ナタリー PowerPush - KAMIJO

挑戦たっぷりの2カ月連続シングル全曲解説

全7楽章によるコンセプチュアルなミニアルバム「Symphony Of The Vampire」を今年の春にリリースしたKAMIJOが、次に贈るのは2カ月連続シングル。6月発売の第1弾「Moulin Rouge」はフレンチジャズのテイストが際立つダークなパーティソング、翌月発売の第2弾「闇夜のライオン」はドラマチックな展開のメタルチューンだ。今回はKAMIJOに、2作品に収録されるすべての楽曲について解説してもらった。

取材・文 / 土屋京輔

 
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2カ月連続じゃないと出せないテイスト

──2カ月連続でのシングルリリースに驚いた人も少なくないと思いますが、このスケジュールには何か狙いがあったんですか?

KAMIJO

昨年はシングル「Louis~艶血のラヴィアンローズ~」を出して、その後、「Symphony of The Vampire」まですごく時間が空いてしまいましたが、ライブであったり、リリースだったりというのは止めることなく活動していきたいなというのがまず前提にありました。それもあっての今回の連続リリースなんですが、2カ月連続じゃないと出せないテイストのようなものもありますし。

──その「2カ月連続じゃないと出せないテイスト」とはなんなのでしょう? 当然、「Moulin Rouge」が1つの鍵になるのだと思いますが……。

やっぱり僕の中ですごく特殊な曲なんですよ。こういうハネるリズムで、ブラスが大々的に入る、今までやってこなかったテイストを前面に出すのは、勇気のいることだったんですね。それにこの曲をリリースして、しばらくその後の音源が出ないとすれば、特定のイメージが付いてしまうことも考えられる。でも2カ月連続だったら、そうした制約もなく自分の思い描くすべてをポンポンと出していけるぞって。その意味で言えば、表現者としてもありがたいリリース計画でしたね。

──1つの新たな側面をパッと見せ、またすぐに次の面を見せられるスピーディな展開がよかったと。

スピーディというか畳みかける感じというんですかね。前回、とことん作り込んだ作品を出したことで、今まで開けてこなかった引き出しも含めて、もう自分の中から生まれたものはなんでもKAMIJOなんだと信じられるようになったし、どんどん出せるようになりましたね。もちろん、選び抜いてはいますけど。

──「Symphony of The Vampire」がKAMIJOさんに新たな確信を与えてくれたんですね。

そう。僕に対して、ファンの方々は音楽的に信頼をしてくださってるなとすごく感じたんですよ。だからこそ、「次は刺激が欲しいだろう?」と(笑)。

──ははは(笑)。

ファンの方の信頼に甘えていては、僕は無難になってしまうと思うんですね。僕はホントに無難なことが嫌いなんですよ。いかに刺激的なものを出せるかというのは、長年この音楽シーンでやらせていただいている以上、常に自分のテーマでもあります。

暗すぎる曲をダークなパーティソングに

──「Symphony of The Vampire」は、おそらくファンがKAMIJOというアーティストに対して期待していたものを、明確に打ち出してくれたという受け止め方も多かったんじゃないですかね。

そうですね。Versaillesの頃から応援してくださっている方々から実際にお手紙やメールとかもたくさんいただきましたけど、あの楽曲の中でやってることは、実は、Versaillesではできなかったことばかりなんですよ。ソロでなければできないことができたからこそ、さらに湧いてくるものはありますよね。僕はずっと昔から“究極の期待通り”の作品というものを追い求めてきたんですけど、今回に関しては、音楽人生で初めて、いい意味での裏切りができたなって。それも意図的ではなく、結果的にそうなったというものなんですけどね。

──ただ、今回の「Moulin Rouge」で聴けるフレンチジャズのテイストにしても、まったく違和感なく、KAMIJOの世界だなと思いましたよ(笑)。

メロディって楽曲の中で常にあるわけではないけど、曲調はどの瞬間を切り取ってもその曲調じゃないですか、大きく言ってしまうと。例えば、街中でかかっている音楽を一瞬聴くだけでも、その曲調は耳に入ってきて、人はそれを身体で理解するんです。でもメロディはずっと聴いていないと感動できない。それに半音階を多用した今回の楽曲は、普通の感覚なら単なる暗すぎる曲なんですよ。だけど、このリズムに乗せることでダークなパーティソングにできた。それが今回の自分なりの一番の聴きどころですね。

KAMIJO - Moulin Rouge

──「Moulin Rouge」はどのように生まれてきたんですか?

