H ZETTRIOが3月7日にオリジナルアルバム「Mysterious Superheroes」をリリースした。
クリスマスアルバム「H ZETTRIOのChristmas Songs」、ライブアルバム「H ZETTRIO IN TOKYO – '17 Thanksgiving Day In Autumn –」に続いて発表された本作は、2017年に連続リリースされた配信シングル曲のほか、NEC「LAVIE Note NEXT」CMソング「What's Next」など、およそ1年間にわたって制作された楽曲をたっぷりと収めた作品となっている。今回音楽ナタリーではメンバーの3人にインタビューを実施。ニューアルバムの全曲を解説してもらいつつ、6月にスタートする全国ツアー「濃縮還元遊戯舞台」について語ってもらった。
取材・文 / 渡辺裕也 撮影 / 小原泰広
僕らは「その場その場のその場主義」
──H ZETTRIOはとにかく新曲を出すペースが早いですよね。数えてみたら、この3年間に皆さんがリリースした配信シングルは、なんと25曲にも及ぶということで。
H ZETT KOU(Dr) もうそんなに出してたのか(笑)。確かに、ツアーをやりながら毎月連続で曲を出すというスタイルはずっと続けてきてますね。たぶん一昨年くらいからずっとこのスタイルなんじゃないかな。
──そして今回のニューアルバム「Mysterious Superheroes」は、先行シングルとして発表された7曲に新曲5曲を加えた構成となっています。皆さんがそのような制作過程をとっていることには、主にどんな理由があるのでしょうか?
H ZETT KOU やっぱりスピード感ですね。新曲を出したらすぐにそれをライブで披露して、そのときにお客さんから返ってくるダイレクトな反応から何かを発見したら、それがまた次の曲作りにつながるっていう。
H ZETT NIRE(B) そういうサイクルで動いていると新曲もどんどん生まれるし、ツアーの内容もよくなるんですよ。
H ZETT M(Piano) やっぱり曲ができたらすぐに出したいし、配信ならそれがスピーディにやれますからね。お客さんの「もっと曲ちょうだい!」というお声にも応えたいので、とにかく僕らは作りまくろうと。
──と言うことは、曲ごとにテーマを設けることはあっても、アルバム単位でコンセプトを考えたりすることはあまりないのでしょうか?
H ZETT M そうですね。僕らは「その場その場のその場主義」って感じなので(笑)。
──なるほど(笑)。そこで今日は「Mysterious Superheroes」の収録曲をぜひ皆さんに1曲ずつ解説していただきたくて。そこからアルバムの全貌が浮かび上がってきたらいいなと思ってます。
H ZETT M わかりました。よろしくお願いします。
──さっそく始めましょう。1曲目は「Mysterious Superheroes」。これはアルバムのタイトルトラックでもあるのですが、まずこのタイトルはどのようにして生まれたのでしょうか?
H ZETT M 新宿の歌舞伎町に「TOKYO MYSTERY CIRCUS」というテーマパークがありまして。そのテーマ曲にH ZETTRIOの「Dancing in the mood」という曲が使われることになったんですけど、そういった流れの中で、なんとなく“ミステリー”という言葉に惹かれたんです。これはなかなか想像が広がる言葉だなと。そこで思い付いたのが「Mysterious Superheroes」という言葉でして。これがけっこう好評だったので、結果としてアルバムタイトルにもなったという感じですね。
──“ミステリー”という言葉は、H ZETTRIOというバンドのイメージとも重なりますよね。
H ZETT M なんせ鼻に色が付いてますからね(笑)。
──それにこの曲はイントロからして、ちょっと不穏なムードを醸していて、それこそアルバム全体のミステリアスな展開を予感させるようなオープニングだなと。
H ZETT KOU 確かに怪しい感じの始まり方ですよね。でも、もともとこれは1曲目を想定して作ったわけじゃないんですよ。たまたまうまくハマったと言うか。
H ZETT M うん、やっぱりここもその場主義ですね(笑)。もう少しカッコよく言うと、僕らはこういう偶然性にいつも期待しているところがあるんです。
──演奏の激しさがとても印象的だったのですが、このバンドアレンジはどのようなイメージで?
H ZETT M この曲に関しては、3人それぞれが順にソロをやっていくような感じにしようと思っていました。
H ZETT NIRE この曲のリズムはものすごく短い時間であっという間に録ったんですよ。確か、仮タイトルも「ボツ必至」みたいな感じだったので、ここは一気に録ってしまおうと(笑)。
──確かにそれくらいの勢いがあるアッパーな曲ですよね。
H ZETT NIRE 実際、そういうふうに勢いでやったほうが生きのいい演奏が録れるんですよね。もちろん曲によってはじっくり煮詰めたほうがいい場合もあるんですけど。
2人の“直感のエナジー”を信用していますから
──そのあとに続く「What's Next」と「Z ディスカバリー」の2曲も、非常にスピード感がありますよね。「What's Next」に関しては「LAVIE Note NEXT」のCMソングにも起用されていましたが、こちらは?
H ZETT M この曲は「速さは、驚き。」というキャッチコピーを事前に投げられていたので、それならピアノをものすごい速さで弾くところからはじめてみようかな、と。あと、「Z ディスカバリー」は「NEWS」のあとに作ったんだよね?
