音楽ナタリー Power Push - J
先へつながる20周年ベスト盤
ソロとLUNA SEA
──ボーカリスト、フロントマンとしての意識もこの20年で変わってきましたか?
“ソロをやる=フロントマンとしてステージに立つ”という意識は最初からありました。ただ、それまではずっとLUNA SEAのベーシストとしてステージにいたわけじゃない? 位置で言うと真ん中より下手側だから、音の聴こえ方が全然違うんですよ。LUNA SEAでは自分の左側にドラムがいて、ギター(SUGIZO、INORAN)の音が両サイドから聴こえてくる感じなんだけど、ソロのときは真後ろにドラムがあって、左右から同じレベルで聴こえてくるから。リズムの取り方も変わってくるし、最初は慣れるまでに少し時間がかかったかな。当然だけど“自分の曲を自分でプレイする”というのも大きな違いだよね。表現者として真ん中に立つわけだから、ちゃんと説得力を持ってないといけないし、それにふさわしい熱を放出しないといけないなって。過剰に何かをやるわけではないけど、アジテイターとして必要だからね。それはすごくやりがいを感じてます。
──ソロ活動を続けることで、LUNA SEAに対するスタンスに影響はありますか?
ソロをやることで見えてきたことはたくさんあるけど、LUNA SEAではあえて“5分の1”でいようと思ってるんだよね。自分の存在をシュリンクさせるということではなくて、1人の人間としては太くなっていると思うから、だからあえてその“5分の1”でいることが一番いいんじゃないかなって。他のメンバーにもそんなカタチを要求するしね。
──バンドに対する美学なんでしょうね、それも。ソロ活動でのバンドメンバーに対しても、同じことを求めてるんですか? 1人の人間として存在しているメンバーがぶつかり合うことで、バンド特有のサウンドが生まれるというか……。
そうかもしれないですね。バンドマジックみたいなものを何度も経験しているせいかもしれないけど、ただうまく演奏するだけではなくて、何度も何度もプレイして、ぶつかり合うことで、その先にあるグルーヴをつかみたいので。それを欲している自分がいるし、それこそがバンドだと思ってるから。今のメンバー(masasucks[G / the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS]、溝口和紀[G / ex. ヌンチャク]、有松益男[Dr / BACK DROP BOMB])は僕よりも下の世代だけど、彼らが走ってきたシーンも刺激的だし、すごいプレイヤーたちだからね。自分が身体で経験してきたことも伝えたいし、彼らから学ぶことも多くて。いい状態だと思いますね。
20周年を背負いながらも“先”を表現できるツアーに
──この20年、国内外を含めてロックシーンは大きく変貌してますよね。ロックという音楽自体も多様化していますが、そういう新しい表現から影響を受けることもありますか?
うん、なくはないと思いますよ。皆さんも感じてると思うんだけど、同じ8ビートであっても、20年前と現在では絶対に違うはずなんです。流行とはまた違う話なんですけど、世界がいつも変化しているのと同じように、ビートの表情や雰囲気も変わり続けているので。それは自然なことだし、俺自身もそれを感じながらプレイしたいと常に思ってますね。トレンドみたいなことに関して言えば、どんなに環境が変わっても“カッコいいものはいつもカッコいい”という答えは出ていると思うんです。本物の音楽、本物の熱が注ぎ込まれている曲は絶対に残っていくし、時代が進むにつれて、カッコいいものが増えていくだけというか。そういう意味ではこの前のGuns N' Rosesのライブもすごくよかったからね。表面的には変わってるかもしれないけど、音は昔と変わらないというか、むしろもっと強くなっていて。ROCKってまさに時間を超越する音楽だと思うし、強く望みさえすれば、自分もそれを手にすることができるんじゃないかって。そういう気持ちを改めて持たせてくれたライブでしたね。
──Jさんの音楽もさらに続いていくわけですが、この先のビジョンも描いていますか?
そうですね。ベストアルバムを出したあとは20周年のツアーを控えていて。この20年間を背負いながら、今までで一番はっちゃけるツアーにしたいんですよ。その中で自分だからこそ見せられる“先”を表現できたらいいなと思っていて。ただし今は未来のことにフォーカスを当てるよりも、まずは次のライブに向けて集中することを大事しています。
──期待しています。最後に改めて聞きたいのですが、ロックに対する衝動を持続できるのは、どうしてだと思いますか?
