教えてもらえますか?
「ごめんね」は僕のこれまでの人生の中で一番、代表曲になりうる曲だなと思ったときに……今の時代、YouTubeでの作品の発信もすごく大事だなと思ったんです。YouTubeならばアップするのはMVだし、MVで自分ができる限りのことってなんだろう?と考え、「吉沢亮だな」と。彼のマネージャーさんに連絡して、忙しいですからスケジュール調整は大変だったけど、出てくれることになりました。あとは、もし今後この曲が自分の代表曲になったとき、そこに吉沢が関わってくれているという事実を作りたかったというか。彼への感謝の思いも込めて。
──「ごめんね」は自分の代表曲になる、という確信みたいなものを感じていた?
どちらかと言うと、周りがそういうふうに仕立ててくれたなという感覚ですね。つんく♂さんもマシコさんも、斎藤誠さんも。皆さんが「よし、やろう」と思ってくださって、こんなに素敵な曲を提供してくれたので……僕はいただいた曲への責任を、ちゃんと背負わなきゃなという思いがあるんです。
──そうだったんですね。MV制作はどのように進行していきましたか?
内容に関しては、監督のカンタに預けました。完全にお任せして戻ってきたものが、今皆さんが観てくださっているように素晴らしい内容のものだったので「これでいきましょう」と。
──現場の雰囲気はいかがでしたか?
和やかではありましたけど、作品のテイストは和やかとは違うものですし、亮が参加できる時間も限られていたので、集中力が要りましたね。本当に、亮はプロとして高い集中力の中でお仕事してくれたなという感じでした。
──ちなみに、吉沢さんは曲についての感想は?
「めちゃいいやん」と言ってました(笑)。
──(笑)。高校時代からの知り合いである吉沢さんとこういった形でタッグを組むのは、どんな感覚だったんでしょうか。
仕事の現場で亮と会ったのは初めてだったので、「とってもプロフェッショナルな方なんだな」というのが素直な印象で。百戦錬磨というかね、たくさんお芝居の経験を積んできて今の彼があるんだな、と感じられる姿を見ることができて、僕、けっこう感動しっぱなしだったんですよ(笑)。
──映像の中にはお二人の共演シーンもありました。
すぐそばで彼の後ろ姿を見ていて、背中で語れるってすごいことだなと思いましたね。カメラが回ると、一瞬にしてどよんとした悲しさを表現していて。そのとき僕はリップシンクをしているから、彼の演技をそんなにジッと見られたわけではないけれど、そこに亮がいる、存在感がとても強いなと感じていました。
──吉沢さんはMVの主人公を演じられたわけですが、岸さんご自身の役柄についてはいかがですか?
僕は“妖精さん”ですね。主人公の気持ちを歌にしている存在、というポジションでいたんですけど、みんなが観たいのは吉沢だから、邪魔しないようにしようと(笑)。
──いや、「岸さんの出演シーン、これだけでいいの?」と思ってしまいました。
いいんです、いいんです。ホントは僕、「出番なしでいい」って言ってたんですよ。このMVで興味を持ってくれた人が、自分のほかのMVを観てくれたらいいと思っていたから。
──そうだったんですね。実際、MVは爆発的な拡散力を持って多くの人に観られています。コメント欄にもたくさんのリアクションがありますよね。
それは本当に亮とカンタがすごいから。ありがたいです。
自分に対しての応援歌だったんだな
──2曲目の「Door」はすでにライブでも披露されているナンバーですね。フレッシャーズ特有の描写で紡がれる応援歌ですが、この歌詞には岸さんの実体験も?
そうですね。「Door」はサラリーマン時代に作った曲です。「もう芸能界に戻ることはないだろう」と思いながら書いてた曲。
──今歌うことで、曲を作った当時との変化は感じますか?
歌詞の中で「君は君のままでいい」と言っているんですけど、今思うのは「これは自分に対して言い聞かせてたんだろうな」と。自分に対しての応援歌だったんだなと感じます。今になってやっと、応援したい人たちに向けて「君は君のままでいい」と言えている感覚があるというか。
──「Doorの向こうへ」で終わる楽曲ですが、岸さんにとっては今いる場所が“Doorの向こう”だったわけで。「戻ることはないだろう」と思っていた場所で活躍している未来が待っていたという事実は、すごく面白いですね。
いやあ、ホントに人生何が起こるかわかんないなと思いますね。絶対に芸能界に戻るとは思っていなかったですし、だからこそ「いつかの夢と少し違ってしまったけど」なんて歌詞を書いてるわけで。なので、今の環境でこの曲を歌えていることって、本当に奇跡のようなものだと思っているんです。あと、サラリーマンをやって気付いたのは、叶えられなかった夢があって、違う道を選んだ人はたくさんいるということ。この曲に共感してくれる方はたくさんいるはずなので、今は本当に、自分の環境に感謝をしながら純粋な応援歌として歌わせてもらっています。
これはもう、サザンです!
──3曲目の「夏のシンパシー」は王道のサマーソングといった感じですね。
はい。僕、インディーズ時代に「夏、キミ。」という曲を作って、ほかに「女神サマー」という曲もあるんですけど、いずれもファンの方が好きでいてくれている曲で。夏の曲を「いいね」と言ってもらえることが多かったから、これから夏曲を作るの大変だなと思っていたんですよ。だけど、この曲はできたときに「いける!」と思えたんです。曲自体は2年前くらいに作ったものなんですけど、今回作品に入れるにあたって、編曲に斎藤誠さんが入ってくれると。実はこの曲、サザンオールスターズをイメージして作った曲なんです。僕の中のサザンを表現したんですけど、斎藤さん、めっちゃサザンのギターの人じゃないですか。だからこれはもう、サザンです!(笑)
──あはははは(笑)。
歌詞も、ホントに桑田(佳祐)さんリスペクトで書いていて……メロも桑田さんのマネして歌いながら作っていたので、それをまさか斎藤さんにアレンジしてもらえるなんて、といった感じで。
──斎藤さんは曲について何かおっしゃっていましたか?
「ちゃんと岸くんの歌になってるよ」と言ってくださったんですけど、レコーディングのときに一度桑田さんのマネをして歌ってみたら、ブースの向こうから「似てまーす」とひと言(笑)。面白かったですね。ありがたかったです。
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歌詞もメロディも僕の心に刺さり続けてるんです