新型コロナウイルスの感染拡大により、数多くのミュージシャンが活動の制限を余儀なくされた2020年。早くも2年が経つが、現在も終息の兆しが見えない状況が続いている。そんな中、H ZETTRIOは配信ライブをいち早く実施し、2020年8月には有観客でのライブを再開。さらに毎月新曲を1曲、毎週1つのカバー曲を発表し続けている。
そこで音楽ナタリーでは、H ZETTRIOの2020年から現在までの活動を年表化。メンバーにコロナ禍での活動を振り返ってもらいつつ、5月に実施されるこどもの日恒例ライブ「こどもの日SP -虹に吠えろ!-」や同月リリースのニューアルバム「Kazemachizuki」、そして2022年の予定や目標について語ってもらった。
文 / 高橋拓也撮影 / 森好弘
2020年
イベント
作品
2月
- 配信シングル
24カ月連続配信シングル第14弾「天体イマジネーション」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「きよしのズンドコ節」「与作」「キューティーハニー」「ラブ・ストーリーは突然に」
3月
- 中止イベント
「tvk PRESENTS SPEED MUSIC ソクドノオンガク 公開収録SPECIAL LIVE」
(新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)
4月
- 中止イベント
音楽フェス「ARABAKI ROCK FEST.20」
(新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止) - 主催配信イベント
「H ZETTRIO RE-SO-LA Tour 2020 先駆けトリオピック YouTubeスタジオ生配信ライブ」(YouTube配信)
4月
- 配信シングル
24カ月連続配信シングル第16弾「情動」 - アルバム
オリジナルアルバム「★★★(三ツ星)」ハイレゾ配信バージョン -
アルバム
配信ベストアルバム「Passionate Songs」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「雨あがりの夜空に」「瞳をとじて」「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」「夜霧よ今夜も有難う」「男はつらいよ」
5月
- 中止イベント
こどもの日ワンマン「こどもの日トリオピックスペシャル~目指せチャンピオン~」
(新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)
5月
- 配信シングル
24カ月連続配信シングル第17弾「負けるなチャンプ」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「つつみ込むように…」「WON'T BE LONG」「ワダツミの木」「明日、春が来たら」
6月
- 主催配信イベント
「GARDEN3連続無観客配信LIVE ~ポストコロナ2020~」(YouTube配信)
6月
- 配信シングル
24カ月連続配信シングル第18弾「祭りじゃ」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「ひょっこりひょうたん島」「Choo Choo TRAIN」「東京は夜の七時」「大都会」
7月
- 主催配信イベント
「GARDEN 続・無観客配信LIVE~トリオ夏フェス2020~」(YouTube配信)
7月
- 配信シングル
24カ月連続配信シングル第19弾「TOKYO」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「セーラー服と機関銃」「色彩のブルース」「マツケンサンバII」「ウイスキーが、お好きでしょ」「部屋とYシャツと私」
8月
- 主催有観客イベント
ライブハウスツアー「RE-SO-LA Tour 2020 先駆けトリオピック Vol.2」神奈川公演@相模原市民会館(振替公演 / 有観客&有料配信) - 出演イベント
「J-WAVE INNOVATION WORLD COMPLEX at Takanawa Gateway Fest」(有観客&ラジオ配信)
8月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第20弾「距離」※このシングルから連続配信期間が延長 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「夏の日の1993」「あなただけ見つめてる」「学園天国」「真夏の夜の夢」
10月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第22弾「Never Ending」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「風になりたい」「PRIDE」「恋」「夜明けのスキャット」
11月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第23弾「Middle」 - 参加作品
