ナタリー PowerPush - 鴉

秋田発・激情系3人組がメジャーへ バンドの方向性を占う新作「夢」を語る

今年の春に初の全国流通作品となるミニアルバム「影なる道背に光あればこそ」をリリースした鴉がメジャーデビュー。1stシングルとなる「夢」を8月12日にTOY'S FACTORYからリリースする。

本作のタイトル曲「夢」はテレビ東京系ドラマ「怨み屋本舗 REBOOT」主題歌に起用されたナンバーで、激情ほとばしるボーカルと重厚なサウンドが耳を刺激する鴉らしい1曲。またカップリングには郷愁を感じさせるミディアムナンバーが収録され、鴉の二面性を味わえるシングルとなっている。

秋田を拠点に地道な活動を続け、いよいよメジャー進出を果たす鴉。今回のシングルを機に、彼らはどんな方向に進んでいくのか。ナタリーではこの半年の近況をはじめメジャーデビュー曲「夢」の制作秘話、そしてメンバー3人が考える次の一手について聞いた。

取材・文/中野明子

ツアーを経験して得たバンドの安心感と絆

──8月12日にメジャーデビューシングルがリリースされますね。デビューにあたって感慨みたいなものはありますか?

近野淳一(Vo,G) 実はまだメジャーデビューの実感が沸かなくて。ただ気を引き締めていかねばと思ってるところです。

──ミニアルバム「影なる道背に光あればこそ」から半年が経ちますが、その間にかなり積極的にライブをされていましたよね。なにか収穫はありましたか?

近野 はい。ライブに対する考え方が変わりましたね。

──具体的にはどういうところですか?

近野 今まで以上に人とちゃんと対峙していかなきゃいけないと思うようになって。お客さんの反応を見るようになりましたね。自分たちのパフォーマンスをオーディエンスに投げっぱなしではなくなってきたと思います。

渡邉光彦(Dr) 実際にライブ中に目線を上げて、ちゃんとお客さんを見るようになりました。

鴉

──そのほかにツアーを経験してみて変わったことはありますか?

近野 前に比べて安心感が増えましたね。以前は自分が軸で、ドラムとベースはバランスを保つことに集中してもらおうというところがあったんです。でもどこかでは2人がもっと前に出てくれれば俺はそれに頼って自由にできるんじゃないかとも思っていて。ツアーのおかげで2人が激しい部分も出してくれるようになったので、お客さんに自分の歌や演奏を伝えることに集中できるようになりました。だから前よりも濃い部分が出せていると思います。

──メンバー間の絆も強くなったんでしょうね。

近野 ええ。ツアーをしなければ得られなかったことですね。

メジャーデビューシングル『夢』 / 2009年8月12日発売 / 1000円(税込) / TOY'S FACTORY / TFCC-89282

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CD収録曲
  1. 君がいない空
  2. 残像
(からす)

近野淳一(Vo,G)、一関卓(B)、渡邉光彦(Dr)からなるスリーピースバンド。2001年に近野を中心に秋田で結成。エモーショナルかつ重厚なサウンドと叙情的な歌詞世界で、地元で絶大な支持を集める。2008年頃より関東地区でのライブ活動を開始。2009年1月にTSUTAYA限定シングル「時の面影」を発表、同年2月に「時の面影」がiTunes Store「今週のシングル」に選ばれ各方面で反響を呼ぶ。2009年3月、初の全国流通作品となるミニアルバム「影なる道背に光あればこそ」をリリース。