H ZETT NIRE そうだね。架空のニュース番組をイメージした「NEWS」を作ったあとに「次も架空で何か作ろうよ」という話になって。それで「じゃあ、ディスカバリーチャンネルみたいな番組をイメージしてみるのはどうかな?」と。
H ZETT M そうそう。草原でキリンが走ってたり、虎が鹿を捕まえてひきづっていくようなところを想像しながら作ったんです(笑)。
──あの跳ね回るようなビートはそういうイメージだったんですね。そして4曲目「Fusion in Blue」でアルバムはラグジュアリーなムードに変わります。
H ZETT NIRE ここまでは勢いよく来ましたから、このあたりでちょっと仕切り直そうかなと。
H ZETT M カナダの国際映画祭で上映される「FUSION」というショートフィルムに、H ZETTRIOの音楽を使いたいというオファーがありまして、そこで持っていったのがこの曲だったんです。その映画は「フュージョン料理」といういろんなジャンルが融合した料理のドキュメンタリーということで、やっぱり曲も「フュージョン」が鍵だなと。
──それは音楽ジャンルとしてのフュージョンですか?
H ZETT M 音楽でフュージョンというと、やっぱりそっちをイメージされますよね。でも、実はそうでもなくて。そのあたりのニュアンスをどうやって伝えようかと考えた結果、「イン・ブルー」だなと(笑)。NIREにも「この曲のタイトル、『フュージョン』でどうかな?」と聞いたら、「フュージョンかあ……」みたいな反応だったので。
H ZETT NIRE いやいや、そんなこと言ってないよ(笑)。
H ZETT KOU でも、ちょっと嫌そうな顔したんじゃないの?(笑)
H ZETT NIRE 曲名とかはいつもLINEのグループ内で決めてるんだから、そこで表情は伝わらないでしょ(笑)。それに僕は自分の感覚よりもこの2人の感覚を信用していますから。彼らは直感のエナジーと言うか、引き寄せる力みたいなものを持っているし、その2人がいいと言うものはだいたいいいんです。逆に僕は考えてしまうタイプなので。
H ZETT KOU だから、僕らのおふざけが過ぎたときは彼が叱ってくれるんです(笑)。
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H ZETT M、フィジカルの重要性を語る
ツアー情報
- H ZETTRIO「Mysterious Superheroes Tour 2018~濃縮還元遊戯舞台~」
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- 2018年6月2日(土)群馬県 伊勢崎市境総合文化センター
- 2018年6月3日(日)神奈川県 クリフサイド
- 2018年6月6日(水)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年6月8日(金)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年6月9日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2018年6月10日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2018年6月12日(火)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年6月13日(水)香川県 DIME
- 2018年6月15日(金)愛媛県 松山サロンキティ
- 2018年6月16日(土)山口県 Jazz Club BILLIE
- 2018年6月17日(日)大分県 大分音楽館
- 2018年6月19日(火)熊本県 熊本B.9
- 2018年6月20日(水)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年6月22日(金)大阪府 BIGCAT
- 2018年6月23日(土)広島県 BLUELIVE HIROSHIMA
- 2018年6月24日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
- 2018年6月26日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2018年6月29日(金)宮城県 darwin
- 2018年6月30日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2018年8月18日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- H ZETTRIO「Mysterious Superheroes」
- 2018年3月7日発売 / apart.RECORDS
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EXCITING FLIGHT盤 [CD]
3240円 / APPR-3016 -
DYNAMIC FLIGHT盤 [CD]
3240円 / QECW-1009
- 収録曲
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- Mysterious Superheroes
- What's Next
- Z ディスカバリー
- Fusion in Blue
- どこか遠く
- Flying Future
- SEVEN
- NEWS
- Fiesta
- 落陽
- DERBY~栄光の道しるべ~
- MESHI KUTTE YEAH!
- EXCITING FLIGHT盤 ボーナストラック
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- Playin' Swingin' !!! H ZETTRIO!!!(PS4® Lineup Music Video使用楽曲 Instrumental Version)
- DYNAMIC FLIGHT盤 ボーナストラック
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- What's Next(2017.12.24 Hokkaido Nakashibetsu-cho Cultural Center)
- H ZETTRIO(エイチゼットリオ)
- 青い鼻のH ZETT M(Piano)、赤い鼻のH ZETT NIRE(B)、銀色の鼻のH ZETT KOU(Dr)によるピアノトリオ。2012年にH ZETT Mを中心に結成された。2013年に1stアルバム「★★★」を発表しグループとしての活動を本格化させると、2014年にスイスの「Montreux Jazz Festival」に出演したことを機に国内外から注目を集める。以降2018年までに4作のスタジオアルバムと3作のライブアルバムを発表。2015年からは音源の配信も積極的に行っており、2017年は4~12月までに計8作の配信限定シングルをリリースした。2018年3月7日にはニューアルバム「Mysterious Superheroes」を発売。6月からは初の東京・日比谷野外大音楽堂公演を含む全国ツアー「Mysterious Superheroes Tour 2018~濃縮還元遊戯舞台~」を実施する。