深まる「才僕」の謎
──歌詞はスムーズに書き進められましたか?
haderu 前半の3曲はスムーズでしたけど、後半の3曲はedieeがデモの段階で作った歌詞を引き継いで書いたので、なかなか苦労しました(笑)。
──「PARIPO」と「才僕」の歌詞は、haderuさんとedieeさんの共作クレジットになっていますね。
ediee 僕はちょっと面白い声をしているんで、ラララで歌ったデモだとちゃんと伝わらないんじゃないかなと思いまして。
haderu 声が面白かったら歌詞を乗せたとしても、結局面白くなるんだけどね(笑)。
ediee まあそうなんですけど(笑)、イメージがより伝わりやすいよう、仮の歌詞を渡しているんです。
haderu その段階でedieeの頭の中では世界観がバッチリできあがってるんですよ。でも、その意味合いを聞いてしまうと面白くないので、僕は彼の書いた文字だけを見て、残りの部分を書き継いでいったんです。あとで答え合わせをしてみると間違ったバトンの受け取り方をしちゃったところもあるし(笑)、ちゃんとシンクロしてるところもありましたね。「才僕」なんかはデモの段階からこのタイトルが付いてて。
──あ、そうなんですか。“才僕”という言葉を調べましたけど、意味がわからなくて。
haderu ですよね。だから僕は才僕=サイボーグだと解釈して歌詞を書いたんです。世の中だんだん人間味がなくなっている、みたいな。でもまったく違ったみたいで(笑)。
──edieeさんの中ではどんなイメージだったんですか?
ediee 人間はみんなそれぞれ、いろいろな才能を持っているじゃないですか。で、脳みその中にはその才能を生かすためにいろんな人たちがいて、常に会議したり戦ったりしてると僕は思ったんです。のどぼとけとか、こめかみで戦ってるんじゃないかって。
hideki 実際、説明を聞いてもまったくわからないですよね(笑)。
haderu 才能と向き合うための、自分の分身が頭の中にはたくさんいるってことでしょ? それが“才僕”ってことなんでしょ?
ediee そうです。で、その分身が……結局サイボーグなんじゃないかと。
全員 あははははは(笑)。
──haderuさんのイメージに一気に寄せましたね(笑)
haderu 結局サイボーグに落とし込むのはズルい手法でしょ(笑)。この曲はedieeワールドが炸裂してますけど、なんとなく僕のイメージと合わせて帳尻はあった気はしますね。聴き手ごとにいろんな受け取り方をしてもらってもいいと思いますし。
手持無沙汰だったhidekiが全裸で活躍
──「才僕」は本作のリード楽曲になっているんですよね。
haderu はい。「明るくて、ライブで盛り上がる」という今の僕たちが求めている世界観が込められているので。あとはjealkbとして新しい側面を打ち出している曲でもあるから、世の中の人がこの曲をどう受け取ってくれるのか試したかったんですよね。
sapoto この曲のギターはわりとぶっ飛んだ演奏をやらせていただいたと言うか、やらされたと言うか(笑)。ワーミーを使って2オクターブ上を弾いたり、サビではめちゃくちゃ速弾きしたりしてますね。あと、シンセとの共存がけっこう苦労したところではあって。打ち込みのデモを生音に差し替えるとキラキラ感がなくなってしまって。
elsa そこはかなり悩んだよね。生音になるといい音になりすぎて、デモのよさが消えちゃうんですよ。その落としどころはなかなか難しかったけど、勉強にはなりました。次回edieeの曲をレコーディングするときは全部打ち込みでもやってみたいな……っていう新しいビジョンも見えました。
dunch 結果的にとにかく楽しい気持ちで弾ける、いい曲になりました。ライブでやるのが楽しみですね。
──楽曲の楽しさをビジュアルでも表現したミュージックビデオもいい仕上がりです。
hideki 僕はかなり踊ってますね。
haderu hidekiは楽器を持ってないから、MV撮影のときは案外手持ち無沙汰なんですよ。だから今まで発表されたMVでは出番も少なかった。でも今回はバンド陣とは別ラインとしてhidekiがストーリーを表現してくれていて。「この手があったか!」って思いましたね。
hideki 今回は相当出番がありましたから。撮影時間も僕だけかなり長くて。ほぼほぼ裸だったんですけど。
elsa 待機中はガウンを着てね。AV男優みたいに(笑)。
hideki 撮影しながら完成形がなんとなく見えていたので、楽しみながらがんばって臨めました。仕上がりも満足のいくものになったので、たくさんの人に観てほしいですね。
これが「バンドの方向性の違い」か
──昨年メジャーデビュー10周年を迎えたjealkbは本作でまた大きく進化した印象があります。まだまだ可能性が広がっていきそうだなと。
sapoto ホントにそうだと思います。今回は初めてメンバー全員がミックス作業にも立ち会ったんですよ。それがデカかったなって思うんですよね。最後の最後まで細かいところまでこだわり抜いて、アレンジし直した曲もありましたから。そこでも僕はだいぶ搾られて(笑)。
haderu どの曲も紆余曲折を経ていますからね。「ギターの音をもうちょっと下げてください」とか「ピコピコ音を上げてください」とか、みんなで意見を出し合うことはバンドとして必要なことなんだなってすごく思いました。
