日向坂46 潮紗理菜&上村ひなの|“変化の6thシングル”で表現する、かわいさだけじゃない私たちらしさ

美玖ちゃんはセンターになるべくしてなった

──今のお話のように、今の日向坂46は粒ぞろいに個性が際立ち、それが強くなっているからこそ、誰がセンターに来ても面白そうだなと思えるワクワク感があるんですよね。

 うれしいです。

──だから、今回のシングルで金村美玖さんがセンターに指名されたときに「おっ」と思ったんです。金村さんはそこまで積極的に「前へ前へ」というタイプではない印象だったので、そんな金村さんが個性豊かなメンバーを背負って先頭に立つ姿を想像して僕はすごくワクワクしましたが、お二人はどう感じましたか?

 美玖ちゃんはセンターになるべくしてなったというか、納得でした。遅かれ早かれ私たちのことを引っ張っていってくれる人だということは毎日一緒にいてわかるので、私は驚きというよりも安心して拍手!という感じでした。うれしかったです。美玖ちゃんは本当にすごいよね。

上村 はい、本当に。

 美玖ちゃんは1列目から3列目まで全部を経験して、全部の景色を見てからセンターに立つ人なので、心強いというか。付いて行くのみだなって思います。

左から潮紗理菜、上村ひなの。

──センターに決まってから曲の準備を進める中で、金村さんの変化を感じるところはありますか?

上村 センターに立つ美玖さんを後ろから見ていて、より一層強さが増したなって思います。もともとすごくダンスがお上手なんですけど、センターに立ったことによって、よりキレが増して……責任感もあってなのか、とにかくすべての要素がパワーアップしたように感じます。

 うん、うん。

──そんな金村さんがセンターに立つ6枚目のシングルのリード曲が「ってか」。なんてタイトルだと思いましたけど(笑)、この曲に関してはどのような印象ですか? 「見た目のかわいさよりも中身を見てほしい」と悩み歌うラブソングではあるけれど、日向坂46のグループとしての進化みたいな部分と重ね合わせたメッセージなのかな、という印象も受けました。

潮紗理菜

 タイトルを聞いたときは衝撃的でしたけど、歌詞は読むたびにいろんな視点が持てるなと感じます。グループで活動している中でいろんな不安と戦ったりもしているので、私たち自身にも刺さりましたし、だからこそ感情も込めやすいというか。「ってか」は「こんなに好きになっちゃっていいの?」(2019年10月リリース)ぶりに女性の視点で書かれているので、そこも新鮮だなと思います。ダンスやミュージックビデオも含めて、今までの私たちとはちょっと違う、変化のシングルになったんじゃないかなと思います。

上村 確かに女性目線だと、男性目線の歌詞よりもより深く意味を考えますし、「すべてのフレーズに意味があるな」と感じるんです。

 そうね。

上村 それもあって、パフォーマンスは「最初のサビはクールにしてみよう」とか「ここは逆に笑顔の解釈でいってみよう」とか、いろんな表現の仕方をみんなで研究しながら作り上げていて。これからもっと、よりよいパフォーマンスができるようにがんばっていきたいなというところです。

──「振り付けはこういう形です」という指示はあるけど、そこから曲の世界観をどうやって色付けしていくかは、メンバー間で話し合って詰めていくんですね。

 そうですね。表情は曲を伝えるにあたってすごく大切な要素だと思うので、そこがバラバラになってしまうと、なかなか曲のメッセージが届かないんです。なので、そこはメンバーみんなで向き合って模索して。先生方とも相談し、提案をいただきながら、ちょっとずつ曲を完成させていく感じです。

──表情的な面で言うと、「ってか」には日向坂46の持ち味である明るい笑顔にプラスして、「力強く進んで行く」という勇ましい意志が見えることが必要なのかなと感じました。

 そうですね。

──MVは基本的にポップな世界観で、オチも含めて完全に“カッコいい”には振り切らないかわいらしさ、ちょっと不思議でファンシーな部分もあるのが日向坂46らしいなとは思ったんですけど、金村さんがみんなの力を背負いながら、強い向かい風の中を突き進んでいく感じにグッときました。金村さんがメンバーを引っ張りながら進み、踊る姿に、受け手はこれまでのメンバーの皆さんの関係性を重ね合わせて感情を動かされてしまうんですよね。みんなで突き進んでいく感じがまた日向坂46らしいなという感想を僕は抱きました。

 ありがとうございます。みんなで助け合って進んでいけるのが、私たちのグループの強みかなって思います。

──MV撮影で印象に残ったことは?

上村ひなの

上村 振り付けが激しかったり、風を強く吹かせていたり暑かったりで「大変だったな」という記憶が強いです(笑)。けれど、そんな中でもみんなで声をかけあったり、励ましあったりして、日向坂46らしく撮り終えることができました。

 大変だったね! 「竜巻か?」というくらい、風を強く吹かせていたんです。もう、みんな飛ばされるんじゃないかってくらい(笑)。大型の送風機を何台も動かしていたので、あらゆるものがバンバン飛びましたし……物が飛んでいるシーン、CGじゃないんですよ。だから、飛んできた布が顔に貼り付いて、「うう!」って踊りながら振り払うこともありました(笑)。暑い日で日差しも強かったので、体力的にもみんな限界までいったなと思います。

この曲でセンターに立てたことで、自分の気持ちも1つ解放された

──今作の共通カップリング曲「何度でも何度でも」のセンターは上村さんですね。上村さんも初のセンターになりますが、いかがですか?

上村 初めてセンターを務めさせていただいた曲がこの「何度でも何度でも」でよかったなと心から思っていて。「今横に並んでいる誰かと自分を比べてみたって意味なんかないじゃないか。マイペースで自分らしい道を進んでいいんだよ」という歌詞のメッセージに、アイドル活動をしている自分もすごく勇気をもらえるんです。きっとさまざまな立場の人に届いて背中を押してくれる歌で、そんな優しさが日向坂46らしいなと思いますし、この曲でセンターに立てたことで、自分の気持ちも1つ解放されたような感覚になりました。

──上村さんのセンターっぷりを、潮さんはどう見ていますか?

 頼もしいですよ! 日向坂46の未来は明るいなって思います。「何度でも何度でも」は聴く人に優しく寄り添って励ます曲なのかなと思うのですが、そういう意味でもすごくひなのに合っている。これはツアーを通して感じたことなのですが、「何度でも何度でも」は私たちの曲の中で一番パフォーマンス中にメンバー同士の目が合って、ニッコリしちゃうことが多い曲なんです。だから歌うたびに幸せな気持ちになるし、それこそ「日向坂46でよかったな」と思える曲なので、そんな思いも曲に乗せて皆さんにお届けできたらいいなと思います。

──なるほど、ライブで実際にやってみて、手応えを感じているんですね。

 そうなんですよ。ラスサビも特徴的で、1人ひとりがまったく違う踊りをしているところから最後に振りを合わせるんですけど、それも日向坂46だからこその振り付けなのかなと思ったり。「みんなの個性はいろいろだけど、1つに重なるとちゃんと日向坂46になるんだよ」ということが、この曲を通しても現れているのかなと思います。


2021年10月27日更新