H ZETT M、フィジカルの重要性を語る
──メンバー間のバランスがすごくいいですね(笑)。アルバムに話を戻しましょう。5曲目の「どこか遠く」は、落ち着いたテンポのメロウで切ない曲です。
H ZETT M これは制作の終盤にできた曲ですね。ほとんどの曲がそろってきた段階で、けっこう元気のいい曲が多かったので、それならこういう曲も入れたいなと。タイトルについては、聴いてくれた人それぞれに情景を浮かべてもらえるようにしたかったので、こういう言葉を選びました。まあCMとかに使ってほしいとか言うとアレですけど(笑)。映像をあてやすいようなタイトルにしたいなと。
──6曲目の「Flying Future」は一転して激しいリズムが印象的です。各パートにそれぞれ見せ場があって、3人がセッションしている様子が目に浮かぶような曲ですね。
H ZETT M 確かに、この曲を作っているときは「このバンドのフィジカルを見せつけてやろう」みたいな感じでしたね。配信シングルではわかりやすいものもいっぱい出しましたけど、「実はこういう筋肉で我々は動いてるんだぞ」っていうところを見せていくようなイメージで。やっぱりフィジカルは大事ですから。
H ZETT KOU ビートも5連符や3連符が交差していて、それがやっていて心地よかったですね。実際、みんなでぴったり合わせる曲のほうが大変だったりするんですよ。シンプルに合わせていくほうが逆に難しい。
──7曲目の「SEVEN」もリズムに特徴がある曲ですね。技巧的な演奏がすごくエキサイティングです。
H ZETT M 3拍子も4拍子もやってきたから、今度は4+3で7拍子にしようかなと(笑)。「SEVEN」はそうやって以前にやったことを踏まえて、「じゃあ次はどうする?」みたいな発想の広がり方から作った曲ですね。
──イントロのちょっとホラー映画っぽい声はどんなイメージで?
H ZETT M なんでしょうね(笑)。僕にとってはあれが普通なので。
──特に狙いがあったわけではない?
H ZETT M ないですね。むしろ「怖い」とか「変」とか「おどろおどろしい」とか、そういうものは僕の基本になっているのかもしれません。
H ZETT KOU それこそミステリアス?
H ZETT M まさに(笑)。何をやるにしても、僕はちょっと角度を付けないといられないんですよね。トーキックでゴールに向かってまっすぐシュートするよりは、右のアウトサイドでカーブをかけて、ゴールの端っこを狙いたくなるような感じと言いますか。つまり裏をかきたくなるんだと思います。
ハリウッド的な発想でシリーズ化
──そして8曲目は「NEWS」。先ほども「架空のニュース番組をイメージするところから生まれた曲」だとおっしゃっていましたね。
H ZETT M そうですね。これはニュース番組が始まって、キャスターの人が「皆さん、こんばんは」と言っているところで流れているようなイメージです。
H ZETT KOU 放送されている時間は、だいたい夜11時くらい?
H ZETT M うん、確かに夜のほうがいいですね。そうやって何かのイメージと結び付けたほうが、もしかすると僕らは曲が作りやすいのかもしれない。まあ、実際にニュース番組で使ってもらえたらもっとうれしいんですけどね(笑)。
──9曲目の「Fiesta」も、架空のお祭りをイメージされていたのだとか。ミュージックビデオではダンスの振り付けもありましたね。
H ZETT KOU 実際、この曲はMVに出演してもらったPOI LAB(ジャグリングの道具ポイを使うクリエイティブチーム)のイメージソングになったよね。彼らとはライブでも何度か共演しましたし。
H ZETT NIRE 初めてPOI LABとライブで共演したのは、確か去年の「PIANO CRAZE CRAZY TOUR~こどもの日Special~」のときで。客席にサイリウムを配ったんですけど、あれはステージから見ても非常にいい景色でした。
──ラテンジャズ的な要素は、かねてからH ZETTRIOにあったものですよね。
H ZETT M そうですね。ラテンとは言っても、キューバのサルサとかルンバ、マンボあたりはまだ勉強中なんですけど。一方でブラジルのサンバやボサノヴァには非常にポップな印象があって、そのあたりは昔から大好きなんです。特にサンバはリズムが踊りやすいから、つい取り入れたくなるんですよね。ボサノヴァに関しては和音がとても魅力的で、そこにはジャズに通じるところもすごくあるんです。
──そんな夏っぽいムードの「Fiesta」に続くのは、秋の訪れを感じさせるように穏やかな「落陽」。そして11曲目の「DERBY~栄光の道しるべ~」は、タイトル通り競馬の日本ダービーをモチーフに書いた曲のようですね。
H ZETT M 「落陽」も、制作が終盤に差しかかってきた頃に「もうちょっとテンポが落ち着いたものを入れたいな」ということで作った曲ですね。「DERBY~栄光の道しるべ~」については、ゲートが開いた瞬間に走り出していく馬の疾走感とピュアさ、そして最終コーナーに来たときの歓声と熱量をイメージしながら作りました。
H ZETT NIRE 「DERBY~栄光の道しるべ~」はテレビ番組「勝手にラブソングを」の企画から生まれた曲で。実際に一昨年の日本ダービーの映像に合わせて曲を作ってほしいという話だったので、それこそ映像的なイメージはかなり意識してました。やっぱりレース中にはいろんなドラマが起こるので、そういうドラマを演奏にも詰め込めないかなと。
H ZETT KOU 録音する段階でも、レースのことはイメージしてました。やっぱり最終コーナーの駆け引きなんかは想像が膨らみますよね。
──そして最後の曲が「MESHI KUTTE YEAH!」。リズムや展開にいろんな遊び心があってすごく楽しい曲です。
H ZETT M この曲は楽しくて陽気な感じを目指しながら作ったものですね。