hideki それぞれ言いたいことを遠慮せず、全部吐き出しましたからね。
elsa 当然意見のズレが生じて、不穏な空気になることもあったし。
haderu よくあるじゃないですか、バンドが方向性の違いで解散する、みたいな。その気持ちがわかった。「なるほど、こういうことか」と(笑)。でもうちらは最終的にしっかりまとまったのでよかったです。
ediee いろんな意見が飛び交って、それが1つにまとまっていくところは、客観的に見るとドキュメンタリーみたいで。ワクワクする時間でもありました。
dunch みんなの意見を元にいろんなことを試してみても、結局最初に戻ることがけっこうあったんですよ。でも、一度やってみて納得したうえでの結果なので、それはバンドとして大きな自信につながったと思うんです。なんとなくでやってない、その感じが今のjealkbとしてすごく大事なんだなって改めて思いました。
──本作リリース後、9月24日にはjealkb主催イベント「オトタノ2018」が昨年に引き続き開催され、10月からは全6カ所を巡るツアー「Mix Up Disco」もスタートします。
haderu 「オトタノ」は「音楽の楽しみ方はいろいろあるんだよ」ってことを打ち出したイベントなので、通常のフェスでは絶対に観られないラインナップになってます。メンツを見ただけで絶対楽しそうだなって思えるはずなので、ぜひ遊びに来てほしいですね。イベント自体の規模をどんどん大きくしたい野望もあるから、今年も絶対成功させますよ。
hideki ツアーに関してはもうめちゃめちゃ楽しみでしかないですね。もちろん修行する場でもあると思うので、よりよいパフォーマンスができるようにバンドを磨き上げて、来年からの活動にしっかりつなげていきたいです!
- jealkb「Mix Up Sonic」
- 2018年9月5日発売 / よしもとクリエイティブ・エージェンシー
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Type-A [CD+DVD]
2300円 / YRCN-95297 -
Type-B [CD]
1800円 / YRCN95298
- CD収録曲
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- 煽情
- フルゴリラ
- ジガサガ
- PARIPO
- gosh!
- 才僕
- Type-A付属DVD収録内容
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- 才僕 MUSIC VIDEO
- 才僕 MUSIC VIDEOメイキング映像
イベント情報
- オトタノ2018
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- 2018年9月24日(月・振休) 東京都 TSUTAYA O-EAST出演者 jealkb / キュウソネコカミ / オメでたい頭でなにより / 仮面女子 / STARMARIE / 高橋洋子 / NoGoD / はるな愛 / BOYS AND MEN(誠) / まちゃあき(エグスプロージョン) / 水木一郎 / LIFriends / m.c.A・T / アイロンヘッド / クマムシ / けんじる / ジョイマン / 庄司智春(品川庄司) / ですよ。 / どぶろっく / 永野 / なかやまきんに君 / にゃんこスター / はんにゃ / ミスター人間(ペナルティ・ワッキー) / レイザーラモンRG / and more
- jealkb LIVE TOUR 2018「Mix Up Disco」
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- 2018年10月12日(金) 埼玉県 西川口Hearts
- 2018年10月25日(木) 大阪府 心斎橋VARON
- 2018年10月26日(金) 愛知県 RAD HALL
- 2018年11月2日(金) 神奈川県 横浜BAYSIS
- 2018年11月23日(金・祝) 千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2018年12月4日(火) 東京都 マイナビBLITZ赤坂
- jealkb(ジュアルケービー)
- 吉本興業に所属する芸人たちによって2005年に結成されたヴィジュアル系ロックバンド。現在はhaderu(田村淳 / ロンドンブーツ1号2号)、elsa(衛藤幸生 / ex. チープスープ)、dunch(桑折貴之 / ex. じゃぴょん)、ediee(大川知英 / ニブンノゴ!)、hideki(森本英樹 / ニブンノゴ!)、sapotoの6人で活動を行っており、メンバーと親交のある人たちで構成されたサブメンバーも数多く存在する。2007年10月にシングル「誓い」でメジャーデビューし、翌2008年の11月には1stアルバム「狼煙 -NOROSHI-」を発表。2016年11月にシングル「reboot」発売を機に自主レーベルjealizeを設立した。2017年7月には6枚目のアルバム「IDENTITY」、11月にメジャー10枚目のシングル「R-P-S」をリリース。2018年9月5日にはミニアルバム「Mix Up Sonic」を発表する。