男子はSNSをスゲー見る

──アルバム全体のキーとなっている曲はありますか？

黒木健志（G）　僕は1曲目の「ラブフェチ」だと思います。バンド感と「次のステージへ行きたい」って思いを詰め込んだ曲で、あとは竹縄の歌詞に男として共感したので。逆に女性はこの曲を聴いて共感できないかもしれないけど、それもいいなと思ってて。共感してほしいと言うよりも「男はこんなもんなんだ！」って気付いてほしい。

──なるほど。

黒木　女性って、男の本性をそんなに知らないんじゃないかと俺は思ってて。例えば男子は、好きな人がいたとしたらその子のInstagramとかSNSをスゲー見るわけですよ。だけど、世の女性は「男の人は、面倒くさがって見ないでしょ」みたいに勘違いしてると思うんです。「いやいや！ 男っていうのは、気になっている人に思いを馳せながら、SNSでこまめに行動をチェックしてるんだぞ！」って言いたい（笑）。以前竹縄が「『ラブフェチ』は女性に対して、言ってやった感がある」って言ってたんですけど、俺も彼のように「言ってやるぞ」って気持ちでアレンジをしていました。

──そうだったんですね。演奏ではどんなことを意識されましたか？

黒木　単純にカッコいい音じゃなくて、ちょっと“変な音”を意識しました。普通だったらディレイをかけてカッコいい感じにすると思うんですけど、あえてコーラスをかけて野暮ったい雰囲気を出したり。ちなみに「ラブフェチ」のギターって僕の家で録ってるんですよ。だから、宅録独特の生々しさも表現できたかなって思います。

──橋本さんはどうですか？

橋本佳紀（B）　好きな曲は「ギブアンドテイク」なんですけど、キーとなる曲って考えると「ファーストレディー」かな。「I love u. I love u. I love u.って繰り返してる こんなワタクシを どうかポイしないで愛しててくれませんか？」って歌詞を読んだとき、「ここまで言うんだ！」と衝撃を受けましたね。回りくどいところもあればストレートなところもある、人間の素の部分が表れているみたいでいいなって。なんか、竹縄のソングライターとしてのあるべき姿を感じたというか。

──どういうことですか？

橋本　昔の竹縄だったら「俺はこう思っているんだけど、これをロックテイストにするとしたらどうなるんだろう？」って考え方だったんですけど、今は「こういうことを伝えたいから、ポップな雰囲気にしよう」って、自分の伝えたい部分を引き立たせるための作り方に変わったんです。だからこそ、持ってくる歌詞が本当にストレートだし、「これが伝えたいんだね」って俺らも納得できる。竹縄本来の姿はここにあったんだなって。

岩野亨（Dr）　僕は「MONSTER WORLD」です。この曲は「Mr. HOLIC」が生まれた大事なきっかけになったと思っているので。

──竹縄さんはいかがですか？

竹縄　「208」は、今書けてよかったなとしみじみ思いますね。

──それはどうして？

竹縄　最近、バラードを書いてなかったんですよ。去年の末に「サネカズラ」を出したんですけど、あの曲を書いたのは2年くらい前だったし。で、バラードを書いていない2年間の間に「208」の歌詞に書いた出来事があって。そのときに、「文字に残しておこう」と思ったんですよ。というのも、体験したことによって「理想と現実は違うんだな」ということがハッキリわかったんですよ。それでiPhoneに残していたメモをベースに、このときの感情を歌にしようと思って書いたのが「208」。