SixTONES シングル「NEW ERA」収録曲「NAVIGATOR(H ZETTRIO Crossover Rearrange)」参加 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「鉄腕アトム」「DOWN TOWN」「あの素晴しい愛をもう一度」「約束の橋」
①新型コロナウイルス感染拡大によるツアー中止
H ZETT M(Piano) 一番印象に残っているのは2月22日のTSUTAYA O-EAST(現:Spotify O-EAST)公演で、この時期はちょうど今後のツアーをどうするか決めなければいけないタイミングだったんです。お客さんもマスクをしている人がいっぱいいて、本格的に感染拡大が始まるところでした。
H ZETT NIRE(B) ひとまずこの公演は予定通り実施しましたが、結局ツアーは中止になって。
H ZETT KOU(Dr) 2月8日には調布市グリーンホールでもライブがあったんですけど、調布は自分の出身地なんです。地元のお客さんがたくさん来てくれて「ここで開催できてよかったな」「これからがんばるぞ」みたいな感じで、パワーをもらった直後にツアーができなくなってしまって。エンジン全開なのにライブができないのか……というもどかしい気持ちでした。
②配信ライブへの対応、配信シングルの定期的なリリース
H ZETT NIRE その後4月からYouTubeで配信ライブをスタートしました。有観客ライブ再開の目処がまったく立たなくて、緊急事態宣言が出たら中止にしないといけないので、とにかく「やれそうなことはやる」という感じでしたね。いつ感染者が増えるかわからないし、ライブも直前まで開催できるかわからない。模索しながらの活動でしたが、配信ライブへの対応は比較的早く慣れたので、回数を重ねることができました。
H ZETT KOU 初めて無観客で配信ライブをやったとき、1曲終わるたびに漆黒の闇に吸い込まれそうな気持ちになっちゃって。徐々に慣れていくうち、コメントという形でお客さんの反応もわかるようになったので、また違った楽しみ方がありました。
H ZETT M もちろん有観客ならではの熱気はあるんですけど、ただその熱気をもらうだけではしょうがなくて。僕たちだけで作るべきムードもあるし、そういった意味では、配信は配信で楽しくできたと思います。
H ZETT NIRE それから2月から4月はツアーが中止になったあと、時間がたっぷりできたのでずっとレコーディングをしていたんですよね。なので「すべての活動がストップしてしまった」という感じにはならず、「時間はあるからどんどん曲を作ろう」と気持ちを切り替えられました。
H ZETT KOU 僕らはコロナ禍に入る前から毎月配信シングルをリリースしていたし、テレビ番組「SPEED MUSIC ソクドノオンガク」では毎週カバー曲を披露していたので、その2つは続けるようにしました。「なるべく動き続けないといけない」という気持ちがあったから、早く対応できたんだと思います。こうやって配信曲を見直すと、5月に配信した「負けるなチャンプ」とか、もうタイトルから気合いが入ってますよね。一方で7月に配信した「TOKYO」はちょっと虚しさも感じたり。
H ZETT NIRE ちょうどこのタイミングでオリンピックが開催される予定だったからね。リリースを決めた当時はまだ開催するか、延期するか決まっていなかったんです。先走っちゃいました(笑)。
2021年
イベント
作品
2月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第26弾「ALL FOR ONE」 - 参加作品
AUN J CLASSIC ORCHESTRA & H ZETTRIO シングル「FOREST」参加 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「北の国から~遥かなる大地より~」「愛のメモリー」「朧月夜」「夏の思い出」
3月
- 主催有観客イベント
ワンマンツアー「H ZETTRIO FOR ALL, H ZETTRIO FOR ONE」
@大阪府 ラブリーホール 大ホール(有観客)
@兵庫県 丹波市立ライフピアいちじま大ホール(有観客) - 主催配信イベント
「H ZETTRIO SHOW! ENJOY YOUR HOME!!」(YouTube配信)
3月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第27弾「MOCHI」 - 参加作品
AUN J CLASSIC ORCHESTRA アルバム「環ル森(めぐるもり)~Sustainable Forest~」収録曲「FOREST」参加 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「Etupirka」「TOMORROW」「さよなら」「白いブランコ」「さよならの向う側」
4月
- 主催有観客イベント
ワンマンツアー「H ZETTRIO LIVE 2021 –New spring has come!–」
