音楽ナタリー Power Push - J
ロッカーであり続ける男の原動力
カッコよくなる方法
──アーティストに限らず、どうやったらカッコよくなれると思いますか。
理屈じゃなくワクワクできることをがむしゃらに追い求めていくことが大切だと思うな。人としていつも燃え上がってるっていうかさ、ずっとワクワクできる人間であり続けたいよね。そうするにはたくさん燃料を自分の中に投入して、自分の情熱を燃やし続けていく必要があるし。そんな存在は誰が見てもカッコいいよね。
──なるほど。そういった思いは「eternal flames」にも反映されていますよね。「I know」のようなミディアムチューンが新たな燃料になって、Jさんのライブに新しい風が吹いたと思います。
節目の作品だからこそ、Jっていうヤツがやってきた音に対する扉をできる限り広く開けたかったんだよね。例えばミディアムでもスローでも、今までやり続けてきたアップテンポの曲と同じくらいのパワーを持つ曲ができなきゃカッコ悪いと思って。もちろん「速い!」とか「激しい!」って曲はカッコいいよ。でもそういう要素を取っ払ったときにもカッコいい音が鳴らせるかは大切な要素だったんだ。
──カッコいい音っていうのは具体的にはどういうものでしょう?
例えば、誰だってディストーションを踏めば歪んだヘビーな音は出せる。そんな機材任せの勝負なら、一番高くていい機材持ってるヤツが勝ちってことじゃん? でも追い求めてるカッコいい音はそういうものではないんだよ。自分の心の中で鳴ってる音をどれだけうまくアウトプットして、曲を演奏したときにロックできるか。だから今回のアルバムで「ミディアムテンポの曲でロックする」っていうのはある意味、自分自身に対しての挑戦でもあったけど、負ける気はしなかった。だから「eternal flames」は次のステップに進むための作品になったかな。
──アルバムのレコ発ツアーでのファンの反応はいかがでしたか?
自分が思い描いていた以上にステージから見える景色はすごかったなあ。自然に会場中がロックしてたっていう感じはアルバムの曲をプレイしたときに感じたし、なんか新しい扉を開くことができたという実感はあるかな。
カッコいい音に目がない
──Jさんは去年が「SUMMER SONIC」初出演だったというのが意外でした。
そうだね。普段は夏にツアーをやっていることが多かったから。ちょうど去年はThe Prodigyも出演してて、仲間のギターのロブとかとバックステージで一緒に遊んでたり、楽しかったよ。
──東京公演では9mm Parabellum Bullet、Jさん、ROTTENGRAFFTYという出演順で「LUNATIC FEST.」を彷彿とさせるラインナップが続きましたし、大阪公演ではROTTENGRAFFTYのメンバーがJさんのステージに飛び入り参加したそうで。
そうそう。ライブ直前に言ってきてくれたから本当のサプライズになったね。ああいう場じゃないとできないことをやってくれたのはうれしかったな。
──ちなみに後輩バンドとはどのように知り合うんですか?
純粋にカッコいい音には目がないからさ、いつも自分で探してるんだ。ロットンも9mmもそんな中で出会ったバンドなんだよね。
──ライブにも積極的に足を運んでるんですか?
行きたいとは思ってるんだけど、あんまりね。行くとみんなに気を遣わしちゃうからさ(笑)。だから観に行くとしても誰にも気付かれないように観て帰るようにしてるよ。
──SUGIZOさんはけっこういろんなライブハウスに足を運んでる印象があります。
そうなんだ? 迷惑かけてないかな?
──いやいや(笑)。お見かけすると周りがワーッてざわついてますね。
俺とはタイプが違うんだよ、彼は(笑)。
──Jさんは周りのバンドマンをどういう気持ちで見ていますか?
同じ時代、同じ場所で戦っている仲間だと思ってるよ。バンドやアーティストによって、スタンスがそれぞれ違うから、当然1つとして同じバンドはないんだけど、カッコいいヤツらが人の心を撃ち抜く熱量は先輩後輩とか、売れてる売れてないとか関係ないんだ。もし1つひとつの行動に情熱を注いだら、そのすべてが可能性に変わっていろんなことが起きるはずだよね。
──以前Jさんが西川貴教(T.M.Revolution)さんとニコニコ生放送「西川貴教のイエノミ!!」で対談した際、西川さんが「最近のバンドは打ち上げをあんまりやらないからもっとやったほうがいい」というお話をされてました。Jさんは積極的に参加されるんですか?
