KIRINJI「愛をあるだけ、すべて」 PR

KIRINJI|もうエバーグリーンと言われたくない ダンサブルなKIRINJIの新作「愛をあるだけ、すべて」

KIRINJIが6月13日に通算13枚目となるニューアルバム「愛をあるだけ、すべて」をリリースする。本作のキーワードはグルーヴ。堀込高樹の代名詞とも言えるポップセンスはそのままに、ヒップホップやハウスの最新トレンドを独自の視点で取り入れた内容に仕上げられている。

今回のインタビューでは、アルバムの内容はもちろん、KIRINJIの特集としては音楽ナタリー初登場となる弓木英梨乃のバンド加入から現在までの心境、コトリンゴ脱退の影響、高樹の作詞作曲術などについて聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 山川哲矢

このタイトル、最初は冗談だと思いました

──印象的なタイトルのアルバムですね。

KIRINJI

堀込高樹(Vo, G) 今回は曲名でアルバムのタイトルになりそうなものがなかったので、歌詞の中で一番キャッチーなこの「愛をあるだけ、すべて」を選びました。決めたのは完成する直前の、ミックスしてるとき。今回は発売の1カ月前まで作業していたんですよ。本当に時間がなかった。

楠均(Dr, Perc, Vo) このタイトルは新鮮でしたね。

田村玄一(Pedal Steel, Steel Pan, Vo) 日本語で、しかも漢字が入ったアルバムタイトルはこれまでなかったので驚きましたよ(笑)。

弓木英梨乃(Vo, G) 私、最初は冗談かと思いました。

千ヶ崎学(B, Vo) 俺も(笑)。

弓木 高樹さん、ものすごく軽い感じで言ってたので(笑)。ほかにも候補がありましたよね?

堀込 最初は意味のない言葉の羅列にしようと思っていました。KIRINJIから母音を取った「KRNJ」とか。でも弓木さんに「ダサいね」と言われたのでやめました(笑)。あと今回はファンキーな曲が多いので「FUN/K」とか。でもこれも発音するとただの「ファンク」だから面白みに欠ける。そんな紆余曲折を経て、最終的に「愛をあるだけ、すべて」になりました。

コトリさんの声が聴こえないのは寂しい

──なぜ制作時間がなかったのですか?

堀込高樹(Vo, G)

堀込 1つは3月にライブが決まっていたこと。もう1つはあるテレビ番組の音楽を作る仕事を引き受けたからです。「テレビの音楽は今までやったことがないから面白そうだな」と軽い気持ちでしたが、これが意外と大変でした。1分くらいの短い曲を十数曲分。でも僕としては、1分の曲も3分の曲も、作る大変さはあまり変わらない。要は大元となるアイデアを作るのが一番難しいですからね。もちろん、とてもいい経験でしたけど。

 今年の前半の高樹くんは本当に大変そうだったよね。

弓木 だけど、皆さん「ヤバいよ、ヤバいよ」みたいな雰囲気をあまり出さないんです。それぞれが自分のできることを冷静にこなしていて。だから私もそんなに切迫感を持っていなかったんです。でも最終的なミックスの現場に行ってみたら、思ってた以上に本当にギリギリだったのでかなりびっくりしました(笑)。

田村 あるメールの返信で「ありがございました」と書いてあって、「ありがとうございました」も打てないほど追い詰められてるんだな、と察しましたね(笑)。だから今回はみんな個々でレコーディングしてデータを高樹くんに送ったのですが、ちょっと気を利かせてコーラスを余計に録ったり。

千ヶ崎 僕もこれまでは、必ず高樹さんの家に行って、相談しながらベースをレコーディングをしていたんですが、今回は自宅で録ったものを送りましたね。

──制作の遅れはコトリンゴさんの脱退も影響していますか?

堀込 それはないですね。

田村 寂しさはあったけどね。

 コトリさんの声はどんなに小さくても聞こえてくるから、ライブをしてたり、このアルバムを聴いたりしていて、不在感はどうしても感じてしまいますよ。

千ヶ崎 でもコトリさんが抜けたのがちょうど年末だったので、みんな年明けとともに気持ちを切り替えられたと思います。また新しいKIRINJIになった感覚ですね。

KIRINJIが「自分のバンド」だと思って活動しています

──意外にも、弓木さんはKIRINJIの特集では音楽ナタリー初登場なんです。

弓木 えっ!? そうなんですか……。

──と言うわけで非常に今更ではありますが、KIRINJIに加入した経緯を教えてほしいのです。

弓木英梨乃(Vo, G)

弓木 そもそも私は2009年にシンガーソングライターとしてデビューしていて、2011年にリリースした「River」という曲を高樹さんにプロデュースしていただきました。初めてお会いしたのはそのときです。でもそこから深い交流が始まったとか、そういうわけではなく、私はちょこちょこライブを観に行かせていただくくらいの関係性でした。そしたら(堀込)泰行さんが脱退されたタイミングで、突然電話がかかってきたんですよ。「ギターとしてKIRINJIに加入しませんか?」って。びっくりしました。なんで私なんだろう、みたいな。

堀込 僕はバンドを仕事としてやる場合、タレント性が重要だと思っているんですよ。自分にタレント性があるとは思ってないけど、それまでの僕らには「兄弟」というストーリーがあった。けどそれがなくなってしまうとき、僕は塊としてのエネルギーをダイナミックに伝えられるグループを作りたかった。ギターを弾く若い女性のシンガーソングライターはたくさんいるけど、弓木さんのようにキレのいいカッティングができたり、テクニカルにソロを弾けたりする子はいない。それで誘ったんです。

──弓木さんはKIRINJIと並行して、Base Ball Bearのツアーサポートをしたり、のんシガレッツにもゲスト参加したりしています。弓木さんにとってKIRINJIの活動はどのようなものですか?