@京都府 KYOTO MUSE(有観客)
@大阪府 ホテルメルパルク大阪 メルパルクホール(有観客&有料配信)
@奈良県 奈良NEVER LAND(有観客) - 主催配信イベント
「H ZETTRIO SHOW! ENJOY YOUR HOME!!」(YouTube配信)
4月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第28弾「New Spring」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「い・け・な・い ルージュマジック」「長い夜」「ガンダーラ」「とんちんかんちん一休さん」
6月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第30弾「風待月」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「すきすきソング」「燃えてヒーロー」「The Stardust Memory」「愛が生まれた日」「あしたのジョー」
7月
- 主催有観客イベント
ワンマンライブ「H ZETTRIO LIVE 2021 –Blueberry Jam!–」@東京都 浜離宮朝日ホール(有観客)
7月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第31弾「Blueberry Jam」 - 参加作品
安田レイ シングル「Brand New Day feat. H ZETTRIO – From THE FIRST TAKE」参加 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「千の風になって」「あいにきて I・NEED・YOU!」「慟哭」「恋のマジックポーション」
8月
- 出演イベント
野外音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL'21」@新潟県 苗場スキー場(有観客&YouTube配信)
8月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第32弾「Ninja City」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「楽園のDoor」「空に太陽がある限り」「YELLOW YELLOW HAPPY」「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」
9月
- 出演イベント
オンライン音楽フェス「MUSER FEST.2021 -MUSIC AID-」(有料配信) - 主催有観客イベント
ワンマンライブ「H ZETTRIO LIVE 2021 –今夜はトリオ IT!–」@静岡県 裾野市民文化センター 大ホール(有観客)
10月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第34弾「Magic Hour」 - 参加作品
V6 ベストアルバム「Very6 BEST」収録曲「上弦の月-V626 ver. arranged by H ZETTRIO」参加 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「心の旅」「古い日記」「もしも明日が…。」「また逢う日まで」
11月
- 配信シングル
36カ月連続配信シングル第35弾「Spacewalk」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「Pretender」「気分上々↑↑」「時代おくれ」「残酷な天使のテーゼ」
12月
- 出演イベント
ライブイベント「SAPPORO CITY JAZZ 2021 THEATER JAZZ LIVE」@北海道 札幌文化芸術劇場hitaru(有観客) - 主催有観客イベント
ワンマンライブ「H ZETTRIO LIVE 2021 –磐田市でMake Some Noise!–」@静岡県 磐田市竜洋なぎの木会館 いさだホール(有観客) - 主催有観客イベント
ワンマンライブ「H ZETTRIO LIVE 2021 –激闘のレコ発トリオピック–」@東京都 Bunkamuraオーチャードホール(有観客&アーカイブ有料配信) - 主催有観客イベント
ワンマンライブ「H ZETTRIO LIVE 2021 –高松でクリスマスLive!–」@香川県 サンポートホール高松 大ホール(有観客)
12月
- 配信シングル
48カ月連続配信シングル第36弾「Make Some Noise!」※このシングルから再び連続配信期間が延長 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「魔訶不思議アドベンチャー!」「クリスマスキャロルの頃には」「チキンライス」「クリスマス・イブ」「シャルル」
①有観客ライブの再開