性格かな?(笑) まず、カッコいいと感じるものが変わらないんですよ。曲を作ってるときもそう。何度も何度もトライして「これだよね」と思える曲ができて、その熱に触れたときは、ロックを始めた当時の気持ちがよみがえってくるんですよ。逆に言うと、そういう曲を作ることでしか、自分を前に動かすことはできないんだろうね。ただ、それも自分が求め続ければ手に入れることができると思っているので。そうやって自分にとっての刺激をコレクトしてるんでしょうね、今も。
ライブ情報
J 20th Anniversary Tour
- 2017年5月5日(金・祝)大阪府 BIGCAT
- 2017年5月13日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
- 2017年5月14日(日)千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2017年5月21日(日)北海道 cube garden
- 2017年6月3日(土)香川県 DIME
- 2017年6月4日(日)岡山県 IMAGE
- 2017年6月10日(土)石川県 Kanazawa AZ
- 2017年6月11日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2017年6月17日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2017年6月18日(日)広島県 CAVE-BE
- 2017年6月24日(土)宮城県 Rensa
- 2017年6月25日(日)東京都 EX THEATER ROPPONGI
F.C.Pyro.NIGHT vo.14(※ファンクラブ会員限定公演)
- 2017年5月4日(木・祝)大阪府 umeda AKASO
- 2017年5月7日(日)東京都 LIQUIDROOM
- ベストアルバム「20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017>[W.U.M.F.]」 2017年3月22日発売 / ONECIRCLE
- 初回限定盤
- Blu-ray [2CD+Blu-ray+BAND SCORE+PHOTO BOOK] 12960円 / CTZD-20056~7/B
- DVD [2CD+DVD+BAND SCORE+PHOTO BOOK] 12960円 / CTZD-20054~5/B
- 通常盤
- 2CD+Blu-ray 6480円 / CTCD-20060~1/B
- 2CD+DVD 6480円 / CTCD-20058~9/B
- 2CD 4104円 / CTCD-20062~3
DISC 1(CD)
- BURN OUT(2011 Mix Version)
- PYROMANIA(2011 Mix Version)
- Die for you(2011 Mix Version)
- Feel Your Blaze(2011 Mix Version)
- Sixteen(2017 New Vocal Version)
- GO with the Devil(2017 New Vocal Version)
- break
- Evoke the world(2017 New Vocal Version)
- Go Charge
- RECKLESS
- addiction
- Vida Rosa
- here we go
- If you can see me
- NEVER END
- one reason
DISC 2(CD)
- ACROSS THE NIGHT(2017 Re-Recording Version)
- Heaven(2017 New Vocal Version)
- Graceful days(2017 New Vocal Version)
- Tomorrow(2017 New Vocal Version)
- NOWHERE(2011 Mix Version)
- When You Sleep
- Blank
- Mirage #9
- walk along -Infinite mix-
- ray of light
- white
- baby baby
- Endless sky
- Everything
- I know
J(ジェイ)
1992年、LUNA SEAのベーシストとしてアルバム「IMAGE」でメジャーデビュー。1997年のバンド活動休止期間にシングル「BURN OUT」でソロデビューを果たす。2000年12月のバンド終幕以降、本格的なソロ活動を開始。LUNA SEA時代からソングライターとして知られる彼ならではの、パワフルでパンキッシュなロックサウンドが高い支持を得る。2003年にはソロとしては初となる東京・日本武道館でのライブを実施。また楽器メーカーESPから発売されているJオリジナルモデルのベース販売数は累計で5万本に達し、世界でもっとも売れているアーティストモデルのベースとなっている。2008年にLUNA SEAが“REBOOT”(再結成)して以降は、ソロと並行して音楽活動を展開。2015年9月に通算10枚目のオリジナルフルアルバム「eternal flames」をリリースしたのちに全国ツアーを開催した。2016年3月、「eternal flames」のレコ発ツアーのライブ映像とレコーディングドキュメンタリーを収めた映像作品「CRAZY CRAZY V -The eternal flames-」を発表。2017年3月に、ソロデビュー20周年を記念してベストアルバム「20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017>[W.U.M.F.]」をリリースする。