いつだったかなあ。「Symphony of The Vampire」の第4楽章のサビを作ってたとき、この「Moulin Rouge」のイントロの土台となるものが生まれたんですよ。でも当時は「Symphony of The Vampire」に合わなかったのでとっておいた。その後、ライブのことを考える中で、視覚的にも面白いことがしたくて、じゃあ何か持ってみようかと、とりあえず杖を買ってみたんですよ。ミュージックビデオでも使っている金と銀の杖ですが、それを家で回しながら鼻歌を歌ってたら、「いいな」と思ったものが浮かんできたんです。でも、「ちょっと待てよ。これはあの曲じゃないか」と。眠らせていた曲を呼び戻した感じですね。

──歌詞においてムーランルージュを題材に選んだのはどういう理由だったんですか?

これはキネマ倶楽部(7月19日に行われる1stワンマンライブの会場で、かつてはグランドキャバレーだった)ありきですね。

──なるほど。やはりつながりがあったんですね。

はい。キネマ倶楽部でライブをやることになってなかったら、きっと「Moulin Rouge」じゃなかったですね。それもあって、ミュージックビデオもあそこで撮影したんですよ。秘密のパーティが行われている、なかなか入ることができないアジト。そんな秘密の花園のようなイメージですね。それと、途中で「ドク! ドク!」って叫んでいるところは、あえて歌詞カードに載せていないんですよ。それには理由があって、「ドクドク」とも言っているし、「ダーク」とも言っているし、「毒」とも「独」とも捉えられる。ライブでは好きに叫びまくってもらいたいなと。

──ライブパフォーマンスも想定しているんですね。この曲の主人公は「Symphony of The Vampire」に登場していたヴァンパイアなわけですが、物語としての関係性も気になります。

はい。僕の中では、どの年代にどういう出来事があってという明確なものがあるんですけど、そこはあえて触れないでおこうかなと思ってるんです。いろいろと想像してもらいながら、まずはこの曲単体として楽しんでもらえたらと思ってますね。

──なるほど。物語についてまずはリスナーに委ねると。

今作は僕の中で完結させるのではなく、聴いてくれた方にいろいろなストーリーを組み立ててもらえたらと思ってるんです。

ニューシングル「Moulin Rouge」 / 2014年6月18日発売 / ワーナーミュージック・ジャパン
初回限定盤A [CD+DVD] / 1944円 / WPZL-30864~5
初回限定盤B [CD+DVD] / 1944円 / WPZL-30866~7
通常盤 [CD] / 1296円 / WPCL-11862
初回限定盤A,B CD収録曲
  1. Moulin Rouge
  2. Trésor
通常盤CD収録曲
  1. Moulin Rouge
  2. Trésor
  3. 追憶のモナムール
  4. Moulin Rouge(instrumental)
  5. Trésor(instrumental)
  6. 追憶のモナムール(instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
  • 「Moulin Rouge」ミュージック・ビデオ
  • 「Trésor」ミュージック・ビデオ
初回限定盤B DVD収録内容
  • スペシャルインタビュー+ジャケット撮影風景+ミュージック・ビデオのメイキング映像+スペシャルメッセージ映像などを収録
ニューシングル「闇夜のライオン」 / 2014年7月16日発売 / ワーナーミュージック・ジャパン
初回限定盤A [CD+DVD] / 1944円 / WPZL-30890~1
初回限定盤B [CD+DVD] / 1944円 / WPZL-30892~3
通常盤 [CD] / 1296円 / WPCL-11938
初回限定盤A,B CD収録曲
  1. 闇夜のライオン
  2. BASTILLE
通常盤CD収録曲
  1. 闇夜のライオン
  2. BASTILLE
  3. 運命(Versaillesのセルフカバー)
  4. 闇夜のライオン(instrumental)
  5. BASTILLE(instrumental)
  6. 運命(Versaillesのセルフカバー)(instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
  • シングル曲「Moulin Rouge」ミュージック・ビデオ+トレイラー映像集(「Symphony of The Vampire」3種類、「Moulin Rouge」2種類、「闇夜のライオン」)
初回限定盤B DVD収録内容
  • KAMIJOオフ・ショット映像+スペシャルインタビュー+ミュージック・ビデオのメイキング映像などを収録
KAMIJOシングル「闇夜のライオン」発売記念アコースティック・ライブ&バースデーイベント
2014年7月20日(日)東京都 タワーレコード新宿店7F イベントスペース
START 18:00
KAMIJO(カミジョウ)

1999年、ヴィジュアル系ロックバンドLAREINEのボーカリストとしてSME Recordsよりデビュー。その後2007年春にVersaillesを結成し、2009年にワーナーミュージック・ジャパンよりデビューした。Versaillesはデビュー作となるシングル「ASCENDEADMASTER」でオリコン週間ランキング8位を記録し、2012年12月にファンに惜しまれつつ活動休止。KAMIJOは在籍したバンドでほぼすべての作詞と大半の作曲を手がけており、劇伴制作でも才能を発揮している。2013年8月にシングル「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」で満を持してソロデビュー。2014年3月にはワーナーミュージック・ジャパンからソロメジャーデビュー作品「Symphony Of The Vampire」をリリースし、6月、7月に2カ月連続でシングルを発表する。