音楽ナタリー Power Push - KEMURI

もがいてきた20年の答えがここに

スカパンクを心からカッコいいと思ってる

──今回のツアーはスカパンクのカッコよさを見せるっていうのも……?

伊藤ふみお(Vo)

伊藤 もちろんそれもあります。やっぱりさ、心からカッコいいと思ってるわけですよ。スカパンクを。でもさ、KEMURIはいろんなフェスに出させてもらってるけど、スカパンクのバンドってあまりフェスで見ないんですよ。ガキみたいなこと言うようだけど、悔しいとこがあるんです。日本にもカッコいいスカパンクのバンドはいっぱいいるのにって。スカパンクのカッコよさをもっと知らせたいし、日本のスカパンクバンドの刺激になるようなツアーにしたい。

──1990年代半ばから2000年代の初頭にかけてスカパンクは盛り上がったけど、あのときだけのブームにしたくないですしね。現にKEMURIはずっと続けて、スカパンクの裾野を広げている。

伊藤 スカパンクはいいですよ。温故知新も必要だけど、同じかそれ以上に大切なのは“今感”ですよね。「今、面白い」っていう感じ。昔の曲でも今の気持ちで鳴らせば全然違うし。KEMURIが昔の曲で小銭稼ぐためにやってたら、今のようないい状況にはなってないだろうし。KEMURIの今のギラギラ感は再結成前と同じ、いやそれ以上だから。Reel Big FishやLess Than Jakeとか観に来てくれたお客さんに、今のKEMURIの解散前と変わらないギラギラ感を観てもらいたいしね。

10年後にも語られるようなイベントに

──今のスカパンク、楽しみです。最後にツアーへの意気込みを聞かせてください。

伊藤 今、改めて思うことは、みんなもがいて音楽を作り続けてるんだなって。自分の価値観を見つけるためにもがく。自分の価値観って人との出会いで構築されていくもので。KEMURIはいろんなフェスに出させてもらって海外も行って、いろんな人、いろんなバンドと出会ってきた。そんな中で自分たちの価値観を見つけて音楽を作ってきた。その1つの答えが、今回の「SKA BRAVO」ツアーにはあると思うんですよ。

──KEMURIの20年間の点と点がつながって線になっていき、そしてリスナーにつながっていく感じですよね。

伊藤 KEMURIは「F」っていう新しい切り口のアルバムを作って、10月4日からは「F」のツアーが始まるんだけど、その直前に行うこの「SKA BRAVO」ツアーは、マイク・パークが主催した「Ska Against Racism Tour」でアメリカを回った当時の曲、1stアルバム「Little Playmate」と2ndアルバム「77 Days」の曲でセットリストを組もうと思ってるんですよ。でも振り返って懐かしいって気持ちじゃ全然なく、“スカブラボー”なライブ、観に来た人が「スカブラボー!」って言っちゃうようなツアーにしたいですよね。あとね、XLサイズの白いTシャツとダボダボの短パン着てやろうかと(笑)。

津田紀昭(B)

平谷 ははは、当時のファッションだね(笑)。じゃ俺も昔のTシャツ引っ張り出そう(笑)。

田中 僕は非売品のTシャツ……「Little Playmate」の絵が描いてあるTシャツがあるんで。それを着て出ようかと。

伊藤 松本大洋さんのイラストのね。

津田 あとLess Than Jakeとかの物販も楽しみですね。

コバヤシ 貯金下ろしておこうっと(笑)。たぶんね、KEMURIのメンバーはお客さんと一緒に物販の列に並びますよ。

──ファン目線ですね(笑)。でもホント、この日米のスカパンクのイベントは記念だけじゃなく記憶に残ると思います。

コバヤシ このご時世でこういうイベントを日本でやれることを誇りに思います。イベントが終わったあとも、すごい出来事があったって言われる3日間になる予感がします。KEMURIというバンドの“SKA BRAVO”っていうイベントが、音楽シーンに残っていくようなものにしたいです。

津田 そのときだけじゃなく、10年後にも語られるようなイベントになればいいな。10年前にスカパンクのイベントがあったって語り継がれて、10年後のバンドがスカパンクを掘ってあさってくれたら。そうやって若いバンドに影響を与えられるイベントにしたいですね。今回はKEMURIじゃないと呼べないバンドばかりですしね。スカパンク、スカコアが未来へつながるようにしないとね。

伊藤 そうそう、2015年のスカパンク!

