畠中祐|連続リリース!「憂国のモリアーティ」&「ウルトラマンZ」の世界観に寄り添った2作

「憂国のモリアーティ」の世界への、僕なりの思い

──カップリングには「Pray」「Brand New Day」という2曲も収録されていますね。

実は今回のシングル、1枚のパッケージとして「憂国のモリアーティ」をイメージしたものにしたかったんです。なので、タイアップにはなっていないけどカップリングの2曲もそこを意識して作ってもらいました。そのほうがきっとリスナーの方もすべてを気持ちよく通して聴けるんじゃないかなと思ったので。

──「Pray」はピアノ1本で聴かせる、まさに“祈り”のバラードですね。

自分を責めてしまう人に対しての許しというか、その苦しい思いを優しく包んであげられるような曲にしたかったんです。「DYING WISH」が背中を押す曲だったので、ここでは進んだ先の未来に救いがあってほしいなという祈りを込めました。

──コロナが蔓延する今の世界情勢に照らし合わせると、この曲で描かれていることはすべての人たちへの祈りにもなるような気がしました。

確かにそうですね。そこは偶然ではあったんですけど、時期的にリンクさせて聴いてもらうこともできると思います。シンプルなピアノサウンドの上で歌うにあたっては、学生時代の合唱を思い出したりしましたけど(笑)、ここまで静かに、伸びやかに歌える曲はなかなかなかったので、レコーディングはすごく楽しかったです。

畠中祐

──ちなみにこの曲は「憂国のモリアーティ」にどう絡められているんでしょうか?

そこはね、もう1曲の「Brand New Day」も含めて、聴いていただく方の解釈に委ねようかなって思ってます。「憂国のモリアーティ」の物語はまだ続いているので、この先どんな展開が待っていて、どんなエンディングを迎えるかは僕らもまだわからないわけで。でも、だからこそいろんな想像も膨らむので、「こうだったらいいな」という思いをカップリングに込めました。なので、楽曲を聴きながらリスナーさんもまたいろんな想像を膨らませてくれたらうれしいなって思います。

──もう1曲はトロピカルハウス的な雰囲気を持つ「Brand New Day」です。こちらはほぼ英詞で構成されていますね。

これは古い自分との別れの曲ですね。僕は今年で26歳になり、20代後半に突入したので、新しい一歩を踏み出すために過去の自分とどう向き合うべきなのかということを歌いました。同時に、この曲でも裏テーマとして「憂国のモリアーティ」の世界への、僕なりの思いが込められてもいます。歌詞の英語部分に関しては、リスナーの皆さんそれぞれでぜひ訳してみてほしいです。そうするときっと、この曲の持つ意味みたいなものがより見えてくると思うので。サウンド感は僕が普段聴いている音楽に近いところもあるので、すごく心地よく歌うことができました。このシングルの3曲はアニメと共に楽しんでもらうのはもちろん、「憂国のモリアーティ」の物語が完結したときに改めて耳を傾けてもらえたらいいなと思います。そこにはきっとまた新たな発見があるかもしれないので。

ご唱和しないと始まんないでしょ!

──そして11月にはもう1枚のシングル「Promise for the future」もリリースされます。表題曲は、畠中さんが声優としても参加されている特撮ドラマ「ウルトラマンZ」の後期エンディングテーマですね。

ウルトラマンゼットの声を演じさせていただいたうえに、さらにエンディングテーマまで歌わせていただけることになって。僕にとっての興奮材料が2つもそろったので、このうえなくうれしいですし、相当気合いも入りました。

──幼い頃にはウルトラマンに憧れて役者を志したこともあるそうですね。

そうなんですよ。僕はとにかくウルトラマンになりたかったんです。七夕の短冊にも書いちゃうくらい、本気でなりたかった。で、リアルな話として、どうすればウルトラマンになれるか探ったところ、どうやらスーツアクターになるのが手っ取り早いんじゃないかと。なので僕の最初の夢はスーツアクターになることだったんです。

──その夢が時を経て、声優として叶ったと。

まさかね、こんな角度で憧れのウルトラマンになれるとは! ホントにもう感動です。

──エンディングを飾る楽曲に関してはどんな思いで作り上げていったんですか?

この曲もまた作品世界にしっかり寄り添うことを考えました。ウルトラマンらしさをしっかり表現しようと。ただ、決してキャラソンではないので、歌うにあたってはそこは意識しましたね。基本的には主人公の(ナツカワ)ハルキとゼットのバディに捧げる歌にしたかったんですよ。なので、2人を応援する熱さを込めつつ、でもあくまでエンディングテーマなので力強くなりすぎず、歌い上げない歌唱をしました。ある意味、クールさを保った感じと言いますか。

──楽曲のタイプはまったく違いますけど、歌のテンションの方向性に関しては「DYING WISH」に近いものがあったんですね。

畠中祐

そうですね。ディレクションしてもらうときによく言われるんですけど、歌い上げすぎず、ちょっと力を抜いたくらいがちょうどいいみたいなんですよね、僕らしい歌にするには。確かに自分自身でも、ロックに熱く歌い上げるタイプではないなと思うので、そこは納得できるところではありますね。ただ、この曲はウルトラマンへの強い思いもあったので、サビの「強く!強く!叫ぶよ」のところなんかは、ガンガン強く歌っちゃいそうになるんですよ。それを必死に抑えるのが大変でした。だってね、自分名義の曲の中で「ウルトラマン」って歌える機会なんてそうそうないじゃないですか。そりゃ自然とテンション上がっちゃいますよ(笑)。

──(笑)。畠中さんのウルトラマン愛を存分に感じられる1曲になっていると思います。

ありがとうございます。ウルトラマンゼットは毎回、決まり文句として「ご唱和ください我の名を! ウルトラマンゼット!」って言ってから変身するんですよ。最初、そのセリフを読んだときは「なんじゃこりゃ!?」って正直思いました(笑)。でもね、物語が進んでいくうちに「いやもうご唱和しないと始まんないでしょ!」みたいな感じで、この作品を象徴する言葉としてすごくなじんできたんですよね。なので、曲の中にも英語ではありますけど「OH JUST SAY MY NAME」というフレーズが入っていたことがすごくうれしくて。そこと、「ウルトラマンFIGHTING SOUL!」のところはめっちゃ気合い入れて歌いました(笑)。あとそうだ、この曲はMVでゴリッゴリに踊るんですよ。かなりカッコいい感じの力強い振り付けになっているので、それも一緒にぜひ楽しんでもらえたらうれしいですね。

──こちらのカップリングはまだ聴かせていただけてないんですけど……。

鋭意制作中です! 現段階ではまだ詳しくは話せないんですけど、ようやく冬の歌が歌えることになりそうです。

──それは大きなトピックですね。これまでの畠中さんは夏のイメージが強かったので。

そうなんですよ。夏にリリースすることが多かったので、どうしてもそうなっちゃってたっていう。今回は11月リリースなので、畠中祐らしいクリスマスソングを作れたらいいなって……自分でもまったく想像ができないんですけど(笑)、いい曲をお届けできたらなと思っています。

──2020年の経験を生かして、来年からは1年にシングルを3枚リリースするペースに持って行けそうですかね?

いやー! 今年はイレギュラーってことで、やっぱり1年に1枚ペースがいいんじゃないかな(笑)。まあでも今年シングルを3枚リリースできたということは曲もだいぶ貯まるんでね、まだ全然先のことは未定ですけど、アルバムをまた作れたらいいなって考えたりはしてます。

畠中祐