KANDYTOWN|常に謙虚に、正しく振る舞い、カッコいい音楽を

KANDYTOWNが2ndアルバム「ADVISORY」を10月23日にリリースした。

セルフタイトルを冠した前作から約3年、総勢16人の大所帯グループを取り巻く環境は大きく変わった。大半のメンバーはその後、各自の個性を打ち出したソロアルバムを発表。それぞれがほかのアーティストの作品への客演やライブ出演を積極的に行った結果、クルーの新作はこれまで以上に個々のキャラクターが際立つアルバムに仕上がった。音楽ナタリーでは、アルバム収録曲のトラックを手がけたRyohuとNeetz、全15曲中8曲にラップで参加したGottzにインタビューを行い、最新作の制作秘話を聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太

Neetzのトラックから始まる

──今回のアルバムはいつから作り始めたんですか?

Ryohu

Ryohu 今年の3月くらいからかな。KANDYTOWNの制作はまずNeetzのトラックから始まるんで、Neetzがソロアルバム(2019年2月発売「Figure Chord」)の作業を終えてからスタートした感じですね。

Neetz うん。制作はそっから半年くらい。ソロの直後ではあったけど、秋に東京と大阪でKANDYTOWNのライブをやるってスケジュールも決まってたから、そこに向けて作っていくようなイメージでしたね。モチベーションもかなり高かったです。

──16人のメンバーが同じ意識で制作するのは大変じゃなかったですか?

Ryohu そこは全然平気でしたよ。昔は俺やIOがみんなに声をかけたりすることもあったけど、今回は自然とみんなが意思統一してたと思う。やっぱ昔からの友達だから、誰かがいろいろ言わなくてもお互いの考えが伝わる関係性になってるんですよね。

Neetz 制作もスムーズでしたよ。最初に俺が15曲くらいトラックを作ってみんなに聴かせたんです。俺の中でラップしてもらう人も決めて作ったトラックもあったけど、中には方向性が定まりきらないものもあったんですよ。でもみんなに聴いてもらうと、誰かが答えを持っていて。

Gottz そうそう。KANDYTOWNはいろんなタイプのラッパーがいるから、誰かの感性には引っかかる。そいつがいいヴァースを書くと、曖昧だったトラックが一気に形になる。Ryohuくんも言ってたけど、俺らはトラックありきで作っていくから、最初にラップするやつが重要なんです。俺なんかは「これよりカッコよくラップできるならやってみろよ」ってくらいのテンションで書いてましたね(笑)。もちろん俺もほかのメンバーが先に入れたヴァースに刺激されたし。だから誰かが「みんなアルバム作ろうぜ!」って尻叩くような感じではなかったと思うな。

Holly Qの高いモチベーションにメンバー全員が刺激を受けた

──先行配信曲「Last Week」のミュージックビデオはかなりフレッシュでした。皆さんが着ていたバイカー仕様のVANSONの革ジャンと言えば、1990年代頭の第1次アメカジ世代の人たちが着ていたものなので、2019年にラッパーが着るという発想に驚きました。

Ryohu 俺は参加しなかったけど、MV撮影の写真がみんなから送られてきたときはびっくりしましたね(笑)。

Gottz あれはIOくんのアイデアなんですよ。正直、俺らも最初はどういう画になるかまったく想像がつきませんでした。でもIOくんが言うなら間違いないから。実はMVで着ていたタイプのジャケットはもう市販されてないんです。あとVANSONは新品だと革がめちゃくちゃ固い。だからいい感じになっているものを撮影のために自分たちで探しました。

──MVにも登場していましたが、今作ではHolly Qさんの参加曲が増えましたね。

Ryohu 1stアルバムのときは1曲しか参加してなかったですもんね。やつのモチベーションの高さはマジですごかった。

Gottz Neetzが作ったトラックに対して、いつも最初にリアクションしてたもんね。

Ryohu ラップすることへのハングリー精神がもっとも高かった。

──Holly Qさんはリリックでも自身が俳優(上杉柊平)であることを明かしてましたね。

Gottz やつはずっと俺らの仲間だったけど、今までは俳優の仕事もあって、あまりラップができない状況だったんですよ。でも俳優の仕事との兼ね合いがついて、ようやくラップもしっかりやれるようになって。きっとラップしたいことが本当にたくさんあったんでしょうね。

Ryohu そういうモチベーションは本当に俺らにいい影響を与えてくれたと思います。やっぱりあからさまにやる気があるメンバーがいると俺らも自然とそこに乗っかろうという気持ちになったし、同時に俺らも自分のヤバさを証明してやろうって気になりましたね。