僕にとって運命は作るもの

──カップリング曲も謎めいていますね。まず「BASTILLE」はバスティーユ牢獄をモチーフにした楽曲ですか？

はい。実際にはバスティーユ牢獄は取り壊されて、現在はオペラ場になっていますけど、近い未来、新たなバスティーユ牢獄ができて、そこを破壊しに行くという物語ですね。実は「La Bastille」だとフランスのバスティーユ牢獄を示すんですけど、近未来の「Bastille」というのは、自分自身の心の殻なんです。それが要塞のように立っているのだとしたら、それをみんなで破壊しようと。もし、1つの国が世界を征服したときに、次に訪れる敵は何かといえば、必ず最後は自分との戦いになると思うんです。それが僕が今後の作品において、題材にしていることなんですね。VersaillesのときにLAREINEの自分とずっと戦っていたと言ったことがあると思うんですけど、ソロになってから、過去の自分との戦いというのは、全然興味がなくなっちゃって（笑）。今は自分が想像する自分に勝とうとしてますね。想像できるようなものは面白くないし、刺激がないじゃないですか。それは聴き手も一緒だと思うんです。

──想像するものが100点の評価を得るものだったとしても、作り手であるKAMIJOさんはそこを超越していきたいということですね。さらに「運命」なる楽曲も収録されますが……これはファンにとっても意味深いですね。

これは「Symphony of The Vampire」との関連はなく、過去の楽曲のセルフカバーになるんです。とはいってもサビだけ使っていて、それ以外はリメイクしているんですね。今までにLAREINEでもVersaillesでも「運命」という楽曲はあったんですが、これはVersaillesの「God Palace -Method of Inheritance-」の第3楽章なんです。当時、あの歌詞を書いたときに誓った気持ちのように、今まさに自分はその道を歩くことができている。そんなことに気付いたときにちょっとうれしくなって、これはもう一度、あの曲を何かしらの形で生まれ変わらせてあげたいなと思ったんですね。運命ってね、信じるものでもなければ、従うものでもなくて、僕にとっては作るものだと思っているんですよ。

──KAMIJOさんの運命は決して平坦な道ではなかったと思いますけどね。

でも、1本道でしたね。

パリで初めてのライブって幸せなこと

──さて、公式では初となるライブが迫っています。まずは7月4日にまずフランス・パリ公演があり、その後7月19日には東京キネマ倶楽部公演が決定していますね。

普通は順序が逆だろって思いますよね（笑）。

──いや、パリで初ライブと知ったときには、KAMIJOさんらしいなと思いましたよ。

ははは（笑）。でも、パリで初めてのライブって幸せなことですよね。ライブっていう空間を、ただライブというものだけで終わらせない。何か持ち帰ってもらえるようなものにしたいなとは常々思っていて。パリの場合、海外ということもあって（ステージセットなど）すべてが日本と同じような表現ができるわけではないんですが、演奏と歌はいつも通りにやれるので、まずそこでソロとしてのKAMIJOのライブをしっかり形にしたいですね。キネマ倶楽部に関しては最初からイメージしていますし、先ほどもお話した「Moulin Rouge」のミュージックビデオを観ていただいて、想像を膨らませて会場に来ていただけたら、その通りの世界観が広がっていると思います。

──それは楽しみですね。

1つ覚えておいていただきたいことがありまして……。“Vive Le Roi（ヴィーヴルホワ）”という言葉なんですよ。フランス語で国王陛下万歳という言葉なんですけど、ルイ16世が亡くなったときに、マリー・アントワネットがルイ17世の前にひざまづいて言ったという、すごく意味のある言葉なんです。ルイ17世の悲しい歴史を輝かしいものにするためにも、みんなでその言葉を叫んで、熱いライブにしたいなと思いますね。

──残念ながらチケットはすでに売り切れていますので、秋に決定したツアーを心待ちにしている人も多いと思いますよ。

そうですね。10月25日のキネマ倶楽部での「HALLOWEEN SPECIAL LIVE 大仮面舞踏会」に始まり、12月13日のAiiA Theatre Tokyo公演まで決まっています。このツアーには「THE DEATH PARADE」というタイトルが付いているんですけど、これは「闇夜のライオン」の歌詞の一部なんです。でも、それだけではないんですね。もう少し経つといろいろと全貌が見えてくると思います。