潮紗理菜、かけがえのない仲間との最後の一期生曲
──アルバムにはほかにも録り下ろしで、各期別の新曲が収められています。お二人それぞれの参加楽曲についてお話しいただきたいのですが、まずは潮さんがセンターを務める一期生の「最初の白夜」について。潮さんにとっては最後の一期生楽曲ですね。
潮 私がライブでこの曲を披露する機会は当然、断然少ないんですけど、それでもこの曲をいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。曲の前奏はオーロラが出る前兆の空気感をイメージさせる雰囲気があって……私、人生の最大の夢がオーロラを見ることなんです。イントロを聴いたとき、頭の中に勝手にオーロラが広がって。自分の夢を頭に浮かべながら自分にとって最後の曲を歌えたことが、すごく感慨深いです。白夜とか極夜とか、歌詞は一見暗そうに見えるじゃないですか。太陽が沈み切らない白夜の風景は、パーンと明るい真っ青な空とは違う。それがめちゃめちゃ私っぽいなと思って。私は太陽や月や星ではないと思っているから……自分にとっての理想を見たというか、勝手に自分と重ねちゃった部分もあります。この曲調の中にある「(Go For It!)合言葉を唱えてみよう」という歌詞が私は大好きで。
──元気に言う「Go for it!」とはまた違う表現。
潮 はい。静かにそっと「あなたならできるよ」「大丈夫だよ」と背中を押してくれるような「Go for it!」だなと感じて。幸せすぎる環境にいたので、そこを飛び出すことには正直不安もあるんですけど、この曲を聴いて少し気持ちが楽になったというか。自分にとって特別な曲になりました。
──長年ともに過ごしてきた一期生の仲間たちについては今どんな気持ちですか?
潮 かけがえのない存在ですよね。この7年半は家族よりも長い時間一緒にいたわけで。苦楽をともにしてきたメンバーだからこそ話せること、分かち合えることがあるので、同期がこのメンバーでよかったと心から思います。いい意味でさっぱりした関係なんですよね、一期生って。
山口 そうですよね。
潮 皆さんにはどう見えているかわからないですけど。変に依存しすぎず、各々が自分をしっかり持っている。流されないけど、思いやりは個々にある。足りない部分を補い合ってここまで戦って、笑ってこられた、本当にかけがえのない存在です。
それが三期生のいいところ
──では山口さんに三期生の楽曲「青春ポップコーン」についてお聞きします。これはもう“ザ・三期生”という感じのポップさで。
山口 いや、本当に“ザ・三期生”ですね。前作の「Am I ready?」に収録された三期生曲「愛のひきこもり」がちょっと落ち着きのある、それまでの三期生曲とは違った雰囲気だったので、これからはそっち方面に行くのかな?と思いきや、今までで一番弾けた曲をいただいて(笑)。やっぱり三期生らしさが出るのは、こういう明るくて、ちょっと聴いただけだと「食べ物のことしか歌ってないんじゃない?」みたいな曲なのかなって(笑)。
──確かに、食べ物モチーフだった曲タイトルもまた元に戻りましたね(笑)。
山口 三期生の4人にしか出せない空気感と言いますか。セブンティーンとか言いながらみんなもう20代になるんですけど……(笑)。
潮 いいのよ(笑)。心は永遠のセブンティーンでしょ?
山口 はい(笑)。でも4人でいると、まだ高校生できるし、青春できるんじゃない?って気持ちになりますね。それを楽曲を通して表現できるのがすごくうれしいです。
──三期生における山口さんのポジションは自己分析するにどういう役割ですか?
山口 えー? どうなんだろう? 三期生はそのあたりが定まってなくて(笑)、誰でもイジられるときがあるし、誰でもボケるし誰でもツッコむんですよ。みんながずーっと静かにしているときもあれば、全員騒いでいるときもあって。4人ともいい意味で自由。強いて言うならツッコミ役かなと思うんですけど……。
潮 でもさ、役割ってなくてもいいよね。ないのが理想でしょ? 自分の役割が決まったらそれにとらわれちゃうこともあるし。役割はない、っていうのが本当は理想なんだと思います。三期生はそれを素でやってるわけだからさ……なんか今、考えさせられました。
山口 えー(笑)。
潮 それが三期生のいいところなんじゃない? 「青春ポップコーン」に「みんなを呼んで パーティーしようぜ」って歌詞がありますけど、してますからね。さっき自分のこと大人みたいな言い方してましたけど、やってることはセブンティーンで。「明日休みだねー。何するの?」って聞いたら「明日は集まって月見パーティですよ」って言うんですよ。なんだろうと思ったら、季節柄いろんなお店から出ている月見◯◯を集めて、三期生のみんなで食べるんですって!
──(笑)。
潮 そのくらい仲良しなんですよ。だから私から見てもピッタリの曲だなって思います。
卒業を前に
──ツアーは本編が終了して、あとは12月9、10日にKアリーナ横浜で行われる追加公演のみとなりました。アルバムリリース、ツアー追加公演と2023年もラストスパートですが、どんな心持ちでいますか? 潮さんについては追加公演が最後のステージになるかと思うのですが……。
潮 ちょうど発表されたばかりですが(取材は10月中旬に実施)、追加公演の1日目に卒業することに決めました。そこで皆さんにたくさんの感謝の気持ちをお伝えできたらいいなと思っていますし、そこから先は一番の日向坂46ファンとして、陰から見守っていたいと思います。
山口 この年末は紗理菜さんが卒業するという大きな変化があるわけで。この先も日向坂46は変化し続けていくと思いますけど、自分がいるこの場所を大切にして、前を向いて進んでいきたいです。まずは年末に向けて……もう2カ月くらいしかありませんけど……。
潮 そうかー! 早いね。
山口 自分が持てる全力を出し切って、紗理菜さんが安心して卒業できるように。
潮 もう安心してる。安心したから卒業が決められたんだよ。
山口 いやあ、これからも見守ってくださるということなので、たくましい姿を見せられるようにがんばりたいです。
潮 見てます!
公演情報
日向坂46「Happy Train Tour 2023」追加公演
- 2023年12月9日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜
- 2023年12月10日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜
プロフィール
日向坂46(ヒナタザカフォーティーシックス)
2015年に秋元康プロデュースによる欅坂46のアンダーグループ・けやき坂46として、長濱ねるを中心とするメンバー12人で活動開始。2018年6月に、けやき坂46名義で1stアルバム「走り出す瞬間」を発表。2018年に三期生が加入し、2019年2月には、けやき坂46から日向坂46へグループ名を改名した。同年3月に1stシングル「キュン」を発表し、この曲で年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場。以降コンスタントに作品をリリースし、2022年3月にはグループ結成時からの目標であった東京・東京ドームでのワンマンライブ「3周年記念 MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」を成功させた。2023年11月に2枚目のオリジナルアルバム「脈打つ感情」をリリース。12月に神奈川・Kアリーナ横浜で行われる全国ツアー「Happy Train Tour 2023」追加公演をもって一期生の潮紗理菜がグループを卒業する。