弓木 ……えっ!? それはもちろん、私はKIRINJIを「自分のバンド」と思って活動してるに決まってるじゃないですか! ほかはあくまでサポートという感覚です。

──弓木さんはサポートだとしてもステージ上でとても存在感があるので、ガンガンギターソロを弾いてる姿を観客として観ていると、その当たり前のことをつい忘れてしまうんです。

堀込 それがつまり弓木さんのタレント性なんです。うまいだけじゃない魅力を持っている。まあ、ギターもめちゃめちゃうまいんだけど。プロデュースした2011年の段階で、すでに僕よりうまいと思ったし。しかもKIRINJIに誘ったときは、相川七瀬さんのツアーでサポートをするくらい成長していた。

──アルバム1曲目の「明日こそは/It's not over yet」のギターリフも印象的でした。

弓木 これは高樹さんが作ったフレーズを、私がそのまま弾いてるだけですよ。

堀込 いやいや、やっぱり弾いてる人が違うと同じフレーズでも全然違うものになる。時間がなかったから自分で弾いてみたけど、何かしっくりこなくて。それで弓木さんにお願いしたら、この勢いある感じをすぐに出してくれた。細かい話だけど、僕はオルタネイトピッキングで弾いていたけど、弓木さんはダウンピッキングで弾いている。そのちょっとしたことが違いになる。やはり弓木さんにお願いしてよかったと思っています。

──「After the Party」では弓木さんがボーカルを担当しています。

楠均(Dr, Perc, Vo)

 アルバムの中でもイメージが違う曲だよね。すごくいい。

千ヶ崎 素敵ですよ。シングルで出したいくらい。

田村 一番ビジュアルが浮かぶ曲だよね。ちょっとだらしない部屋の感じとか。

弓木 デモを聴いたとき、「高樹さんはなんでこんなに女の子の気持ちがわかるんだろう?」ってびっくりしました。このシチュエーションに共感しちゃう女の子は多いと思います。私も他人事とは思えなくて、ジーンとしちゃいました(笑)。

堀込 この曲はカチッとしたビートに対して、それぞれの演奏者が違う解釈のリズムを重ねていく構造なんです。ヒップホップとかではよくある手法なんだけど、こういう感じの曲にはソウルフルなボーカルが乗ることが多い。新しい感じになるかなと思って、弓木さんに歌ってもらいました。

KIRINJI「愛をあるだけ、すべて」
2018年6月13日発売
Verve / ユニバーサルミュージック
KIRINJI「愛をあるだけ、すべて」初回限定盤

初回限定盤 [SHM-CD+DVD]
3996円 / UCCJ-9214

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KIRINJI「愛をあるだけ、すべて」通常盤

通常盤 [SHM-CD]
3240円 / UCCJ-2156

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CD収録曲
  1. 明日こそは/It's not over yet
  2. AIの逃避行 feat. Charisma.com
  3. 非ゼロ和ゲーム
  4. 時間がない
  5. After the Party
  6. 悪夢を見るチーズ
  7. 新緑の巨人
  8. ペーパープレーン
  9. silver girl
初回限定盤DVD収録内容
  • AIの逃避行 feat. Charisma.com(Music Video)
  • 時間がない(Music Video)

ライブ情報

KIRINJI TOUR 2018
  • 2018年7月14日(土)福岡県 スカラエスパシオ
  • 2018年7月19日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2018年7月20日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2018年7月25日(水)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2018年7月26日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
KIRINJI(キリンジ)
KIRINJI

©Yosuke Suzuki

1996年10月に堀込泰行(Vo, G)、堀込高樹(G, Vo)の兄弟2人で結成。1997年5月にインディーズデビュー盤「キリンジ」、同年11月にマキシシングル「冬のオルカ」がリリースされると、複雑ながらポップなサウンドと独自の詞世界が大きな注目を集め、1998年にシングル「双子座グラフィティ」でメジャーデビューを果たした。2013年4月に泰行がグループを脱退し、同年夏より千ヶ崎学(B, Vo)、コトリンゴ(Piano, Key, Vo)、楠均(Dr, Perc, Vo)、田村玄一(Pedal Steel, Steel Pan, Vo)、弓木英梨乃(G, Violin, Vo)の5人を加えた新体制に。2014年8月に通算11枚目にして新体制初のアルバム「11」をリリースしたのち、2015年6月には東京・Billboard Live TOKYOでワンマンライブを実施。このライブの音源をもとに、スタジオでのポストプロダクションを施してアルバム「11」を再構築した「EXTRA 11」が11月に発売された。2016年8月にはアルバム「ネオ」を発表した。2017年11月にはコトリンゴがソロ活動に専念するため脱退。2018年6月に新体制初となるアルバム「愛をあるだけ、すべて」をリリースする。