Ken Yokoyama「Better Left Unsaid」インタビュー|コロナ禍を乗り越え新たなステージへ (3/3)

「Better Left Unsaid」はこの先の計画の第一歩

──このシングルですが、「Bored? Yeah, Me Too」同様にレーベル直販のみ、しかも受注生産限定での販売という形にした理由は?

横山 いくつかありまして、まずPIZZA OF DEATHの流通機能をもっと活用したいという気持ちが僕にはあるんですね。今後リリースしていく中で、もちろん流通会社を通してお店に置いてもらうことも考えていますけど、今回のシングルに関しては基本的にKen YokoyamaとかPIZZA OF DEATHのコアファンに届けばいいと僕は思っているんです。なので、そういった意味では通販を使うのが一番合っているかなと。あと、本当にコアファンが来てくれるであろう野音公演に向けて……野音も当然PIZZA OF DEATH主催ライブなので、ライブと流通と近いところで自分たちで収めるという狙いもあります。

──感覚的には、過去にMySpaceで公開した「Dead At Budokan」に近いものがあるなと感じています。

横山 ああ、まさにそうですね。それを今回はこういう形に変えて発表するという。

──なるほど。ここから先、年内含めていくつかリリースが予定されているそうですが。

横山 まだ話せないですけど、けっこう綿密に計画を立てていろいろなことをやろうとしていて、今回のシングルはその第一歩というところです。

横山健(Vo, G)

横山健(Vo, G)

Ken Yokoyama初の台北公演と日比谷野音ワンマン

──5月11日にはZepp New Taipeiでの海外公演も控えています。健さんは海外でのライブっていつぶりですか?

横山 Ken Yokoyamaでは海外には行っていないので、1998年(Hi-STANDARDでのツアー)以来じゃないかな。

EKKUN けっこう海外でやっているイメージがありましたけど、そんなに空いているんですね。

横山 若いときは海外でやってみたいという夢があったんですけど、相当いろんな国でやったので「もういいや」と思ってしまって。それよりも日本国内をちゃんと回れるだけ回ろうかなと。そんな中、今回ふと台北の話が上がって、周りからも「今回行かなかったら、もう行かないですよね」と言われたんです。感覚的に北海道や沖縄に行くのと変わらないんですけどね。

Jun 確かに台北のベーシストが俺の弾いている曲をコピーしてYouTubeに上げてくれていたり、インドネシアのフォロワーがいたりするけど、どのぐらいファンがいるのかは現地でやってみないとわかんないよね。

──それを経て、5月20日の日比谷公園大音楽堂での「DEAD AT MEGA CITY」。「DEAD AT」シリーズは2度目の武道館公演「DEAD AT BUDOKAN RETURNS」(2016年3月10日開催)以来、約7年ぶりです。

横山 どのライブももちろん気合いが入りますけど、初めての野音だし、かつ「DEAD AT」という冠が付いている以上、しっかり腰の入った企画性のあるライブにしたいなと思っています。

──野音自体も100周年の節目を迎え、今年後半には改修工事に入ってしまいますし。

横山 それもあって、またいいタイミングだなと思ってやることにしました。

Jun この3年でホールでもやるようになって「これも面白いじゃん」って感覚が得られたからこそで、コロナがなかったらこの野音も発想になかったかもしれないよね。

横山 確かに、コロナ前だったら「え、椅子あるの? やんないやんない」って選択肢になかったですから。でも、コロナ禍での椅子のある会場でのライブはそれはそれですごく得るものがあったので、今後も続けていきたくて。その第一歩として野音を確保してもらいました。

──このライブハウスツアーを経ての野音というのが、また流れとしていいですよね。いきなり野音だけでライブをするのとは、お客さん的にも見え方がまったく違うでしょうし。

横山 これはいろんなところで話していますけど、席ありのライブだと最前列付近の席にお子さんや小さな女性の方がいるので、ずっとライブハウスでカオスなステージを重ねてきた身としては新鮮で、うれしさを感じるんです。いつもは暴れん坊ばかりで「お前ら、何回来てるんだよ!」って感じになるんですけど(笑)、椅子ありの会場だと、ライブハウスだったら後ろで見ることを強いられてしまう人たちにも新鮮な楽しみ方を与えられる。僕らもここ数年、「おそらくいつかこのコロナの規制は終わるだろうから、すぐライブハウスに戻れるはず。でも、椅子ありの会場も楽しかった、得るものがたくさんあったから今後も続けていくよ」ということをライブで話しかけていたので、それをちゃんと有言実行できて、かつ僕たち自身も活動の幅が広がるわけなので、ここから先の活動が本当に楽しみです。

Ken Yokoyama

Ken Yokoyama

ライブ情報

DEAD AT MEGA CITY

  • 2023年5月20日(土)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

プロフィール

Ken Yokoyama(ケンヨコヤマ)

Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリストである横山健が2004年に始動させたバンド。同年2月に1stアルバム「The Cost Of My Freedom」をリリースした後、コリン(G)、サージ(B)、Gunn(Dr)を率いてライブ活動を行い、2008年1月に初の東京・日本武道館公演を実施した。この公演を最後にコリンが脱退し、Hidenori Minami(G)が加入。同年秋にはサージも脱退し、Jun Gray(B)が加入する。2010年10月には「DEAD AT BAY AREA」と題したアリーナライブを神戸と幕張で実施後、Gunnが脱退し、松浦英治(Dr)が加入。2012年11月に5thアルバム「Best Wishes」をリリースした。2013年11月に横山のドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草(しっぷうけいそう)編-」が劇場公開された。2015年7月には8年4カ月ぶりとなるシングル「I Won't Turn Off My Radio」をリリース。9月にはアルバム「Sentimental Trash」を発表した。2018年6月にNAMBA69とのスプリットアルバム「Ken Yokoyama VS NAMBA69」を発表し、2組によるスプリットツアーを大成功に収めた。2018年12月に松浦が脱退し、新メンバーとしてEKKUN(ex. Joy Opposites、FACT)が加入。精力的にライブ活動を続けるも2019年10月、横山の体調不良を理由にPIZZA OF DEATH主催イベント「PUNKROCKERS BOWL」が中止に。2020年9月に1stミニアルバム「Bored? Yeah, Me Too」、2021年5月に約6年ぶりとなるニューアルバム「4Wheels 9Lives」をリリースした。2023年5月にPIZZA OF DEATHのレーベル直販限定の完全受注生産シングル「Better Left Unsaid」を発表。同月に自身初となる東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でのワンマンライブ「DEAD AT MEGA CITY」を行う。