音楽への情熱があふれる熱いボーカルとパフォーマンスでバンドを牽引するUVERworldのフロントマン・TAKUYA∞(Vo)。今回彼にはPIONEERのポータブルプレーヤーXDP-300Rを使い、ハイレゾ音源を聴いてもらった。
現状大多数を占めるリスニング環境に合わせ、普段は主にiPhoneで音楽を聴いているというTAKUYA∞。彼は「ハイレゾはほぼ初体験。しっかりと確かめたいですね」と言って試聴に臨んだ。試聴した楽曲はプレーヤーにインストールされたUVERworldやAerosmithの楽曲のハイレゾ音源。TAKUYA∞が感じた音の印象は。
取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 佐藤類
PIONEER XDP-300R
音量を小さくしても十分な迫力
──XDP-300Rでハイレゾを聴いてみての感想はいかがでしょう?
今2、3曲聴いただけで、こちらのほうがiPhoneで聴いたときよりも空間が広がっているなというのと、ローエンドがしっかり出ているな、というのは感じましたね。
──試聴リストの中にはUVERworldの音源も?
ええ、聴いてみました。「空間が広がっている」というのは、それぞれの楽器の位置が立体的に感じられて、ボーカルがグイッと前に出ているように聞こえる感覚ですね。
──なるほど。
音量をあまり上げずに聴ける点も印象的でした。「もっと派手に」と迫力を求めながら聴くと、自然とボリュームを上げてしまいがちなんですよね。でも、このプレーヤーだと音量が小さくても十分な迫力が感じられるから、聴き疲れしなさそうですね。僕らはどんなリスニング環境でもいい音で聞こえるように考えながら音楽を作っているんです。スタジオですごくいい作品ができあがっても、皆さんが普段音楽を聴くスマートフォンでは、どう音が変わっていくのか。曲が完成した時点で自分たちが思い描いたものに、プラス要素やマイナス要素が出てくるんです。世の中の人がみんなこういうプレーヤーで聴いてくれるのであれば、僕らも迷うことはないんですけど……だってこのプレーヤーは、技術者の方が今持っている技術力のすべてを注ぎ込んで作られたわけですよね? もうそれだけで信用度が高いっていうか、安心して聴けるっていうのはありますね。流行ってくれればいいですね(笑)。
Pioneer XDP-300RのサウンドをチェックするTAKUYA∞。
──そんなに細かなところまで気を配って楽曲を作るのは、かなり時間のかかる作業のように思えます。
僕ら、この業界でずっとミックスダウンをやられているエンジニアさんに「今まで一緒にやったアーティストの中で一番作業に時間がかかる」って言われたこともありますよ(笑)。音作りは空間がすごく大事で、バックトラックのパンニングを調整したりだとか……とにかく楽器の位置に関しては、僕らはすごく指示を出します。
音がいいと言われているアーティストはチェックします
──TAKUYA∞さんは普段どういう環境で音楽を楽しんでいるんですか?
家には好きなオーディオプレーヤーがありますし、車の中のステレオはスピーカーを変えたりしていい感じに音楽が聴けるようにしています。移動中は主にスマートフォンで聴いていますね。
──機器を選ぶ際の基準はありますか?
やっぱり好きなブランドには信頼を置いてますけど、それでも試聴をせずに買うことはないです。スペック値などいろんなデータを参考にしつつ、最後は自分の耳で確かめて決めていますね。
──ヘッドフォンやイヤフォンにもこだわりが?
ヘッドフォンは相当な数持ってます。世界中で売られているヘッドフォンの中で最高峰だと言われているものから、ファッショナブルに着けられるものまで。ミュージシャンである前にリスナーとして音楽が好きだし、これまでの人生の半分くらいはただの音楽好きなので、「いい音で聴きたい」という思いは常にありますね。
TAKUYA∞(UVERworld)
──プライベートではどんな音楽をよく聴かれるんですか?
このインタビューだからこうやって答えるわけではないんですが、音がいいと言われているアーティストはチェックします。音のよさだけでも高く評価される方はいますし、自分の好きなエンジニアが担当したアーティストは、そのアーティストのことを知らなくても音が聴きたいからCDを買ったりしますよ。
──その中で最近「すごいな」と思った人は?
ゼッドの音の出し方とかは印象的ですよね。彼は専門誌でレコーディング秘話を語っていますけど……あれ、ホンマのところは教えていないと思う(笑)。
──同業者の方から見たら、タネ明かしですもんね。
ええ。そうなると、やっぱり自分の耳で探っていくしかないですから。
鉄筋コンクリートみたいな音で、調子よく躍らせる
──レコーディング音源とライブの音作りでは取り組み方は違いますか?
僕の中ではそんなに違いはないんですが、ライブの音のほうがいいなと思います。それは、はっきりとした空間があるから。
──ロックバンドの場合は特に、レコーディング音源でも「ライブの音をそのまま封じ込めたい」と考える方も多いと思うのですが。
ライブの空気感を落とし込みたいとは僕らも思ってはいるんですけどね。そこにこだわるならば、昔みたいな手法でマイクの数をあまり使わずに録っていくほうが、ライブ感は出るかもしれない。
──UVERworldがデビューした頃にはもうPro Toolsを使用したレコーディングシステムが標準化していたと思いますが、アナログなシステムで録られた音についてはどう思いますか?
「音悪いなあ」と思います。それが味になっているので、味としては「いいな」と思ったりしますけど……いい音だとは言えないですよね。でも「アナログが一番音がいい」と言う方もいますし、アナログな音を今風に聴かせるブルーノ・マーズみたいなアーティストもいますしね。そこは好みになってくるんじゃないかな? 僕はまだガキんちょなんで、解像度の高さや繊細さを求めている感じはあります。
──何をもって「いい音」とするのか? という価値判断は難しいですよね。
ええ。僕らは今のところ、近代の音楽テクノロジーを駆使した鉄筋コンクリートみたいな音を、でっかいスピーカーで鳴らして調子よく踊らせる、みたいなところにたどり着きたいなあと思っています。
プロフィール
TAKUYA∞(UVERworld)
滋賀県出身。6人組ロックバンド・UVERworldのフロントマンで、ほとんどの楽曲の作詞作曲を手がける。パワフルなボーカルに加え、音楽への情熱があふれる熱いMCはUVERworldのライブの魅力のひとつ。またTAKUYA∞は滋賀で制作活動を行うなど強い郷土愛を持っており、バンドがドームクラスの会場を満員にさせる人気を博す一方で、地元滋賀にある200人規模の会場での公演やライブハウスツアーも精力的に行っている。UVERworldは2005年7月にシングル「D-tecnoLife」でメジャーデビューを果たし、2008年11月には12thシングル「儚くも永久のカナシ」で初のオリコン週間ランキング1位を獲得。同年12月には東京・日本武道館、大阪・大阪城ホール公演を成功させた。2016年11月にはライブDVD / Blu-ray「UVERworld PREMIUM LIVE on Xmas 2015 at Nippon Budokan」をリリース。
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2016年12月21日更新