俺はもう酒を飲まないから最近はあんまり出ないけど、昔は打ち上げがないライブなんてなかったね。そこで仲よくなったり、当然のようにケンカをしたりとか、ドラマはたくさん起きたよ。俺はアイツが関西から東京に出てきて、がんばってた時期も知っててさ。だから当時テレビに出るようになった時は、余計にうれしかったね。ここ数年じゃフェスも成功させてるし、歌わせたらもちろんうまいし、純粋にすごいヤツだって思うよ。
音楽シーンの幹が太くなる
──5月には「eternal flames」レコ発ツアーの追加公演が開催されます。「CRAZY CRAZY V」ですでに今回のツアーの模様は映像化されていますが、改めて意気込みを聞かせてください。
最新アルバムを出してから、2回に分けてツアーをやらせてもらって、今回のツアーほど熱を帯びたツアーって今までなかった気がするんだよね。そのツアーの集大成になるような、最高なライブをやりたいなと思ってます。今の自分自身のすべてを見せたいな。
──さらに8月に開催されるJさんのバースデーライブでは、初日にDOOMが参加しますね。
1997年からずっと俺のソロバンドでギターを弾いててくれた藤田(高志)さん(参照:Jバンドを支え続けたギタリスト藤田高志が勇退)がもともとやっていたDOOMが2014年に復活して、うちのバンドにはmasasucks(G / the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS)が戻ってきて。このタイミングで対バンという形で競演できたら最高だと思ってオファーさせてもらったんだよね。唯一無二のスタイルを誇っているバンドだから、みんなに観に来てほしいな。
──DOOMはスラッシュメタルバンドの重鎮で、JさんやLUNA SEAのファン層が聴く音楽とは違うイメージがあります。
俺はジャンルを問わず、本当にカッコいいものを広く伝えることが1つの使命でもあると思っていてね。リスナーが知らないとんでもない人たちや、すごくカッコいい音を鳴らすバンドがまだまだこの世の中にはいっぱいいるから。そういう音楽を俺やLUNA SEAを通じて感じてもらえたり、観てもらえたりするだけでも何かが始まると思うんだよね。
──JさんのイベントでDOOMを知らない人が観たら、衝撃を受けるでしょうね。
DOOMに関しては俺が特に観たくて(笑)。DOOMの復活ライブが2015年の1月に(神奈川・)CLUB CITTA'であってさ、AA=の(上田)剛士くんも来てたな。ライブ後はバックステージでみんなといろいろ話したよ。
──DOOMのみならず往年のバンドが近年になって復活していることはファンにとっても、Jさんにとってもうれしいことですよね。
昔みたいに頻繁にライブをやるとかじゃなくてもいいからさ、先輩バンドたちには存在し続けてほしいですね。そうすることで日本の音楽シーンの幹が太くなる気がするから。
次のページ » Jがロッカーであり続ける理由
- ライブ&ドキュメンタリーBlu-ray / DVD「CRAZY CRAZY V -The eternal flames-」/ 2016年3月16日発売 / ONECIRCLE
- 「CRAZY CRAZY V -The eternal flames-」Blu-ray Disc / 8424円 / CTBR-14905~6
- 「CRAZY CRAZY V -The eternal flames-」DVD2枚組 / 8424円 / CTXR-14907
収録内容
- Opening
- Go Charge
- Verity
- Document 1
- PYROMANIA
- Document 2
- Rollin'
- I know
- Document 3
- Sixteen
- go crazy
- Document 4 -Immortal galaxy-
- Jayne
- wall
- Document 5
- GO with the Devil
- Document 6
- BUT YOU SAID I'M USELESS
- Document 7
- never gonna die
- addiction
- break
- Document 8
- Believer
- NOWHERE
- Feel Your Blaze
- Ending
<MUSIC VIDEO>
- I know
- J LIVE TOUR 2015~2016 -TOUR the eternal flames FINAL-
- 2016年5月5日(木・祝)大阪府 BIGCAT
- 2016年5月7日(土)東京都 EX THEATER ROPPONGI
- J Birthday LIVE 2016 -Special 2 Nights-
- 2016年8月11日(木・祝)東京都 赤坂BLITZ
<出演者>
J / DOOM - 2016年8月12日(金)東京都 赤坂BLITZ(※ファンクラブ「F.C.Pyro.」限定)
<出演者>
J
J(ジェイ)
1992年、LUNA SEAのベーシストとしてアルバム「IMAGE」でメジャーデビュー。1997年のバンド活動休止期間にシングル「BURN OUT」でソロデビューを果たす。2000年12月のバンド終幕以降、本格的なソロ活動を開始。LUNA SEA時代からソングライターとして知られる彼ならではの、パワフルでパンキッシュなロックサウンドが高い支持を得る。2003年にはソロとしては初となる東京・日本武道館でのライブを敢行。また楽器メーカーESPから発売されているJオリジナルモデルのベース販売数は累計で5万本に達し、世界でもっとも売れているアーティストモデルのベースとなっている。2008年にLUNA SEAが“REBOOT”(再結成)して以降は、ソロと並行して音楽活動を展開。2015年9月に通算10枚目のオリジナルフルアルバム「eternal flames」をリリースしたのちに全国ツアーを開催した。2016年3月、「eternal flames」のレコ発ツアーのライブ映像とレコーディングドキュメンタリーを収めた映像作品「CRAZY CRAZY V -The eternal flames-」を発表。5月に大阪と東京で最新作のレコ発ツアーの追加公演「J LIVE TOUR 2015~2016 -TOUR the eternal flames FINAL-」を実施し、8月には自身の生誕ライブ「J Birthday LIVE 2016 -Special 2 Nights-」を開催する。