岸洋佑|つんく♂、吉沢亮も参加の最新作 “個性派集団” THE ONEMEN'Sで表す岸の現在地

歌詞もメロディも僕の心に刺さり続けてるんです

──「いついつまでも」は、かなり前からあったマシコさんの楽曲なんですよね?

そうなんです。あの、なぜかわからないけどずっと好きな曲ってありません? 僕にとってはこの曲がそれです。スルメのような、噛めば噛むほど味が出るような曲で……25歳を過ぎてやっと、マシコさんに「歌っていいよ」と言われて。これまでは「お前にはまだ早い」という感じだったんでしょうね。

──「歌いたい」という思いはずっと伝えていたんですか?

岸洋佑
岸洋佑

ずっとですよ。18歳のときから伝えていました。ようやく「いいよ」と言ってもらえたんです。ホントに、歌詞もメロディも僕の心に刺さり続けてる曲なんですよ。お客さんもね、歌うたびに「どんどん好きになる」と言ってくださる方が多くて。やっぱりみんなもそうなんだなって思います。

──この曲は岸さんの歌声から落ち着きというか、ほかの曲とは違う……。

そうなんですよ。大人の余裕感が出せたと思うんです。

──それは、長いお付き合いをしてきた曲だからというところも関わっているんでしょうね。

だと思うし、ホントに好きだから。早くカラオケに入らないかなと願ってます。もう自分の曲とか関係なく、ただ歌いたいっていう(笑)。

──(笑)。マシコさんは、岸さんの歌については何か?

「いいじゃん、お前の『いついつまでも』になってるよ」としか言わないです。あとは「(斎藤)誠さんがいいディレクションしてくれたな」と。

──それって、一番の褒め言葉ではないですか?

でもあり、「俺にはまだまだ適わないな」とも言われているんだと思います(笑)。俺、この曲をマシコさんが歌っているのが大好きなんで。その域にはまだたどり着かないけど……自分なりには歌えているのかなと思います。

──この先も長い付き合いの曲になっていきそうですね。

はい。そうしていくつもりです。

今の“ちょうどいい”を愛せる人になりたい

──5曲目の「牛丼の歌」は初披露のバースデーライブで聴かせてもらいましたが、衝撃的でした(参照:岸洋佑、真面目にふざけたバースデーライブで26歳の誓い「皆さんの想像のはるか上へ」)。

ありがとうございます。ふざけてましたね(笑)。

──面白さと真面目さが絶妙なバランス感で。

もう、本気ですよ、本気。真面目にふざけるということをしているんです。曲を通して言いたいこともちゃんとあって。「牛丼が好きだ」という表のテーマもそうですけど、その向こう側では、みんな「もっともっと」と欲しがるけど、世の中って実は“ちょうどいい”に囲まれてるんだよ、と。それって実は素晴らしいことで、欲張らずに今の“ちょうどいい”を愛せる人になりたいなという気持ちを伝えています。

──そもそも、どうして牛丼をモチーフにしようと思ったんですか?

岸洋佑

牛丼が好きだからです!

──すごくシンプルでした(笑)。

そう。でも今僕ダイエット中で牛丼断ちしてて。早2週間ですよ……え、もう2週間も食べてないの? そんなの初めてですよ。

──それまではどのくらいのペースで?

週6食くらいですね。

──それは、切っても切り離せない存在ですね(笑)。

ええ。だから吉野家さんでMVを撮らせてくれたんだと思います(笑)。

──MVもすごく凝った作りになっていましたね。このMVに関しては、岸さんが制作に関わっているんですよね?

はい。監督は別にいましたけど、企画構成は僕です。俳優の仲間もみんな出てくれてありがたかったですね。

──作品の中ではこの曲がラストに置かれて、異彩を放っていますよね。

でも、これが僕の本気の推し曲ですからね(笑)。趣味で作った曲で、歌詞とメロディが一緒に出てきたので15分くらいで完成してしまったんですけど、自分の思いをすべて歌詞に乗っけているんで一生懸命歌うことに徹しています。

このアルバムができたことで、満足できなくなった自分もいる

──そして、通常盤にはボーナストラックとして「Sing'n Step」という楽曲が収録されます。

この曲の歌詞はある企画でオーイシマサヨシさんと対談させてもらったとき、彼に向けて描いた歌詞なんです。で、その歌詞がすごく面白いなと思えたので、コメダ珈琲でボイスメモにメロディを吹き込んで仕上げました。だから、曲もマサヨシさんっぽくアレンジしたいなと思ったりして。その結果、今までの俺っぽくない曲になったと思います。マサヨシさんに感謝です。

──そう言われると、歌詞を畳みかけるようなにぎやかな感じにオーイシさんを感じます。

そうなんですよ、まさに。

──「THE ONEMEN'S」は本当に、岸さんを取り巻くいろいろな方との関わりの中で生まれた作品なんですね。

ホントにそうだと思います。

──完成してみての思いはいかがですか?