H ZETT NIRE 2020年の夏から少しずつ有観客ライブを行って、2021年には短期間のツアーもできるようになってうれしかったですね。12月に出演した「SAPPORO CITY JAZZ 2021 THEATER JAZZ LIVE」ではお酒の提供もOKになって、あまりにひさしぶりだったから不思議な気分でした。
H ZETT M このあたりの有観客ライブは声を出しちゃいけないスタイルが定着していて、「そういえばそういう状況だったのか」と実感したのを覚えてます。その分拍手が温かくて、もう音色が変わったんじゃないかなって思っちゃうぐらいで。
H ZETT NIRE みんな拍手、うまくなったのかもね(笑)。声が出せない分、拍手で感情が表せるようになったのかも。
②続ける意義を痛感した「FUJI ROCK FESTIVAL'21」
H ZETT KOU 「FUJI ROCK FESTIVAL'21」に出演した頃は「感染をこれ以上広めちゃいけない」というムードが特に強くて。出演前にちゃんと検査して、出番が終わったらすぐに帰る「フジロック」は初めてでした。
H ZETT NIRE この年の「フジロック」は関係者サイドの感染対策がものすごく徹底されていて、相当厳しかった印象を受けました。食事するスペースもすごく間隔を開けていたし、みんな同じ方向を向いて食事をしないといけないぐらいで。
H ZETT M かなりちゃんとしてたよね。
H ZETT NIRE 楽屋フロアも消毒機を背負って作業している人が常にいたり、これ以上厳しくできないレベルの対策だったと思います。イベンターサイドの開催するための心意気、というんですかね。そういうものを強く感じたので、僕らも「それに応えないとな」「しっかり演奏して盛り上げたい」と気合いが入りました。やはりフェスの火を消すわけにはいかないですから。
2022年
イベント
作品
2月
- 配信シングル
48カ月連続配信シングル第38弾「Dolce」 - 映像作品
ミュージックビデオ集「H ZETTRIO 2019 – 2021 ~MUSIC VIDEO COLLECTION~」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「みちのくひとり旅」「名もなき詩」「言葉にできない」「紅蓮華」
3月
- 配信シングル
48カ月連続配信シングル第39弾「Wolf」 - 「SPEED MUSIC」カバー曲
「SPEED MUSIC」カバー「星空のディスタンス」「時には昔の話を」「バンザイ ~好きでよかった~」「Hello, Again ~昔からある場所~」「シャボン玉」
4月
- 配信シングル
48カ月連続配信シングル第40弾「SUPER MAD MAX」 - アルバム
カバーアルバム「SPEED MUSIC ソクドノオンガク Vol.6」 - 参加作品
香取慎吾 アルバム「東京SNG」収録曲「こんがらがって(feat. H ZETTRIO)」参加
①2枚のアルバムリリース&ライブスケジュール
H ZETT NIRE 2021年のワンマンは関東と関西を中心に開催していましたが、今年に入ってからは熊本や滋賀のほうでも開催できて。
H ZETT KOU 今後も徐々に開催範囲を広げていきたいですね。
H ZETT NIRE 1月にリリースしたアルバム「トリオピック ~激闘の記録~」はもともと2021年の1月に出したかったんですけど、コロナ禍の影響もあってリリースも1年延ばしたんです。その結果、5月には「Kazemachizuki」の発売も決まり、1年で2枚のオリジナルアルバムを出すことになって。「SPEED MUSIC ソクドノオンガク」のカバーも、もちろん毎週やっていたのは覚えているけど、こうして年表で見てみるとずいぶん発表してきましたね……。
H ZETT KOU まさに「継続は力なり」ですね。ちゃんと結果に出てる。「SPEED MUSIC」でのカバーはコロナ禍に入っても止まらずに動き続けるきっかけになったので、ありがたかったです。
②コロナ禍の2年間、印象的だった出来事
H ZETT KOU 2020年の11月に行った「Special Speed Music Night with H ZETTRIO」は「SPEED MUSIC」の公開収録だったので新鮮でしたね。それにパシフィコ横浜は個人的に演奏してみたかった会場だったんです。意外とステージと客席の間隔が広くて、感染対策的にもよかったかも(笑)。
H ZETT M 2021年9月のオンライン音楽フェス(「MUSER FEST.2021 -MUSIC AID-」)も面白かったですよ。配信イベントが独自の進化を遂げていることを実感しました。
H ZETT NIRE 「LIVE AID」(※1985年にアフリカ難民救済を目的に開催されたチャリティーコンサート)を彷彿とさせる演出が施されて、背景が全部合成だったり、ライブの内容に合わせて拍手する手が画面に出てきたり。有観客の代用ではなく、配信ならではの演出に挑戦したイベントだったと思います。カメラに手を振ったりしましたけど、会場にはスタッフしかいなくて妙な雰囲気でした(笑)。
H ZETT KOU あとはさっきも話題に上がった「SAPPORO CITY JAZZ 2021」も、ひさびさに本州を出るきっかけになったイベントなので印象深いです。