ナタリー PowerPush - 片平里菜

王道J-POP「女の子は泣かない」で新たな地平を切り開く

「女の子は泣かない」は21歳の今、出すべき曲

片平里菜

──さて、満を持して発表される2ndシングル「女の子は泣かない」。以前から弾き語りライブで披露してきた曲ですけど、新たにレコーディングされたものを聴いたら「これは片平里菜にとって勝負曲になるな」と感じました。もともとメロディはすごくポップでキャッチーなものでしたが、そこに素晴らしいアレンジが加わったことでより強力な楽曲になりましたね。

ありがとうございます。この曲は1年前からあるんですけど……デビューシングル「夏の夜」にタイプの異なる曲が4曲入っていて、私のいろんな一面を見せられたと思うので、次はまたそこからガラッと印象を変えようと思って選んだのが「女の子は泣かない」なんです。

──この曲は実体験ではなくて同世代の女の子が今どういうことを考えているかをリサーチして作ったということですが、前作「夏の夜」で自分自身の日常をそのままつづっていたのとはまた違った作り方ですね。

そうですね。「女の子は泣かない」は、いろんな視点で歌詞を書くことができるようになった、きっかけの曲で。私は高校を卒業してからずっと音楽に専念してきたので、社会人や大学生になった同世代の女の子の気持ちはいまいちわからなくて、すごく気になっていたんです。それで自分と同世代の子がどんなこと考えてるのか、何に悩んでるのかっていうことを曲の中で描けたら面白いんじゃないかと思って、友達から聞いた話を自分の中でイメージをふくらませて歌詞にしてみたんです。

──じゃあ友達の話を聞いて、こういう内容の歌詞にしようと思ったんですか?

いえ、まず最初に「女の子は泣かない」っていうテーマがあって、それに友達の体験談を歌詞に加えてみたらすごくしっくりきて。それは1コーラス目の歌詞なんですけど、続けて2コーラス目は自分のイメージをふくらませて作っていきました。そこはなかなか難しかったですけどね。

──片平さんはこの1コーラス目に出てくるような男の子のことは、どう思ってるんですか?

私はよくわかんない……。

──よくわかんない?

なんかその……10代とか20代前半の男の子より、自分のほうが男っぽい気がしてしまっていて。実際そうなのかはわからないですけど。だからもし自分だったらこういう状況になってしまうのか、想像できないです。

──じゃあ、1つの体験談として「あ、ほかの女の子はこう思うんだ」って?

「ああ、そういうこともあるか」みたいな感じで。女の子って恋をしたら盲目になっちゃうし、そういうもんじゃないかなって最近思います。

──「夏の夜」とは違った一面を見せたかったと言いましたが、なぜこの曲を選んだんでしょう?

いろんな曲がある中で、「女の子は泣かない」に関してはたぶん今出すべきなんじゃないかなと思って。例えば私がもうちょっと大人になってから「女の子は泣かない」っていう曲を発表したとしても、もっと大人になっちゃってるじゃないですか(笑)。だから説得力を持って歌えるのは今なのかなって。でも、もっと大人になっても客観的に歌うことはできるとは思うんですけど、リリースするタイミングとしては21歳の今なんじゃないかってずっと考えてたんです。

王道のJ-POPアレンジにしたことで歌詞がより切なく響く

──曲のアレンジは前作に続いて島田昌典さんが手掛けてますが、「これぞ島田節」というカラフルな仕上がりですね。「これ、いいでしょ?」っていうエッセンスが1曲の中にたくさん凝縮されているというか。

片平里菜

そうですね。この曲はデモの段階ではアレンジのイメージがまったくできていなくて、島田さんにアレンジをお願いすることになったときも「こうしてください」とは言ってなかったんです。そこから「アコギをもうちょっと効かせてください」とか「バンドサウンドっぽくしてください」とかいろいろやりとりするうちに、こういう形に仕上がったんですね。正直完成したものを聴いて、自分が作った曲なのに「あ、こういう曲だったんだ」っていう新たな発見がたくさんあって。こんなにキラキラしていてポップな曲になるとは思ってなくて、改めて島田さんってすごいなと実感しました。

──僕もそうでしたけど、弾き語りでこの曲を聴いたことがある人はびっくりすると思いますよ。

私もびっくりしましたし(笑)。どっちかっていうと、この曲は洋楽テイストのアレンジがいいのかなと思ってたんですけど、こうやって王道のJ-POPアレンジにしてもらったことで歌詞もより切なく響くようになったと思います。アレンジに歌詞が生かされてるというか。よりいろんな人の耳に届くチャンスを与えられたんじゃないかなって気がします。

──聴き手を限定しないというか、万人に向けてアピールするタイプのアレンジになったかなという気がします。そこから歌詞にたどり着いたときに、例えば上の世代の人だったら「こういう経験あったな」とか、同年代の人たちは「まさに今、こういうことに直面してる」とか、いろんな刺さり方があるのかなって。

いろんな方から曲の感想をいただくんですけど、歳上の人からは懐かしいと言ってもらえるし、男の子からは「女の子っていうこういうことを思ってるんだ。ハッとさせられる」っていう感想をもらえるし。女の子だったら単純に共感してもらえると思うので、いろんな視点から感じてもらえる曲に成長したんだなったんだなって思いました。

ライブ情報
片平里菜 1stワンマンツアー2014
“女の子は泣け、笑え、叫べ”
  • 2014年1月31日(金)東京都 WWW
  • 2014年2月8日(土)大阪府 knave ※ソールドアウト
  • 2014年2月9日(日)福島県 Live Space C-moon ※ソールドアウト
片平里菜(かたひらりな)

1992年5月12日生まれ、福島出身・在住のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。同年4月には20公演にわたる初の全国弾き語りツアー「片平里菜 飾らない笑顔で 弾き語りツアー2013」も敢行した。5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月7日、ポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。また7~9月には「SUMMER SONIC 2013」「SunSet Live」「JOIN ALIVE」「New Acoustic Camp」「風とロック芋煮会」など、全国各地の大型フェスへの出演も果たした。2014年1月15日には2ndシングル「女の子は泣かない」をリリースし、同月末からは初のワンマンツアー「片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”」を東京、大阪、福島で行う。