岸洋佑

うれしいですし、完成したときはすごく満足していたんですけど、このアルバムができたことで、満足できなくなった自分もいて。「次に作品を出すときにはもっといいものを作れるようにしなきゃ」と思わされるというか。そんなアルバムになりましたね。

──アルバム制作の話を聞いていても、岸さんの人を引き付ける力だとか運を引き寄せる力だとかをとても感じるのですが、岸さん自身が周囲とコミュニケーションを取るうえで大事にされていることってありますか?

「Door」の歌詞にもありますけど、挨拶と笑顔。これは当たり前のことだけど、すごく大事だなと思っています。あとは、ごまかさずにちゃんと向き合う、ということも大事にしていますね。

──なるほど。

それと「この人とは合わないかも」と思う人との関係性に関しては、けっこうサバサバしているかもしれません、僕。

──でもそれって、健やかでいるために大事なことだったりしますよね。

そうなんです。自分を守るための選択は大事だし、逆を言うなら自分が大事にしたい人に対してはしっかりと向き合う。偉そうなことは言えないですけどね(笑)。でもそうしていった結果が、こうして周りにたくさんの人がいてくれる事実だとも思うので。変わらずに大切にしていきたいです。

──では最後にこれからの活動について、岸さんの思いを教えてください。

10月4日からはラジオのレギュラーも始まりますし、12月には初めてミュージカルに出演させてもらうことも決まっています。いい意味で目標を定かにしなくていいなと思える状況でもあるので、これから数年はやりたいこと、できることをなんでもやって、「なりたい自分とはどんな自分か」を考えつつ……しっかりと進歩して、日本武道館ワンマンという目標に近付いていけたらいいなと思いますね。

──いろいろな可能性が開いている最中という感じがしますね。

ただ、器用貧乏と思われないようにしないとな、とは思っていますね。僕は器用貧乏に思われがちなので、音楽で1本筋を通せるようにしたいなとは思ってます。とにかく「がんばります!」しか言えないですね!

岸洋佑

おまけ ジャケット写真に写った「THE ONEMEN'S」メンバーとそのキャラクターを“岸プロデューサー”が解説!

岸洋佑「THE ONEMEN'S」通常盤ジャケット

「ごめんね」の彼は手前の真ん中にいる子ですね。「Door」の彼はピンクのTシャツです! 真面目な好青年ですよ。前向きな新卒のサラリーマン。「夏のシンパシー」の彼は手前にいる、白いシャツを着たセンター分けのコイツ。夏の海でモテたくてしょうがないんです。「いついつまでも」の彼は、奥にいるオールバック! 6畳ひと間の部屋に住んでくすぶってるミュージシャンです。自分の曲が大好きで「世間はわかってくれない」と腐っているんですけど、ついに岸プロデューサーがユニットに引っ張ってきました。いい曲作るんですよ。で、「牛丼の歌」の彼は言わずもがな、オレンジのポロシャツの彼ですね(笑)。唯一、自らTHE ONEMEN'S入りを志願したメンバーです。牛丼チェーンで勤続5年、真面目に働いていたら「もっとたくさんの人を笑顔にしたい」という夢ができちゃったんですね。だから「牛丼の歌」を引っ提げて門戸を叩いた。一番やる気のある、一生懸命な子です。「Sing'n Step」の彼は左奥の子なんですが……オーイシマサヨシさんを意識した格好をしています(笑)。

ライブ情報

YOSUKE KISHI LIVE TOUR "THE ONEMEN'S"
  • 2019年10月25日(金)愛知県 名古屋ReNY limited
  • 2019年11月1日(金)大阪府 umeda TRAD
  • 2019年11月10日(日)東京都 日本橋三井ホール