2016年5月にスタートしたKダブシャインと花王株式会社によるコラボ動画シリーズ「家事ラップ」の最新作「家事ラップリターンズ『大掃除裏ワザ篇』」がYouTubeで公開された。2018年2月に発表された「家事ラップ最終章~FINAL MISSION~」から約2年。音楽ナタリーではシリーズの振り返りと共に、最新作に向けたKダブシャインへのインタビューをお届けする。
文・構成 / 丸澤嘉明
家事ラップとは
「家事をもっと盛り上げよう!」をテーマに始まった花王とKダブシャインによるコラボレーション動画シリーズ。「家事をラップに乗せることで、楽しんで洗濯や掃除をするきっかけにしてもらいたい」という花王の思いにKダブシャインが賛同し、2016年5月に第1弾となる「洗たく篇」がYouTubeで公開された。家事行動をクールなリリックで表現したこのコラボは大きな話題に。その後「そうじ篇」「大掃除篇」「アイロン篇」「洗たく篇 極」「漂白剤篇」が次々に発表され、2018年2月に「家事ラップ 最終章」がリリースされた。「最終章」が公開されたあとも、COMA-CHIやChiyocoが家事ラップのアンサーソングを発表するなど、広がりを見せている。
家事ラップ リターンズ「大掃除裏ワザ篇」
かつてKGDRでは「公開処刑 feat.BOY-KEN」でセルアウトを痛烈に批判したKダブシャインだが、「家事ラップ」シリーズの動画を観た視聴者からは「セルアウトでは」という声も。そして、そのことに対しケーダブは「完全にセルアウトだと思いますよ」と断言している。「大掃除裏ワザ篇」ではそんな状況を逆手に取るかのように、汚れ大魔王の「何マヌケヅラでまーじっくりだ 笑っちまうぜ、魔女のコスプレ」というビーフがある。これはシリーズ第2弾の動画でケーダブが扮した「お掃除魔法使い・コッタさん」を揶揄したもので、ケーダブは「そんなお前も今日で終わりだ オレの裏ワザ受けて弱りな」「繁殖、腐敗もうここで止まりだ この場で排水溝の藻屑となりな」と反撃している。このケーダブと汚れ大魔王のラップの応酬が最新作のポイントだ。
ケーダブは企業のラップCMについて「韻を踏んでいるライムがないとラップと呼んでいいのかな? 作文みたいな文章をただラップのリズムに乗せているだけのものも多いので」と語っていたことがある。「大掃除裏ワザ篇」では強力カビハイター、トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー、キッチン泡ハイター、クイックルワイパー 立体吸着ウエットシートを駆使して、風呂やトイレ、台所、サッシの汚れを撃退するという花王のリクエストにライムでしっかりと回答。そのうえで自身のセルアウトに対する雑音も一蹴して、日本語ラップのオリジネーターの1人としての格の違いを見せつけている。
動画内で紹介された裏ワザの詳細な工程は、花王の特設サイト「年末大そうじ『そうじは、ありがとうだ!』」でチェックを。
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Kダブシャイン インタビュー