KANDYTOWN|常に謙虚に、正しく振る舞い、カッコいい音楽を

みんなで作るのはとにかく楽しい

──1stアルバム以降、ほとんどのメンバーがソロアルバムをリリースしました。

Ryohu それぞれがソロアルバムを出すということは、1stアルバムを出したあとにみんなで決めてたことなんですよ。KANDYTOWNはみんなのホームだけど、やっぱり16人がいつも全員そろって活動するのは大変だし、それぞれがラッパーとして生きていくうえで1人ひとりがしっかりとソロで動けたほうがいいよねって。だから俺らはKANDYTOWNの活動で得たエネルギーをソロで生かし、さらにソロのエネルギーもKANDYTOWNに返すという。

Gottz

Gottz 俺は2枚のアルバム(「SOUTHPARK」「SAKURAGAOKA」)を作ったけど、ソロアルバムは大変だった。考えなきゃいけないことも多いし、悩むこともたくさんあった。そういう経験をしたからか、みんなと作る今回のKANDYTOWNの制作はとにかく楽しかった。みんながいろいろアイデアを持ってるし。なんかテンション上がっちゃって、気付けば8曲も参加してた(笑)。

Neetz 「Local Area」とかもノリで作った曲だったよね。

Gottz そうそう。Neetzの家で俺とKEIJUが全然別の作品のプリプロをしてたんですよ。そしたら「KANDYTOWNの曲も録ろうか」みたいな話の流れになって。Neetzも「トラックあるよ」と言ってくれたんで、その場でリリックを書いてできた曲なんです。

──制作が難しかった曲はありますか?

Ryohu 「Winelight」じゃない? できあがったのは本当に締め切り間近だったし。この曲は俺がトラックを作ったんですよ。

Gottz でもプリプロの段階では全然イメージが湧かなくて、まったくリリックが書けなかった。

Ryohu そうそう。トラックはけっこう早い段階にできあがっていて、ラップするメンバーも決まっていたんです(Ryohu、Gottz、IO)。でも誰も手を付けないまま時間だけが過ぎ……なので俺がリリックのテーマを決めて、フックも作ることにしました。あとみんながイメージしやすいように、ネットで見つけてきた画像も一緒に送りましたね。「俺はこの画像のイメージでリリックを書いたから」って。そこからは早かったけど、けっこうギリギリだったね。

──Ryohuさんのトラックだと、個人的には「Imperial」が好きでした。地元の話をしているのにものすごく壮大で、そのギャップがすごく面白かったです。

Ryohu 実は最初、この曲はもっと壮大だったんですよ(笑)。イントロに入ってるギターフレーズが前面に出ていて、スタジアムで鳴らすような音像というか。それはそれで気に入ってたんだけど、ちょっと俺らっぽくないと思ってボツにしたんです。でもトラックの冷たい感じは好きだったから、KANDYTOWNらしく作り直してみました。音のイメージとしては、映画で仲間と銀行強盗して、逃げ出す瞬間に流れる感じ。ドラマチックなトラックですよね。

Neetz この曲は本当にやりやすかった。事前にRyohuがフックも作ってたし、「Imperial」というタイトルも決まっていたから。Ryohuにはプロデューサー的な面もすごくあるんですよ。トラックのイメージやテーマをちゃんと共有する能力を持ってる。

ツボイさんのスタジオで録ると音が異常に太くなる

──The Anticipation Illicit TsuboiさんはKANDYTOWNの制作に欠かせない存在になってきましたね。

Ryohu 本当にそうですね。ツボイさんの何が素晴らしいって、とにかくヒップホップに精通してるんですよ。ラッパーはミュージシャンじゃないから、難しい音楽用語も知らないし、何もかも感覚でやってるような部分があって。そういうこっちのあやふやなものをすべて汲み取ってくれて、さらにクリアにしてくれるんです。ラッパーがレコーディングしやすい環境を作ってくれる人という感じ。

Gottz あー、それわかる。俺らには当然1曲ずつそれぞれ違う意図があって、ビートの鳴りやラッパーの声の出し方が違う。例えば「Take It」なんかは粗い音にしたかった。実はプリプロの段階ではもっと粗い音だったんですよ。そしたらツボイさんはボーカルレコーディングのとき、ラフさは残しつつもはっきりと聞き取れるように調整してくれて。それを聴いたときは驚きましたね。「そうそう!」みたいな。いつも俺らがイメージした以上のものを返してくれる。

Neetz ツボイさんはレコーディングしながら、音が太くなるようにコンプをいじってブースに返してくれるんです。たぶん普通のスタジオでは普通の鳴りのエフェクトでも、ツボイさんのとこで聴くと異常にカッコよくなってる(笑)。

Gottz レコーディングしていても「あれ、俺の声ってこんなカッコよかったっけ?」ってなることあるし(笑)。だからこっちもテンションが上がってきちゃう。そういう意味でもやりやすいんですよね。