H ZETT NIRE もともと僕らには「MESHI」という曲があって、それがシリーズ化しているんですよ。ちなみにこれがシリーズ3作目なんですけど、果たしてこれで完結なのか、それとも続くのかっていう。ハリウッド的な発想ですね(笑)。
──(笑)。実際、イントロにはホラー映画ふうのちょっとした演出もありますね。
H ZETT M まあ、あの「ワーッハッハッハ!」っていう笑い声については特に意味合いも何もないんですけど(笑)。単純にああいう声を出すのが僕は好きなので、それで入れちゃったっていう。だから、これもまた思い付きですね。要は即興みたいなものなんです。その場での思い付きはレコーディングでもけっこう大事にしているかもしれない。
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お客さんの声が上から降ってくる
ツアー情報
- H ZETTRIO「Mysterious Superheroes Tour 2018~濃縮還元遊戯舞台~」
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- 2018年6月2日(土)群馬県 伊勢崎市境総合文化センター
- 2018年6月3日(日)神奈川県 クリフサイド
- 2018年6月6日(水)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年6月8日(金)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年6月9日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2018年6月10日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2018年6月12日(火)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年6月13日(水)香川県 DIME
- 2018年6月15日(金)愛媛県 松山サロンキティ
- 2018年6月16日(土)山口県 Jazz Club BILLIE
- 2018年6月17日(日)大分県 大分音楽館
- 2018年6月19日(火)熊本県 熊本B.9
- 2018年6月20日(水)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年6月22日(金)大阪府 BIGCAT
- 2018年6月23日(土)広島県 BLUELIVE HIROSHIMA
- 2018年6月24日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
- 2018年6月26日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2018年6月29日(金)宮城県 darwin
- 2018年6月30日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2018年8月18日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- H ZETTRIO「Mysterious Superheroes」
- 2018年3月7日発売 / apart.RECORDS
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EXCITING FLIGHT盤 [CD]
3240円 / APPR-3016 -
DYNAMIC FLIGHT盤 [CD]
3240円 / QECW-1009
- 収録曲
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- Mysterious Superheroes
- What's Next
- Z ディスカバリー
- Fusion in Blue
- どこか遠く
- Flying Future
- SEVEN
- NEWS
- Fiesta
- 落陽
- DERBY~栄光の道しるべ~
- MESHI KUTTE YEAH!
- EXCITING FLIGHT盤 ボーナストラック
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- Playin' Swingin' !!! H ZETTRIO!!!(PS4® Lineup Music Video使用楽曲 Instrumental Version)
- DYNAMIC FLIGHT盤 ボーナストラック
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- What's Next(2017.12.24 Hokkaido Nakashibetsu-cho Cultural Center)
- H ZETTRIO(エイチゼットリオ)
- 青い鼻のH ZETT M(Piano)、赤い鼻のH ZETT NIRE(B)、銀色の鼻のH ZETT KOU(Dr)によるピアノトリオ。2012年にH ZETT Mを中心に結成された。2013年に1stアルバム「★★★」を発表しグループとしての活動を本格化させると、2014年にスイスの「Montreux Jazz Festival」に出演したことを機に国内外から注目を集める。以降2018年までに4作のスタジオアルバムと3作のライブアルバムを発表。2015年からは音源の配信も積極的に行っており、2017年は4~12月までに計8作の配信限定シングルをリリースした。2018年3月7日にはニューアルバム「Mysterious Superheroes」を発売。6月からは初の東京・日比谷野外大音楽堂公演を含む全国ツアー「Mysterious Superheroes Tour 2018~濃縮還元遊戯舞台~」を実施する。