KEMURI

KEMURI 20th Anniversary Japan Tour "SKA BRAVO"
SPECIAL GUESTS

Reel Big Fish(リール・ビッグ・フィッシュ)

アーロン・バネット(Vo, G)を中心に、1992年にアメリカのカリフォルニア州オレンジで結成されたスカパンクバンド。1998年に「WARPED TOUR JAPAN」で初来日し、絶妙なコーラスと“おバカ”ノリなパーティーサウンドで日本人ファンも魅了した。1999年にリリースしたアルバム「WHY DO THEY ROCK SO HARD?」に収録された、a-haのカバー曲「Take On Me」が同年公開の映画「ベースケットボール / 裸の球を持つ男」の挿入歌として一躍ヒット。以後、いく度かのメンバーチェンジを経て今なお、アーロンを中心にパンクシーンの第一線で精力的なライヴ活躍を展開している。今回の「SKA BRAVO」ツアーで約12年ぶりの来日を果たす。

Less Than Jake(レス・ザン・ジェイク)

1992年にアメリカフロリダ州で結成された5人組スカパンクバンド。1998年に全米で行なわれた「Ska Against Racism Tour」でKEMURIと競演した。今回の3組の中ではもっとも来日回数も多く、2013年の単独ツアー以来2年ぶりの来日となる。なお昨年よりReel Big Fishとのカップリングツアーを欧米各地で開催中。1996年のメジャーデビューアルバム「LOSING STREAK」に収録された「AUTOMATIC」は、KEMURIがカバーアルバム「KEMURIFIED」で取り上げた。

Skankin' Pickle(スカンキン・ピックル)

1989年にマイク・パーク(Sax, Vo)を中心にカリフォルニア州サンノゼで結成されたスカパンクバンド。在米コリアンのマイクの個性と、ハードコアパンクにホーンを加えたバンドスタイルで人気を集めている。西海岸を中心にヒーロー的人気を博し、そのキャリアを積み重ねながらも、主催ライブではチケット代が5~7ドル(6~800円程度)、CDも8ドル以下というD.I.Y.精神に基づいた活動を展開していた。バンド自体は1996年で解散し、 わずか7年間の活動ではあったがシーンにおける貢献度は偉大で、“伝説のスカパンクバンド”と語り継がれている。解散後、マイクはインディーレーベル・ASIAN MAN RECORDSを立ち上げ後発のバンドをサポートするかたわら、自らThe ChinkeesやThe Bruce Lee Bandなどで活躍している。KEMURIとの縁は古く、初期のアメリカツアーではKEMURIのメンバーにマイクの自宅をホテル代わりに提供するなど、アットホームな関係を築いている。またマイクはKEMURIに「Don't Know」「Kanasimiyo」「mangetsu no yoru ni hana」など、ファンの間で人気の高い曲も提供。今回KEMURIの結成20周年に合わせ、再結成する。

KEMURI 20th Anniversary Japan Tour "SKA BRAVO"

2015年9月25日(金)大阪府 なんばHatch
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
2015年9月26日(土)愛知県 DIAMOND HALL
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
2015年9月27日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
ベストアルバム「SKA BRAVO」
2015年6月17日発売 / ONECIRCLE

CD+DVD
4536円 / CTCD-20023/B

Amazon.co.jp

CD
2700円 / CTCD-20024

Amazon.co.jp

KEMURI 20th Anniversary Tour 2015「F」

  • 2015年10月4日(日)北海道 Zepp Sapporo ※ゲスト:10-FEET
  • 2015年10月10日(土)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2015年10月11日(日)京都府 KYOTO MUSE ※ソールドアウト
  • 2015年10月16日(金)千葉県 千葉LOOK ※ソールドアウト
  • 2015年10月17日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2015年10月18日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2015年10月22日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2015年10月23日(金)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2015年10月24日(土)千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2015年10月31日(土)長野県 Sound Hall a.C
  • 2015年11月1日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2015年11月3日(火・祝)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年11月7日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2015年11月8日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2015年12月5日(土)宮城県 Rensa ※ゲスト:SHANK
  • 2015年12月6日(日)岩手県 Club Change WAVE
  • 2015年12月12日(土)長崎県 DRUM Be-7
  • 2015年12月13日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2015年12月19日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2015年12月20日(日)香川県 DIME
オリジナルアルバム「F」
2015年7月15日発売 / ONECIRCLE

CD+DVD
4536円 / CTCD-20025/B

Amazon.co.jp

CD
2700円 / CTCD-20026

Amazon.co.jp

KEMURI(ケムリ)

KEMURI1995年結成のスカコアバンド。「P.M.A(Positive Mental Attitude/肯定的精神姿勢)」をバンドの哲学として、活動を展開する。当初からアメリカのレーベルと契約していたため、「アメリカからの逆輸入バンド」として話題となった。ハードコアやパンク、レゲエといった要素を取り入れたサウンドが特徴で、日本のスカコアシーンの代表的存在。2007年12月9日のZepp Tokyoでのライブを最後に解散したが、2012年9月、Hi-STANDARDからの呼びかけに応じ、「AIR JAM 2012」にて約5年ぶりに復活を果たす。2013年1月、南英紀(G / 現 Ken Yokoyama Band)の脱退と初代ギタリスト・田中‘T’幸彦の復帰を発表。その後、ツアーや音源リリースなどを重ね、精力的に活動をする。結成20周年を迎えた2015年6月にベストアルバム「SKA BRAVO」を、7月に11thアルバム「F」をリリースした。